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地震から2年8カ月 熊本最古のゴルフ場の現在

2018/12/25 06:35

2018年12月に訪ねた「くまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コース」(熊本県南阿蘇村)は無残な姿をさらしていた。クラブハウスはほこりにまみれ、ティグラウンドは土がむき出し。フェアウェイのいたる所にひびが入り、バンカーの砂はなく、グリーンに芝は張られていない。カート道は土で隠れ、練習場のネットは落ち、雑草だらけ。ラフには伐採された松の木が積み重ねられ、お世辞にもゴルフを楽しめる状態ではない。

1952年に開場した熊本県で最も古いゴルフ場は「湯の谷」の愛称で多くのゴルファーに親しまれていた。井上誠一監修の名門コースは世界最大級のカルデラを望む絶景とフェアウェイの女性的なうねりが特徴だった。その景色を、2016年4月に起きた熊本地震が一変させた。

■「これが地震の臭いだ」

総支配人の永畑雄一郎さん(44)は「地震直後は自宅のライフラインの確保で精一杯だった」と振り返る。2日後にようやくコースに向かうことができたが、国道57号から南阿蘇村に入るルートにかかっていた阿蘇大橋(通称・赤橋)は崩落し、普段は50分ほどの道のりを3時間半かけてたどり着いたという。

コースをセパレートする松の木は多くが倒れていた。“馬の背”と呼ばれる名物ホールの3番(パー5)はティグラウンドが崩れ落ち、亀裂の入ったフェアウェイには段差ができていた。コース脇の阿蘇登山道が崩壊し、土砂が11番と12番に流れ込んで、13番のグリーンは半分が崩れ落ちた。上空を自衛隊のヘリコプターが飛び回る中、「言葉が出なかった」。

視覚で捉えた状況もさることながら、それ以上に「なんとも言えない、眠っていた土の“泥臭さ”が充満していた」ことが忘れられない。「これが地震の臭いだ」と感じた。

■自動車販売店で勤務も

営業を再開するには「どれほどの労力と時間と費用がかかるのか、想像もできなかった」。地震から2カ月後の6月にはいったん事業を閉鎖した。40人ほどのゴルフ場スタッフは数人を残し、退職を余儀なくされた。永畑さんの管轄下にあったゴルフ場近くのホテルと劇場の営業も停止され、グループ会社が経営する自動車販売店で働くことになった。

約1年半が経ち、建物とカート道には行政からの補助金交付が決まった(コースや土地は対象外)。数度の理事会を経て、オーナーは10数億円かけて再建すると決めた。「見えるところくらいは綺麗にしたかった」とコース管理のスタッフが1番ホールの芝刈りを始めた。それは、約1200人のゴルフ場メンバーへの「がんばります」というメッセージでもあった。一方で、長期間放置されたダメージは大きかった。配管が全滅していたため散水できず、グリーンは壊滅状態。多くの松の木は虫に食われ、伐採するしかなかった。

■2019年秋の営業再開へ奮闘

現在は「コース整備の人手が足りない」という課題を抱えながら、2019年10月のプレオープン、20年4月のグランドオープンを目指し奮闘中だ。元の4番(パー3)は消滅し、パー5だった3番ホールを3番(パー3)と4番(パー4)に改修。パー71でのレイアウトに変更する予定だ。

1300人の新規会員を募集し、永畑さんは具体的な目標を「再開から3年後の黒字化」と掲げる。「もっとにぎわってくれば、事業の拡大も可能。ホテルと劇場は更地になっている」と新しいリゾート事業を模索。「阿蘇の復興に力添えになれば」と夢は大きい。「雪が降るとアルプスみたいになって、きれいなんですよ」。360度広がる阿蘇カルデラを眺め、目を輝かせた。(熊本県南阿蘇村/柴田雄平)

柴田雄平(しばたゆうへい) プロフィール

1977年生まれ。身長は188cm。猫好き。モデル、俳優業から紆余曲折を経てGDOニュース編集部へ。GDOモテゴル研究部ではシバッバとして活動する。出張が多くなったが「地方のビジネスホテルに一人で泊まるのが苦手」というクリティカルな問題を抱えている。ツイッター: @shibabba

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