2012/10/13日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート2012<5>】

辛くて、辛くて。辛い、辛い、辛い、辛い3日目が終わりました…。前半、パットのミスからスコアを落とし、流れを引き寄せられないまま藤田さんは後半に入りました。11番でダブルボギー、続く12番をボギーとした時にはトータル10オーバー。正直、藤田さんの日本オープンはここで終わったかな、と思いました。 でも、終わってなかった。そこからの地獄の残り6ホールを藤田さんはパープレーで回ってきたんです。それもほとんどミス無しで。あの状況から残りホールをミスショット無しで回ってこれる選手はほとんどいないでしょう。しかも最終ホールは上からの15メートルをねじ込んでのバーディフィニッシュでした。 上がってから藤田さん...
2012/10/10日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート2012<2>】

昨日のレポートに書いた“南国の芝”もそうですが、沖縄にはもう一つやっかいなものがあるんです。それが“琉球の風”。 今週は月曜日からこの那覇ゴルフ倶楽部で練習しているんですが、コースには毎日のように北東からの強い風が吹き付けています。それも一日中。風が吹く方向は一定だけど、強さはまちまちで強くなったり、少しだけ弱くなったり。弱くったって、強いんですよ!重たさが少し違うけど、「全英オープン」に匹敵するくらいの風の強さかな。 そういったいろいろな状況をトータルして考えたら、今週は難易度が格段にアップした「ソニーオープン・イン・ハワイ」って感じでしょうか。この開幕前の3日間に吹いた風が、このまま最終日...
2012/10/11日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート2012<3>】

予想通りの“壮絶なる闘い”が幕を開けました。 始まるまでは自分なりに、予選のカットラインや優勝スコアなんかを考えていたけど、もはや、そんな事はどうでもいいですね。目の前のホールをどうやって切り抜けるか。今はもう、それだけに尽きます。 初日の今日は、藤田さんは3オーバーの9位タイでフィニッシュしました。前半はパープレーで折り返したんですが、後半に入り横風の強いホールでスコアを落としてしまいました。縦幅がそんなに広くないグリーンが多いので、強い横風の中でのボールコントロールが難し過ぎますね。 明確な目標スコアなんかは全く無かったけど、今日の条件や、藤田さんの内容などを考えると、素晴らしいスコアじゃ...
2011/10/16日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート<6>】

いやー凄い闘いでしたね、「日本オープン」最終日。バックナインは毎ホールのように上位陣の順位が入れ替わる熾烈な優勝争い。そんな手に汗握る激闘を制したのは韓国のべ・サンムン選手。今季はもうすでに3勝目なんですね、強いなー。 日本オープンも昨年のキム・キョンテに続き、韓国勢の連覇。サンムンはキョンテが“静”だとしたら明らかに“動”の選手。でも、今日の最終日は今までの優勝争いの中で一番落ち着いてプレーしていたように感じました。14番ホールのイーグルは圧巻でしたね。あの場面であのセカンドショットを打てる選手は、日本では遼くんぐらいしかいないんじゃないでしょうか。 個人的にはやっぱり佐藤信人選手に期待して...
2011/10/15日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート<5>】

藤田さんは残念ながら予選落ちしてしまいましたが、決勝ラウンドもレポートを続けさせていただくことになりました。みなさま、どうぞお付き合いください。 日本オープン3日目は朝から強風が吹き荒れました。非常に難しいコンディションの中、最終組で回った河瀬賢史くんはスコアは少し落としてしまったけど、ギリギリの位置で耐えたんじゃないででしょうか。最終ホールの厳しいバンカーからのパーセーブは、必ず明日につながるはずです。 トップには佐藤信人選手が浮上。ツアー9勝、藤田さんと同い年の佐藤さんですが、ここ数年はパッティングの不調が原因で本来の力を発揮出来ずに本当に苦しまれていたんです。でも今日の佐藤さんは、そん...
2011/10/14日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート<4>】

まさか予選落ちするとは夢にも思いませんでした。 昨日の調子の良さ、藤田さんの日本オープンに懸ける思いなんかを考えても、今回は予選を通らないはずがなかった。気持ちを抑えきれないくらい悔しいけど、それが日本オープンなのかもしれませんね。 今日の藤田さんは練習場から明らかに初日とは違う雰囲気でした。球を上手くコントロールしきれてないって言うか、捕まえきれてないって言うか。出だしの2ホールを、ともにフェアウェイからボギーにしたのも痛かったですね。スタートさえスムーズに行っていれば、いくら調子が悪くても藤田さんなら何とかできたはずだから。 でも悔しいな。日本オープンの決勝ラウンドは本当に特別な空気だから...
2011/10/12日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート<2>】

開幕を前に2日間、練習ラウンドをしましたが、正直言ってまだ明確な攻略ルートは見つかっていません。鷹之台CCを攻略する上で1番重要なのはやはりティショット。ドライバーでガーンと行くのか、他のクラブできっちりフェアウェイに刻むのか。 でもこれ、どちらも正解なんです。別に全てのホールでドライバーを握ったからってスコアが悪くなるわけじゃないし、全てのホールをアイアンで刻んでもスコアが良くなるわけじゃない。要は決断力です。中途半端ならドライバーを持っても何を持っても良い結果にはならないでしょうね。 ドライバーで攻めて行った場合のリスクは、やはりラフに入る確率が高くなること。フェアウェイの幅は広いところで...
2011/10/13日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート<3>】

藤田さん、1アンダーの9位タイと素晴らしいスタートを切りましたよ。 今日の藤田さんはショット、パットとも今年一番の内容でした。ショットの調子が良いとそのホールをいろんな角度から見る余裕ができるので、今日はほぼ完璧にコースを攻めて行けたんじゃないでしょうか。 今日、ドライバーを使ったのは5ホール。あとのホールは5番ウッドとユーティリティの3番アイアンでティショットを打ちました。4日間の基準となる初日に良い攻め方ができた事は、日本オープンを戦う上で非常に有利になるはずです。 一緒の組でラウンドした河井博大選手のプレーも藤田さんには良いイメージになったのかもしれません。ツアー屈指のショットメーカーで...
2012/10/14日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート2012<6>】

前半の早い段階で賜杯に手がかかったんだけど…。藤田さんはスタート直後の1番と3番でバーディを奪い、この最終日の早々にトータルスコアを8オーバーとしました。 藤田さんの中ではどう思っていたか分からないけれど、僕の中では「残りホールをパープレーで回れば必ず藤田さんが勝てる!」という強い気持ちになりました。 でも、その勢いは無残にも前半唯一のチャンスホールである6番のロングホールで消されました。バンカー内にある木の裏から5番ウッドで放ったセカンドショットは会心の一打でグリーン右手前のガードバンカーへ。難しいピン位置だったけど藤田さんはバンカーから絶妙のタッチを出し、ピン横1.2メートルに。 あのバー...
2012/06/14全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈2〉】

今回の会場「オリンピッククラブ」の主な特徴は、フェアウェイがほぼ全ホール傾斜しているって事。その傾斜に対してティショットをどう打っていくかが勝負なんですが、球を止めるために傾斜にぶつけるように打っていくのが、ここでは基本的には不可能なんです。 と言うのは、フェアウェイの傾斜に対して逆向きの球を打って行きたいホールに限って、出球の方向を高い木で遮られているから。もちろんそれが設計者の意図で、簡単にフェアウェイをキープをさせないためにそう造られているわけだから、選手はその罠にはまらないような攻略ルートを見つけるしか方法はないんです。 その攻略ルートの1つが“レイアップ”。高い木を避け、なおかつフェ...
2012/06/16全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈4〉】

やりました。予選を突破しましたよ。 僕らには計り知れないプレッシャーが藤田さん本人にはあっただろうけど、そんな事を微塵も感じさせない会心のゴルフ。本当に完璧だった。あのゴルフをこの大舞台で持ってくるなんて、あの人はやっぱり凄いですよ。 日本から応援して下さっている皆様には、今日の藤田さんのゴルフの凄さがイマイチ伝わっていないかもしれません。もちろん全米オープンで予選を通過したわけだから、その結果自体の凄さはわかって頂けると思いますが、なにせ今日の藤田さんは、ミスショットが2発だけだったんです。 わずか2発ですよ!バーディパットをいくつか外しているのでアンダーパーには出来なかったけど、内容的には...
2012/06/15全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈3〉】

全米オープン、初日が終了しました。藤田さんは5オーバー、74位タイ。苦しみながらまずは18ホールと闘ってきました。 今日の藤田さんは全体的にティショットが良くなかったですね。ここはラフに入れるとどうしようもないので。 ショートホールを除く14ホール中、フェアウェイに行ったのは確か5回だったと思います。 それで5オーバーで回ってきたわけだから、どれだけ藤田さんが“拾い続けたか”っていうのを分かって頂けるのではないでしょうか。それが藤田さんの持ち味だから当然でしょと思われる方もいるでしょうけど、このコースでラフからパーセーブするのには相当な技術と精神力がないと無理なんです。 3オーバーまでで初日を...
2012/06/17全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈5〉】

全米オープン、決勝ラウンド。今日はアダム・スコットとの2サムでのラウンドでした。世界の超一流選手と全米オープンの決勝ラウンドで回れるなんて、本当に夢のようでした。 今日の藤田さんは昨日ほどのキレが無かったですね。凌いで、凌いで気持ちを持ちこたえ、必死にスコアを維持しようとしたんですが、結局今日は3オーバー。ここでの3オーバーは決して悪いスコアじゃないんだけど、トーナメントの3日目っていうのは優勝争いの選手以外は、みんなスコアを伸ばしにかかります。だから状態の良い人と、悪い人との差が大きくなり、結果全体的に順位が“バラけてくる”んです。 藤田さんの3オーバーはここではパープレーのような感じかな。...
2012/06/18全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈6〉】

藤田さんの全米オープンが終わりました。最終日の今日は4オーバー。ショットの調子も良く、大きなミスショットもほとんど無かったですね。 スコアを落としたのは僅か3ホール。1番ホールのボギーと13番ホールのダブルボギーは完全に僕のクラブの選択ミスです。打ったのは選手だからって言う人もいるけど、藤田さんはあきらかに自分が思っていたクラブじゃなく、僕が選んだクラブを手にしてくれたから…。 この大舞台でのミスジャッジは痛過ぎるけど、僕もその場では100%の自信があってそのクラブを推したわけだから悔いはありません。 ただ、甘いですよね。 今思えば、その時の風向きとグリーンの硬さを考えたら僕の選んだクラブは大...
2011/06/16全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈2〉】

コースセッティングが難しいことで知られる「全米オープン」ですが、ラフの深さは昨年同様、ある程度の長さに抑えてあります。「全米オープン」だから、ラフは恐ろしく深いとお思いの方もたくさんいらっしゃるでしょうけど、日本オープンのセッティングなんかの方がここよりもラフはずっと深いですよ。 この長さはグリーンまで持っていけるかどうかを選手に悩ませる長さ。もちろん場所によっては深い場所もありますが、基本的には相当悩むでしょうね。なぜ悩むかと言いますと、このコースはグリーンへの入り口が両サイドにあるバンカーや池によってめちゃくちゃ狭くなっているんです。 それがほぼ全ホール。ピンポジションによってはそれら...
2011/06/18全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈4〉】

残念ながら予選を通過する事が出来ませんでした。藤田さんは最後まで果敢に攻めましたが、コングレッショナルCCには2日ともやられました。 でも、今回は藤田さんの調子も良くなかったし、結果だけを見て、全てを判断してほしくはないですね。負け惜しみになるかもしれないけど、藤田さんが普通の調子なら予選通過は全然問題ないでしょう。トップ10に入るかどうかと言われたら、それはやっぱり完璧なゴルフをしないといけないでしょうけど、昨年のペブルビーチと今回のコングレッショナルを回らせて頂いて僕自身が感じたのは、全米オープンような厳しいセッティングになればなるほど藤田さんは力を存分に発揮出来るって事。 結果が結果だ...
2011/06/17全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈3〉】

結果は皆さんご存知の通り、トータル8オーバーの145位でした。 出だしから波に乗れず苦しい展開だったにも関わらず、5番ホールでピッタリ寄せてバーディ。さぁこれから!という時だったのに…。次の6番ロングホールでセカンドショットのレイアップをミスして池に入れてしまいました。 完全に僕のミスです。藤田さんは僕のすすめる番手を手に取り、ただ打っただけですから。レイアップしてハザードに入れるなんて事は、キャディとして絶対にやってはいけない事。そのホールから4連続でボギーが続いた事を考えると、あのホールのミスは痛過ぎました。せっかく向き始めた流れを自分から手放したようなものですからね。本当何やってんだか…...
2011/06/19全米オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈5〉】

予選は通過できなかったけど、今日はコースへ練習に行きました。藤田さん・・・絶好調でした。試合が終わった開放感からの調子の良さじゃなく、昨日の試合中にいろいろと試した中で何かを掴んだみたいです。あー、今日が初日だったらなー。間違いなく上位に行ってたのに。 終わったら何とでも言えるから、何とでも言いますよ。結果はもちろん残念でしたが、コースに叩きのめされたその中で藤田さんが何かを掴んだんだったら、それはそれでここまで来た意味があったんじゃないでしょうか。「次こそは!」と毎回言うのも何か変なのかもしれないけど、本当に僕は信じています。必ず藤田寛之が世界を騒がす日が来る事を。 試合の方はとんでもない...
2011/07/13全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート〈2〉】

ついに吹きました、全英の風が。昨日までとはコースが一変。練習ラウンドとは言え、恐ろしさすら感じましたよ。ドーバー海峡から吹き付ける風はただ強いだけじゃなく、ずっしりと重たいんです。今日は藤田さんが会心のドライバーショットを放ったにもかかわらず、フェアウェイまで出なかったホールが3ホール、ドライバー打ってでグリーンに届かないショートホールが1ホールありました。ここまでの風は正直スコアになりませんね。やっぱりある程度は吹いてくれないと勝負にはなんないけど、今日は本当に厳しかった・・・。 実は藤田さん、先週スコットランドで行われた「バークレイズスコットランドオープン」に出場する予定で、こっちには早め...
2011/07/15全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート〈4〉】

小雨が混じる強風の中をスタートし、本当に素晴らしいゴルフを展開していたのに、15番からの上がりの4ホールを4連続ボギー。14番の短いバーディパットを決めきれなかった事が、少なからずその後の流れに影響したような気がします。 しかし藤田さん、良いゴルフでした。前半の内容はショット、パットともにほぼ完璧でしたもん。 それだけに、あの上がりの連続ボギーは痛いなー。“たられば”を言ったらキリがないけど、14番がバーディだったら、きっと1オーバーではホールアウトしていたでしょうね。でもまぁ、後からなら何とでも言えますから。ごちゃごちゃ言っても結果が全てです。 スコアの事は置いといて、やっぱりリンクスのコー...