2016/08/31GDOEYE

世界選抜vs米国選抜 PGAツアーキャディたちの真剣勝負

米国男子ツアーは2週前にレギュラーシーズンを終え、プレーオフシリーズに突入。そのポストシーズン期間中に、国のプライドをかけた、ある対抗戦が行われた。出場したのはプロゴルファーではなく、彼らをサポートするキャディたち。「ワールド・キャディ・マッチ」と題された第1回大会が29日(月)に開催された。 米ツアーを仕事場にする各国のプロキャディが中心となって発足した大会は、テキサス州の法律事務所がメインスポンサーとなり、各ゴルフメーカーなども協賛。プレーオフ初戦「ザ・バークレイズ」の行われたベスページ州立公園(ニューヨーク州)から、今週2日(金)に開幕する第2戦「ドイツバンク選手権」の会場TPCボストン...
2016/07/04GDOEYE

松山英樹の決断と苦悩 代表辞退が問いかける五輪ゴルフの意義

米ツアー2勝、世界ランキング16位。8月のリオデジャネイロ五輪で日本のエースと期待された男子ゴルフの松山英樹が、代表入りを辞退した。ブラジルで広がるジカ熱をはじめとした衛生環境や治安問題への懸念、そして松山本人の虫刺されに対するアレルギー反応など、欠場は多岐にわたる不安要素を勘案しての決断だった。 「ジェイソン・デイがオリンピックに行かないかもしれない」――。そんな情報を松山がキャッチしたのは5月のことだった。 メジャーをはじめとしたビッグトーナメントが短期間でひしめく強行日程に加え、ジカウイルスによる感染症を心配して、出場を辞退するプロゴルファーが相次いでいるリオ五輪。ここ数カ月の間、世界最...
2016/04/14GDOEYE

「弟を作り出しているみたい」池田勇太、新スタイルに違和感と楽しさ

「足先からサンバイザーまで」。コーディネートの大半はまだ、メーカーと、信頼するマネージャーの仕事だそうだ。3タックのパンツを、ノータックモデルにはき替えて30歳のシーズンに入った池田勇太。3月末に契約を済ませたマスターバニー・ブランドのウエアに身を包んで迎えた「東建ホームメイトカップ」初日。5アンダー3位と絶好のスタートを切ったが「お客さんは誰がプレーしているか、分からないんじゃないかなあ」と照れ笑いを浮かべた。 細身に作られた今風のパンツはまだ「キツイ、キツイ」という。大事なショットやパットの動作に関しては「伸びる素材だから。アレが効いてる。ストレッチ?そう、ソレが効いてるから」と影響はない...
2016/02/15GDOEYE

世界ランク447位から 39歳テーラーが家族愛でつかんだ11年ぶり勝利

米国男子ツアー「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」最終日。首位から出たフィル・ミケルソンが3シーズンぶりの復活優勝に挑んだ中、1打差で優勝をつかんだのは思わぬ伏兵だった。最終18番で決めればプレーオフという1.5mのパットを外して膝に手をついたミケルソンと対照的に、この日「65」を叩き出し50分近く前にホールアウトしていたボーン・テーラーは、信じられないといった表情で11年ぶりの勝利の瞬間を味わった。 6打差を追って最終組の4組前でスタートした。「10位以内に入って、来週の出場権を得ることが目標だった」とテーラーは言う。現実的な目標だった。 前週はコロンビアのボゴタにいた。下部のウェブド...
2016/02/18GDOEYE

リビエラCCで、ツアー最長の30年間君臨する記録とは?

今年、米国男子ツアー「ノーザントラストオープン」に初参戦する世界ランキング3位のロリー・マキロイ(北アイルランド)は、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊にあるリビエラCCを評してこう言った。「ここは、“考える人”のコースだね」。 1926年にジョージ・トーマスによる設計で誕生した18ホールは、パー71で全長7322yd。「めちゃくちゃ距離が長くてティショットをかっ飛ばさなくちゃいけない、ということはなく、とても戦略的なコース。フェアウェイの正しい位置に置かないといけないし、グリーンの正しい面に載せないといけない」とマキロイは続けた。 「ノーザン―」の前身である「ロサンゼルスオープン」がここで初開...
2016/02/09GDOEYE

見えてきた松山英樹がメジャーを制する日

グリーンサイドでカメラを構えながら、何度息を飲んだことだろう。ファインダー越しに松山英樹がゆっくりとパターをストロークしていく。思いを乗せた球はその日終盤、どよめきのような歓声を残して次々に視界から消えていった――。 あの雰囲気を正確に伝える言葉を、今はまだ見つけられずにいる。確かに、“アメリカ人”リッキー・ファウラーへの応援が大多数を占めていた。「(応援の)99%は僕じゃない」と言った松山の言葉にも間違いはない。だけどそこに、異物はなにも存在していなかった。2人はそこにいて、1つの頂点を争って戦う、対等な1人の男と男だった。 自分にとっては2年ぶり2度目の取材となったアリゾナ州のTPCスコッ...
2016/02/08GDOEYE

日本ツアー初開催 ミャンマーOPで見たこと、聞いたこと、思ったこと<後編>

気候で言えば、シンガポールに比べれば、極めて快適だった。雷雲も来ない、雨も降らない。湿度が低いから、風が心地いい。アジアンツアーに帯同しハイライト映像を撮影している豪州人男性が言うには「ミャンマーは他のアジアの国と変わらない。回る国の中では…パキスタンが一番怖い。あそこに比べたら、何の問題もない」。(そりゃ、そうだろうけど…) とはいえ、コースコンディションは望ましくなかった。5月中旬から11月にかけて長い雨季となるミャンマー。昨年は大雨を受け、コースは水に沈んだ。そのため、フェアウェイやラフの芝の根付きが十分でなく、見た目にも荒れていた。実際に、競技では4日間を通してプリファードライが適用さ...
2016/02/08GDOEYE

「楽して勝ったことはない」 進藤キャディが語る松山英樹との2勝目

「僕たち、一回も楽をして勝ったことがない。全部、接戦しかないですから」。76ホールの長丁場を戦い終えた進藤大典キャディは、そう言って汗をぬぐった。「勝てた一番の要因は、英樹の底力と粘り強さです」。61万8365人が訪れた「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で、松山英樹は2年ぶりとなるツアー2勝目を達成した。 最終日、松山は一度も単独首位に立たなかった。 ダニー・リー(ニュージーランド)を3打差で追いかけてスタート。3番で松山、リー、リッキー・ファウラーの3人が首位に並んだ。10番のチップインバーディでファウラーがひとつ抜け出すと、15番で2打差となった。 16番(パー3)では、先に...
2016/02/13GDOEYE

日本では馴染みのないアマ混合 プロの捉え方は?

日本ではあまり見ることのないフォーマットだ。今週、カリフォルニア州にあるペブルビーチGLをメイン会場として開催されている米国男子ツアー「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」は、試合中もプロとアマチュアが一緒に回る。プロによる通常のストローク戦のほか、プロ1人とアマチュア1人がペアを組んだチーム戦も並行して行われるのだ。 チーム戦は、アマチュアのネットスコア(ハンデ込みのスコア)と、プロのスコアの良い方がチームスコアとして採用される。たとえば、該当ホールでプロがパー、ハンディキャップのついたアマチュアもパーを獲れば、そのホールのチームスコアはハンデ込みで「-1」といった具合。 通常、PGAツ...
2015/10/11GDOEYE

“見えざる大混戦” 最終組の勝敗を分けたのは?

大混戦となった国内男子ツアー「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」最終日を制したのは、2打差を追ってスタートしたイ・キョンフン(韓国)。サンデーバックナインで5バーディを集中させる7バーディ、3ボギー「67」(パー71)をマークし、通算16アンダーで鮮やかな逆転優勝を収めた。 同じ最終組で2打差リードの単独首位から出た近藤共弘、イと同じ2位から追った宮里優作は、それぞれ通算15アンダーの2位、通算14アンダーの6位で終戦。終盤まで接戦の展開に加わったが、ともに伸び悩んだ後半が勝敗を分けた。 偶然にも2人の敗者の口から出たのは、コース内に3つしか設置されていな...
2015/10/13GDOEYE

韓国開催だった アジア初の「プレジデンツカップ」を検証する

着陸態勢に入った航空機の窓から見えたそれは、整然と区画されたテーマパークのようだった。朝鮮半島の西海岸沿い。2010年にオープンしたジャック・ニクラスGCコリアは、幾何学模様の高層ビルが並ぶ仁川広域市・松島国際都市を彩る新興クラブだった。「ザ・プレジデンツカップ」がアジア初開催となった2015年。2年に1度の国をまたいだ対抗戦を開催するにふさわしいダイナミックなトーナメントコースがお隣、韓国にあった。 ティからグリーンまで全面ベント芝の18ホール。韓国のゴルフ場と言えば、アップダウンが激しく、狭い山岳コースばかりと耳にしていたが、少なくともこのコースは様子が違った。設計者はもちろんジャック・ニ...
2015/10/10GDOEYE

HONMA契約最古参 リャン・ウェンチョンが見てきたこと

今季から国内男子ツアーの新規競技として産声をあげた「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」。今大会出場選手のうち主催する本間ゴルフと契約を結ぶホストプロは総勢12人にものぼり、今や多くのトッププロを抱える同社の勢いを象徴する舞台となっている。 本間ゴルフは2012年に岩田寛、13年に小田孔明と上井邦浩、14年に谷原秀人と高山忠洋、今年から藤本佳則と、近年は日本男子の実力者たちと続々に契約している。ただ、その最古参となるのは04年から契約を結ぶ中国人選手リャン・ウェンチョン(中国)。今年で12年目のシーズンを迎えている。 リャンはいう。「長い歴史がある本間ゴルフ...
2015/10/16GDOEYE

強さだけではない価値 元世界女王が語った願い

世界ナンバーワンプレーヤーはゴルフが上手いだけではない。日々、そんな思いを胸にこめながらプレーを続けてきたのか――彼女の知られざる一面を垣間見て、ただただ感服してしまった。 16日に千葉県の東急セブンハンドレッドCで開幕した「富士通レディース」初日。2010年には世界ランク1位に上りつめた申ジエ(韓国)がイーブンパーの「72」でプレーして3位タイの好スタートを切った。悪天候の影響で、イーブンパー以上でプレーした選手が9人に留まった中、「こんな日はスコアを伸ばせなくても、守ることが大切」と淡々と振り返った。 話は前週の「スタンレーレディス」にさかのぼる。初日42位とやや出遅れたものの、9ホールの...
2016/05/10GDOEYE

SNS炎上…ある女子プロのファンをめぐるつぶやき

米ツアーからスポット参戦したレクシー・トンプソンが「こんなに礼儀正しいファンは見たことがない」と、笑顔とハイタッチを振りまきながら優勝した国内女子メジャー「ワールドレディスサロンパス杯」。だが、その裏で同週に、ギャラリーの応援方法を巡って議論となり、SNSの更新をやめた女子プロがいたことはあまり知られていない。プロにとってファンは大事。だが、その距離感はいつも難しい。 ことの発端は、ワールドレディスの前週「サイバーエージェントレディス」でのことだ。そのプロは、選手仲間の間でも有名な“熱烈なファン”を持つ選手と同組になった。静寂に包まれたゴルフ場で、周囲の選手に配慮しない大声で声援を送り、応援し...
2016/05/15GDOEYE

ケガから復帰の葭葉ルミ 休養中に届いた贈り物とは?

「切っちゃいました」。肩下まであった髪をバッサリと切り、ショートヘアで心機一転を図るのは葭葉ルミだ。公傷明け3試合目となる「ほけんの窓口レディース」で、初日「73」、2日目「71」として、通算イーブンパーの20位タイで最終日を迎える。復帰後、好調に予選通過を続けているが、9ラウンド目で初めてのアンダーパーに胸をなで下ろした。 今季第2戦「ヨコハマタイヤ PRGRレディス」の2日目、プレー中にコース内の階段を降りようとした際、右足首をひねり、その後の検査で「右腓骨遠位端(みぎひこつえんいたん)骨折」と診断された。幸い大事には至らず、約1カ月の休養で復帰した。 「とにかく安静、安静と言われ、最初の...
2016/03/26GDOEYE

馬場ゆかりは落ち着くのか

馬場ゆかりは落ち着かない。2002年にプロ合格。11年までにツアー3勝を挙げた。その後、勝利はない。昨年は賞金ランキング53位に終わり、11年間守ってきた賞金シードを失った。 今季の出場資格はQT51位で、レギュラーツアーのフル出場権はない。第4戦「アクサレディスin MIYAZAKI」は、自身にとっての初戦。初日を「71」、2日目を「72」でまとめ1アンダー10位タイで最終日に臨む。 多くの選手から「お帰り」と迎えられた。「涙が出るほどうれしかったんですよ」と笑顔で話す。 昨年末のQTを終えたとき「来年(2016年)はもともと試合数を減らそうと思っていた」と語った。だが、自分のために使うつも...
2016/03/29GDOEYE

【リオ現地レポート(5)・完】残り4カ月で完成度97%? ブラジル流の理解とは

リオデジャネイロの観光名所の1つに“ポン・ヂ・アスーカル”(砂糖パン)と呼ばれる岩山がある。英語名はシュガーローフ。あえて日本語で言うなら「すり鉢山」だろうか。半島の上にそびえた頂上まで行くと、コパカパーナビーチやグアナバラ湾を一望できる絶景スポットだ。 忙中閑あり。今回の取材中、この“ポン・ヂ・アスーカル”(現地の発音だとポンジャスッカと聞こえる…)に立ち寄る機会があった。意気揚々とふもとからロープウェイに乗り込み、到着したのは山の上に開けた台地。ちょっとした展示スペースや売店、ベンチなどが並び、多くの人が記念撮影にいそしんでいた。 同行した女子学生が勧めてくれた、ブラジル名物だというシャー...
2016/03/25GDOEYE

救済を受ける?受けない? 松山英樹が下した判断

ゴルフのルールブックを開くと、最初に飛び込んでくるのは次の文言だ。 「球はあるがままにプレーせよ。コースはあるがままにプレーせよ。それができないときは、最もフェアと思う処置をとる。最もフェアと思う処置をとるためには、ゴルフ規則を知る必要がある」 とはいえ、おやっと思うような処置を目にすることも少なくはない。それは、プレーヤーの意志を尊重するゴルフ競技の性質上、完全にはなくならない類いのものだろう。 「WGCデルマッチプレー」の2日目、松山英樹のプレー中に起こったある場面は、そんな疑問も起こり得るケースだった。舞台は松山が4アップで迎えたドーミーホールの15番。ここで、松山はティショットを大きく...
2015/11/02GDOEYE

救済の理由は「殺人アリ」 マレーシア開催の米ツアー

マレーシアにあるクアラルンプールG&CCで開催された米国男子ツアー「CIMBクラシック」の最終日、珍しい場面に遭遇した。 プレーしていたのはジンバブエ出身のブレンドン・デ・ヨングで、見ると18番ホール左脇にある木の根元に、どうやら彼の物らしき球が止まっている。地面を這う木の根っこにくっついているために「このまま打ったら手を怪我するんじゃないのかな?」と思える厳しい状況だ。 だが、競技委員を呼んで何やら説明をしたデ・ヨングは、元の球があった場所から少し離れたところに“別の球”をドロップしてそれを打つと、元の球はほったらかしにしたままスタスタと次打地点へと歩いていってしまったのだ。 木の根っこだか...
2015/10/31GDOEYE

タフなピン位置とリーダーボードが物語るもの

兵庫県のABCゴルフ倶楽部で開かれている国内男子ツアー「マイナビABCチャンピオンシップ」は3日目を終えて、上位5人を韓国系の選手が占めた。日本勢の最上位は6位につける谷口徹、藤本佳則、片岡大育の3人だが、首位とは5打離されている。 今大会では、多くの選手からグリーンの端々に切られたピンポジションについて戸惑いの言葉が聞こえる。各日配布されるピンポジションシートを見ると、グリーン左右のエッジから5yd以内に切られたピンは、ここまで3日間の54ホール中46ホール。大会名物の高速グリーンや傾斜と合わさって、難度を押し上げる一因となっているのは間違いない。 日本ゴルフツアー機構(JGTO)関係者によ...