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10年分の成長を込めた一打 藤田寛之が輪厚で初勝利!

2002年の「全日空オープン」(現ANAオープンゴルフトーナメント)は日本ゴルフ界の歴史に1ページが刻まれた一戦だった。尾崎将司が55歳7か月29日で勝利を飾り、ツアー史上最年長優勝記録を樹立。そして当時、優勝争いを演じた相手は若かりし日の藤田寛之だった。

札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コースの名物ホールは左ドッグレッグの17番パー5。ティショットをフェアウェイに置くと、左サイドの林越えの2オンのチャンスが生まれる。2002年当時、ジャンボと同スコアでこの17番を迎えた藤田は、セカンド地点で3番ウッドを持ち、グリーンを狙った。しかしボールは木々の上を越えず、林の中へ。痛恨のボギーを叩いて後退し、ジャンボの快挙を“アシスト”した。グリーンエッジまでは残り252ヤード。語り草となったミスショットを今も忘れることは無い。

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10年後。43歳になった藤田は、そのリベンジの機会を手にした。この最終日を前に、首位のキム・ヒョンソン(韓国)に2打差。それでも3日目を終えた時点では当時を回想しながら、17番では2オンを狙わずに攻める攻略法を明かしていた。当時よりも木が生長していること、そして「あの頃よりもボールが上がらないスプーンを使っているから」と、その理由を挙げながら・・・。

そしてこの日も、16番ホールで3パットボギーを叩いたヒョンソンとトップで並び、その17番で完璧なティショットを放っても考えは変わっていなかった。ティグラウンドを降りても、梅原敦キャディに「オレは絶対打たないから」と告げていた。けれどフェアウェイを歩くにつれ気持ちは変わっていった。エッジまで残り246ヤード、ピンまでは273ヤード。上位を争っていた池田勇太のスコアも気になり、急きょ強攻策を選んだ。

「非常に緊張しました。ボールを上げにいったら右に行く。いつも以上に上げる必要があった」。木々の上を越えていった打球は、その予測以上に右へ。グリーン右手前のベアグラウンド付近に落ち、結果は3オン2パットでパー。それでも後悔は無かった。「梅原が『刻みますか?』と言ったら、刻んだかもしれない。どっちが正しい選択かは分からない。けれど、あれがちょうど10年前でしょう。(フェアウェイで)そんな世間話を梅原としてたんです。『狙わないよ』って言うと『狙いましょうよ』なんて・・・」。

最終的に決着がついたのは18番。ティショットを左に曲げてボギーとしたヒョンソンに対し、パーを拾って逆転勝利を果たしたが、この名物ホールこそがハイライトだった。「17番のセカンドで林を越えられなかったのが10年前。自分が優勝できるとは思っていなかった頃がある。歴史を振り返ると、自分の成長したことを感じられる」。かつては本戦出場のための予選会、マンデートーナメントに出場し、その壁にも跳ね返されてきた大会だった。そしてジャンボに敗れた思い出。自身の記憶に残る試合だっただけに、感慨は深い。

藤田の10年分の成長は、輪厚の樹木の生長を越えるスピードだったのかもしれない。けれど、「相変わらずですけど、自分のやっていることはマンデーに出ている頃と何も変わっていない」と言った。「ゴルフを上手くなりたい、と思って普段練習をしているだけ」。目じりにしわを寄せながら話す表情は、実績以上に、その過程にプライドを持っているようだった。(北海道北広島市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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2012年 ANAオープンゴルフトーナメント



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