2013/08/08全米プロゴルフ選手権

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米プロレポート2013<3>】

昨日の天気予報では今日は朝から雷雨の予報だったんです。せっかくのジム・フューリックとの練習ラウンドが無くなっちゃったら嫌だなって落ち込んでたんだけど、朝起きてカーテンを開け、晴れ間が見えた時は凄く嬉しかったです。 フューリックとは全米オープンと全英オープンの時にも一緒に練習ラウンドをやってもらったんですよ。だから今回で3度目。3度目だからって慣れることは全然無いけど、最初の時よりは少しは近付けたような気がするかな。 今までの練習ラウンドでもフューリックのストレートボールには驚かされてきました。でも今日のフューリックは、これまで以上に恐ろしいほど真っ直ぐだった。昨日の井戸木さんのショットも匹敵す...
2013/08/09全米プロゴルフ選手権

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米プロレポート2013<4>】

藤田さんの今年の「全米プロゴルフ選手権」は10番スタートから始まり、いきなりのバーディ、バーディで、最高のスタートを切りました。 続く12番から14番までも全てバーディチャンス。でも、そのまま徐々に藤田さんの形に持って行こうとした直後の15番ショートホールに落とし穴が待っていました・・・。結果から言うと、このホールで藤田さんはトリプルボギーを叩きます。 ティショットをダフってグリーン手前20ヤードのラフへ。そこから打ったバンカー越えのアプローチが、バンカーを超えた所の下り斜面に当たり、弾かれて池へ。そしてドロップゾーンから3回かかってトリプルボギー。これだけ聞くと、藤田さんのミスショットが大ト...
2013/08/10全米プロゴルフ選手権

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米プロレポート2013<5>】

トータル7オーバー。予選カットには4ストローク足りずに藤田さんの「全米プロゴルフ選手権」は終了しました。朝からずっと強めの雨が降り続いていたんだけど、午後スタートの藤田さんが練習場に向かう時にはすっかり雨も上がり、最高のコンディションで2日目を迎えました。ただ、藤田さんの状態が良くなかったんです・・・。 練習場からすでにショットは乱れ始めていました。それに加えて試合が始まると、朝の雨の影響で少し水を含んだ洋芝からのショットの距離感が全く合わず、常に苦しい状態でのプレーを強いられました。チャンスと言えるチャンスは全く無かった。これを入れなきゃ終わってしまうというパーパットを入れ続けて気持ちを繋い...
2013/06/13キャディレポート

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート2013<3>】

いよいよ明日から始まります「第113回全米オープン」。今年の開催コース、メリオンゴルフクラブについてはウィッカーバスケットの事以外はまだほとんど触れてなかったので、今日はその難コース、メリオンについて書きたいと思います。 メリオンGCで全米オープンが開催されるのは実に32年ぶりだそうです。コースの全長距離が短く、年々ビッグイベント化する大会には敷地が狭過ぎるからと言う理由で、長らく全米オープンが開催されなかったんだって。そのためコースはついに改造を決断。総距離を500ヤード伸ばし、隣接地の土地取得により設備面での不安をカバーする事ができたそうです。 でもね、全長が6996ヤードと、最近のメジャ...
2013/06/12キャディレポート

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート2013<2>】

藤田さん、“完全復活”にはほど遠いけど、昨日までの最悪な状況と比べれば、まだ少しは体を動かせそうだということで、今日11日は今大会初の練習ラウンドに出る事が出来ました。 体調面やコースチェックの他に、今日はどうしてもラウンドしなければいけない理由もあったんです。それはジム・フューリック選手と一緒にラウンドする約束をしていたから。以前から藤田さんはフューリックとのラウンドを熱望していて、知り合いを通じて今まで何度かオファーを出してたんです。 だけどなかなか実現までには至らず、やっぱり厳しいのかな…なんて思っていたら、今回フューリックが「じゃあ、火曜日に一緒に回ろう!時間は何時でもいいよ、そっちが...
2013/04/09マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<4>】

昨日までは毎日肌寒い感じだったのに、今日8日は一転、暑い一日となりました。 マスターズのキャディが着る真っ白なツナギは凄く格好いいんだけど、生地が意外と厚いので天気の良い日は蒸し暑さとの闘いなんです。この辺の天気は、この時期は一体どれが正解なんだろ・・・。 今日は石川遼選手と18ホールを一緒に回りましたよ。オーガスタをよく知る選手と練習ラウンドをすると、各ホールを違う角度から見る事が出来るので視野がひろがります。遼くんはティショットで3番ウッドを多用していましたね。大きなトラブルを避け、確実にフェアウェイをキープしながら毎ホールチャンスを作っていく狙いなのかな。でも、3番ウッドっていったって、...
2013/04/10マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<5>】

今日はアウトコースだけを回りました。オーガスタはインに比べ、やはりアウトコースの方が、好スコアが出にくいですね。 インコースは、パワーのある選手や調子の良い選手ならバーディチャンスに付くケースも多いけど、アウトコースは調子が良くてもなかなかスコアを伸ばす事は出来ません。全体的な距離は、アウトが3725ヤードでインが3710ヤードだからそう変わらないんだけど、ショートホールとロングホールの距離がインの方が断然短いので、その差かもしれません。 アウトをいかに静かに回って、インの数少ないバーディチャンスを決めきれるかが勝負でしょう。 「マスターズはドローヒッターが断然有利」って聞いた事があるでしょ。...
2013/04/08マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<3>】

今日7日はオフだったので、みんなで買い物に行ったりして一日ゆっくり過ごせました。練習がお休みだったこういう日は、せっかくなのでオーガスタの中から、1ホールを取り上げて、皆さんにご紹介したいと思います。 僕が紹介したいのは、11番~13番の“アーメンコーナー”や、16番、18番みたいな超有名なホールではないんです。大草原を意味する“パンパス”と名付けられた7番のミドルホール。 このホールは真っ直ぐなんです。本当にどこまでも真っ直ぐ。でもね。僕の中では「世界一難しいストレートホール」だと思っています。 ここの難しさは、ティショットからグリーン上までの全て。まずティグラウンドに立った時に、左右からせ...
2013/04/07マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<2>】

藤田さんに聞いてみたんです。 「このコースの難しさっていうのは一体、何でしょうか?」 藤田さんは、まずは距離だと。それから、グリーンの傾斜とスピード。最後に“ピンに打てない辛さ”だそうです。 最後の、ピン方向に打って行けないっていうのは、前の2つが多いに関係しているんでしょうね。藤田さんの飛距離だと、ミドルホールのセカンドショットで5番ウッドやロングアイアンを持たなきゃいけない場面が多々あるんです。 実際に今日の練習ラウンドなんかは、最終18番ホールのセカンドショットは3番ウッドでした。ティショットが木に触れたからってのもあるけど、それは想定の範囲内だった。ロングアイアンで、僅かなスペースを狙...
2013/06/16キャディレポート

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート2013<6>】

あと1ホール。「全米オープン」の決勝ラウンドは、もう目の前に見えていたんけど、僕らの前に立ちはだかったメリオンの18番ホールはとてつもなく大きな壁でした。 運命の5ホールは、14番ホールのアプローチからスタートしました。逆目の嫌なライからピンまで下りの10メートル。藤田さんが完璧なタッチで打ったボールはピンの左下2メートルのところで止まりました。カットラインはわかっていたので、残りホールでもう1つもスコアを落とせません。そんな状況で、藤田さんはそのパットをきっちりと沈めました。 続く15番ホールはティショットを右のバンカーに。万事休すかと思ったけど、僅かにアップヒルだったおかげでグリーンエッジ...
2013/06/14キャディレポート

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート2013<4>】

長い、長い1日が終わりました・・・。「全米オープン」初日の藤田さんは、朝の8時17分に11番ホールからのスタートでした。 なぜ10番からスタートしないのかと言うと、コースの設計上、10番ホールのティグラウンドまでは凄く距離があって、歩いていくのはちょっと厳しいからなんです。練習場が、隣接している「メリオンゴルフクラブ 西コース」にあるため、1番ホールに向かうのにもシャトルバスを利用して、練習場から約15分もかかるんですよ。 そんなこんなで、余裕を持ってゴルフ場に行かなければいけないため、今朝は5時半にレンタルハウスを出発。ゴルフ場のプレーヤーズラウンジでご飯を食べて、練習して、シャトルバスに乗...
2013/06/15キャディレポート

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート2013<5>】

昨日の午後組がサスペンデッドになった影響で、藤田さんの今日のスタートは夕方の4時47分でした。日本の感覚なら“薄暮プレー”みたいに感じるでしょ。でもね、こっちは陽が長いから夕方の6時、7時なんてまだまだ明るいんですよ。 トータル6オーバーで、1番ホールからスタートした藤田さん。いきなりスタート直後の1番、2番で4メートル前後のパーパットを残す大ピンチを迎えたんですが。そのパットを2つともど真ん中から決めて苦しい立ち上がりを耐えました。 その後、前半最大の難所でもある5番のミドルホールでティショットをクリーク(川)に入れてしまったんですが、3番ウッドで放ったサードショットでグリーンを捕え、ボギー...
2013/07/17全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート2013<2>】

ジャスティン・レナードとの約束がどうしても断れないとのことで、楽しみにしていた火曜日のジム・フューリックとの練習ラウンドは残念ながら無くなってしまったんです。でもフューリックが「明日なら大丈夫だよ!一緒に回ろう」って言ってくれて、水曜日に一緒に練習ラウンドが出来ることになりました。 それもね、明日はレナードも一緒なんです。フューリックもレナードも共にメジャーチャンピオンですから、試合の前日にその二人と一緒プレー出来る事は、藤田さんにとってとても大きな刺激となる事でしょう。僕自身も凄く楽しみです。 藤田さんのクラブセッティングでいつもと違うのは、ユーティリティを抜いてアイアンに変えたところ。普段...
2013/07/20全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート2013<5>】

残念ながら予選通過はなりませんでした。でも今日2日目は、藤田さんの今持っている力を全て出し切れたんじゃないでしょうか。 練習日からずっと同じ向きで吹き続けていた風が、今日は突然真逆からの風向きになったんです。ティショットをアイアンで打っていたホールでドライバーを握ったり、セカンドショットの番手が昨日までと3番手から4番手は変わったりして、まるで全く違うコースでプレーしているかのようでした、 それでも最後まで冷静に対応できたのは、藤田さんの今までのリンクスでの経験が豊富だったからです。僕自身はいろいろと戸惑いましたよ。急な風向きの変化に頭が付いて行かなかった。その辺がまだまだですね。藤田さんの今...
2013/07/19全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート2013<4>】

藤田さんの調子は決して悪くはなかったんです・・・むしろショットの調子は良かった。あのショットなら絶対に上位に入れるはずだもん。それだけに今日のこの結果は、もちろん藤田さんは耐えられないぐらい悔しいでしょうけど、僕も同じように悔しいですね。 今日の“敗因”はグリーン上でした。あの藤田さんが、最初から最後まで1度もタッチが合わなかったんです。後半は4度の3パット。恐らく藤田さん自身のゴルフ人生でも、ハーフで3パットを4回もすることなんてこれが最初で最後でしょうね。 藤田さんは練習日から、パッティングの調子もショット同様に良かったんです。練習グリーンでのストロークなんて本当に完璧だった。じゃあ何で!...
2013/07/18全英オープン

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全英OPレポート2013<3>】

ジム・フューリックとジャスティン・レナードという、豪華メンバーでの練習ラウンドが実現しましたよ。まさにメジャーの最終日のような顔ぶれで、僕もスタートの時は少し緊張しましたが、明日からトーナメントが始まる事を考えたら緊張なんてしている場合ではありませんからね。すぐに冷静になり、2人の良いところをちょっとでも吸収してやろうと思いました。 特に注目したのは、ティショットの番手です。二人の飛距離は、ドライバーもアイアンもほぼ藤田さんと一緒です。ドライバーでちょっと力を入れた時のレナードは藤田さんより15ヤードぐらい前に行くかな。でも基本的には変わらないので今日は非常に参考になりましたよ。 ショートホー...
2013/04/12マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<7>】

結果はもうご存知の通り、藤田さんは出場全93人中、87位と大きく出遅れました・・・。アウトコースは苦しいながらも持ち前のショートゲームで耐え凌ぎ、後半のチャンスホールで何とかアウトの2オーバーを取り返したかったんですが、そのチャンスホールである13番のロングホールで痛恨のトリプルボギーを叩き、一気に後退してしまいました。 今日は藤田さんの本来のショットではなかったですね。フェアウェイキープは14ホール中、5ホール。パーオンに至っては、18ホール中、7回でした。 でも、アプローチとパットのフィーリングはとても良かったですよ。グリーンを外した時には難しいアプローチばかりが残りましたが、抜群のタッチ...
2013/04/11マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<6>】

昨日はアウトを回ったので、開幕前日の今日はインコースで練習ラウンドをしました。前回のレポートにも書きましたが、やはりインコースの方がコース攻略の全体的なイメージが出しやすいですね。 藤田さんの調子次第では、丁寧に行けば確実にインコースで3ホールはバーディチャンスに付けられるはず。アウトを1オーバー、2オーバーぐらいで回って来られたら、後半は面白いかもしれません。 石川遼くんのキャディを務めるのは、日本ツアーでもおなじみのプロキャディのサイモン・クラーク。サイモンは1995年から日本ツアーで「ヤーデージブック(コースガイド)」を作っているんです。絵も上手だし、パッと見ただけでホール全体のイメージ...
2013/04/13マスターズ

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦のマスターズレポート2013<8>】

トータル20オーバー。藤田さんの2度目のマスターズ挑戦が終わりました。 いろんな手段を駆使してオーガスタ攻略に挑んだんだけど、全てことごとく跳ね返されました。今回の藤田さんの状態ではとても敵う相手ではなかったですね。 でもね、負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、藤田さんの調子さえ良かったら何とかなる気がするんです。優勝争いするとか、上位に入るとかそういう事じゃなくて、オーガスタとは良い勝負ができそうな気が。 最初に連れて来て頂いた時には、「世界にはこんな恐ろしいコースがあるんだ・・・」って驚愕したけど、今回は、結果は別にして、攻略ルートはしっかりと見えていましたから。このコースにはラッキーが...
2012/10/12日本オープンゴルフ選手権競技

【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の日本OPレポート2012<4>】

長い長い予選ラウンドの2日間が終わりました。結果的にはトップに4打差の3位タイと、これ以上ないくらい良い位置で折り返す事が出来ました。でも、今日の2日目は、勝負どころのパット次第ではどちらに転んでもおかしくありませんでした。 明暗を分けそうだったのは、2つのパーパット。1つ目はスタートホールの3メートルのパーパットです。右ラフからのセカンドショットを狙い通りの場所に外したんですが、絶好の位置からのアプローチが寄りませんでした。あれを外していたら、今日1日の展開はガラっと変わっていたでしょう。そのパットをど真ん中から決めたことで、昨日の良い流れを今日のラウンドに繋ぐことが出来ました。 2つ目は後...