豪州ツアー予選会突破の早大生アマ・中野麟太朗が見据える道「久常涼さんみたいに」
◇国内男子◇中日クラウンズ 最終日(4日)◇名古屋GC和合C(愛知)◇6557yd(パー70)◇晴れ(観衆6320人)
パンツに通したベルトが一番“きつい”穴で留められている。今季初めて国内ツアーに参戦したアマチュアの中野麟太朗(早大)は、昨年よりも明らかに身体が引き締まっているように見えた。「トレーニングというより、食生活ですね。海外に行ったら、3年連続やせているので。名古屋は(食事がおいしくて)結構食べてしまって、太っちゃってるんですけど、それでも98…99㎏は行ってないと思います」と笑った。
2023年「日本アマ」を制し、現在ナショナルチームメンバーでもある21歳は今年2月中旬から2カ月近い期間を海外で過ごした。まずは過去2年同様にニュージーランドで3週間ほど。そして、オーストラリアに移ってからの約1カ月は現地で自炊生活を送っていたという。
例年と大きく違ったのは、3年生までは大学ゴルフ連盟の規約で認められていない国内外の予選会受験が可能となったこと。中野は早速オーストラリアツアーのクオリファイング・スクール(予選会)に挑戦し、ビクトリア州ムーナリンクスで4月14日から行われたファイナルでも16位フィニッシュ。26位タイまでに与えられる出場資格を獲得した。
スポット参戦した国内ツアーで優勝してプロ転向――。日本の実力派アマが当たり前に描くようになった出世ルートは、中野にとっても同様だった。そこから視野を広げ、海外ツアーの予選会にまで目を向けるようになったのは、積み重ねてきた経験によるところが大きい。
昨年10月、中野らを抑えて「アジアアマ」を制したウェニー・ディン(中国)は、トップアマに門戸を開くDPワールドツアー(欧州ツアー)の出場資格を得てプロ転向。アジアアマ優勝による2025年「マスターズ」&「全英オープン」の出場権を“放棄”する形でツアーに飛び込み、ここまで年間ポイントレース37位と健闘している。「刺激を受けました。彼なりにちゃんと(信念を持った)選択をしていて、カッコいいなと。選択肢はいろいろあったんだなと思ったんです」
オーストラリアツアーには欧州との共催大会もあり、年間レース上位者には日本ツアー同様に欧州の出場資格が付与される。そして、欧州の先にはPGAツアーがある。最高峰にたどり着くルートはひとつとは限らない。
「原動力の塊みたいな、久常さんのような選手になっていきたい」。日本の下部ツアーで賞金王、レギュラーツアーには1年いただけで欧州へ飛び出し、PGAツアーのシード選手に名を連ねるまでになった1学年上の久常涼がロールモデル。国内ツアーの予選会挑戦も明言し、選択肢を増やしながら4年目の大学生活を必死に駆け抜けようとしている。(愛知県東郷町/亀山泰宏)
亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。