2015/03/28GDOEYE

「諦めたくない」松村道央が見せたプロ根性

「せっかくモロッコまで来たのだし、諦めたくないという気持ちだけだった――」。 モロッコにあるゴルフ・ドゥ・パレロイヤルで行われた欧州ツアー「ハッサンIIトロフィー」2日目、カットラインぎりぎりの通算2オーバーで予選通過を果たした松村道央は、強い日差しで赤らんだ顔で、そう振り返った。 予期していたとはいえ、序盤から苦しんだ。左手に海を望む2番(パー3)でボギーを先行させると、4番もボギー。続く5番(パー5)はバーディの欲しいホールだったが、レイアップ後の3打目はインパクトが強く入ってグリーン左奧のバンカーの上で止まった。 ピンの切られたグリーン面からは2m近く隆起しており、ピンに向かっては強い下...
2015/04/04GDOEYE

破竹の勢いの大型新人キム・セヨン タイトル獲得に必要なのは?

“逆転の女王”が首位に浮上した――。カリフォルニア州のミッションヒルズGCで開催されている、米国女子メジャー「ANAインスピレーション」の2日目、イーブンパーの26位から出た新人の22歳キム・セヨン(韓国)が1イーグル、6バーディ、1ボギーの「65」の猛チャージで、単独首位に飛び出した。 メジャーの難セッティングに上位勢が苦しむ中、午前8時16分にティオフしたキムは前半に4つのバーディを奪ってスコアボードをじわり浮上。15番までに6つのバーディを奪って首位に立つと、16番でこの日はじめてのボギーを叩いた。 圧巻のプレーは最終18番。完璧なティショットでフェアウェイを捕らえると、ハイブリッド(ユ...
2015/04/05GDOEYE

アジアのヒーロー候補ラヒリ 初のマスターズへ

松山英樹は既にアジアのプロゴルフをリードする若手の筆頭候補。その実力の認知度は大陸や大海原を飛び越え、既に“ワールドクラス”だが、次週の「マスターズ」前に、アジア発のニューヒーローとして台頭著しいのが、インド出身のアニルバン・ラヒリだ。 今年2月、アジアンツアーと欧州ツアーの共催試合「メイバンク・マレーシアオープン」と「ヒーローインディアンオープン」で立て続けに優勝。3月末の最新世界ランクで33位に入り、同50位以内の資格で初のマスターズ出場権を手に入れた。今年10月に行われる対抗戦「ザ・プレジデンツカップ」の世界ランクによる世界選抜チームの選考レースでは、アダム・スコット、ジェイソン・デイ(...
2015/08/19GDOEYE

おかげで多趣味 テレサ流、勝つためのメンタル術

最終日最終組での優勝争いの前夜、当事者である選手たちはいったい何を考えて長い夜を過ごすのだろうか?「NEC軽井沢72」が行われた土曜日の晩、テレサ・ルー(台湾)はホテルの自室にこもっていた。手には鉛筆を持ち、目の前にはスケッチブックが開かれている。そう、絵を描いていたのだ。 「絵を描いていると、集中できるし、気持ちが落ち着くから――」。数カ月前から始めたという新しい趣味で、今は動物や肉体を、手本を見ながら模写しているという段階。それでも、優勝争いで高ぶる神経を静め、心地よい集中へと導いていくドローイング(絵を描くこと)が、翌日のパフォーマンスに好影響を与えたことは想像に難くない。 話を聞いて...
2015/07/16GDOEYE

ネガティブ?達観?岩田寛の「全英」との向き合い方

ゴルフの聖地セントアンドリュースで行われる2015年の「全英オープン」に出場する日本勢は8人。最後にその輪に加わったのは、岩田寛だった。前週初めの段階ではウェイティングリスト(待機選手)の3番目で、繰り上がりを信じて、出場権を持たないまま渡英を決意。そのたくましい気概は出国前に報われ、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、アレックス・ノレン(スウェーデン)、クリス・カークが欠場したことで、フィールドに滑り込んだ。 吉報が伝わったのは前週の国内ツアー「ミュゼプラチナムオープン」で予選落ちした直後の週末。「知らせを聞いて?…あっ、と思った。(仙台の)自宅で知りました」。表情ひとつ変えることなく(?)...
2015/07/15GDOEYE

彼女なのか?彼なのか?全米女子で見た気になる2人

次々に、きら星のような若手選手が現れて人々の注目を誘うのは、国内女子ツアーも米国女子ツアーも同じだ。今年の米ツアーでは19歳のミンジー・リー(オーストラリア)がツアー初優勝を果たし、17歳のブルック・ヘンダーソン(カナダ)は、来年のシード権獲得に向けて着々と賞金を稼いでいる。 今回は少し気が早いかもしれないが、ランカスターCC(ペンシルバニア州)で行われた「全米女子オープン」で目にとまった2人の若手選手を紹介したい。 1人目はヘ・ムニ(Muni He)という選手。中国・成都の出身で、現在はカリフォルニア州にあるトーレパインズ高校に通っている1999年6月16日生まれの16歳。成都はパンダの繁殖...
2015/07/19GDOEYE

大切なことはリンクスとトム・ワトソンが教えてくれた

ゴルフの聖地に、レジェンドがまたひとり別れを告げた。「全英オープン」で歴代2位の通算5勝を挙げたトム・ワトソン。セントアンドリュース・オールドコースで開催の2015年大会で、“新帝王”は英国リンクスでの戦いに終止符を打った。 フィナーレは大会2日目に訪れた。大会自己ワーストとなる「80」を叩き、予選落ちが決定。「ああ、見苦しい」と笑ったが、65歳がここまで重ねてきた功績は、微塵も色あせるはずがない。 「いまは様々な思いが胸の中で交錯している」というワトソン。米国出身で、もともとはリンクスコースを得意とするスタイルではなかった。「やっと楽しめるようになった」のは1980年代初頭、既にクラレットジ...
2015/07/17GDOEYE

台風の中で600キロ走破 プロゴルファー表純子の生きる道

国内女子ツアー「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディース」の初日、1アンダーの16位で滑り出した表純子は、キャディがいつもの名コンビ、夫・広樹さんではなかった。広樹さんの母が開幕前日の16日、66歳の若さで急逝したためだ。 「(義母が)危ないと聞いて、夫を先に自宅に戻していたので、今週のキャディをお願いした」と、代役でキャディバッグを担いだのは女子プロ仲間の前田久仁子だった。 表のもとに訃報が届いたのは、試合会場でプロアマ出場の待機をしていた16日午前11時。今週のキャディ前田とともに、広樹さんの実家がある静岡県菊川市まで車を走らせた。最期のお別れをいったん済ませると、午後9時には実家...
2015/07/17GDOEYE

ホールアウトは午後9時35分 全英最終組はつらいよ

朝日を柔らかに包み込む薄い雲。ゴルフの聖地、セントアンドリュースを舞台にした2015年の「全英オープン」は16日(木)、定刻通り午前6時32分にスタートした。第1組が1番ホールのフェアウェイに足を踏み出したそのころ、手嶋多一はまだベッドの中にいた。 2002年以来3度目の出場となったベテランが目を覚ましたのは、それからしばらくしてからのこと。日本からのフライトによる時差ボケの影響もあった。「何度も起きて3回くらい寝た。部屋から出てテレビを見たり…」。コースに到着したのは、午後2時ごろ。「昔ヨーロッパで(午後)2時半スタートというのはあったけれど、4時過ぎというのは経験がない」。午後4時13分が...
2015/06/14GDOEYE

朴仁妃の天敵? テコンドー3段のキム・セヨン

メジャー大会3連覇に向けて、死角がないように見える朴仁妃(韓国)。米国女子メジャー「KPMG女子PGA選手権」3日目を終え、通算14アンダーとして2位に2打差をつけているが、追いかけてくるキム・セヨン(韓国)には注意が必要だ。 今年がルーキー・イヤーのキムは、現在22歳。今季2戦目の「ピュアシルク バハマLPGA」でツアー初優勝を飾ると、2カ月後の「ロッテ選手権」で早くも2勝目をマークした。そのバハマで、第3ラウンドを終えて首位にいたのは朴。ハワイ(ロッテ選手権)のプレーオフで破ったのも朴だった。 「だからきっと彼女は、インビーとプレーしたら勝てると感じていると思う」と朴は言う。「でも、なにご...
2015/06/12GDOEYE

「フェードを打ちたい…」横峯さくらが失ったもの

「フェードを打ちたいと思ってもなかなか打てない――」。横峯さくらはそう振り返った。米国女子メジャー第2戦「KPMG女子PGA選手権」初日は、途中3オーバーから盛り返して1オーバーの77位で終えた。「調子の悪さを受け入れながらのプレーだった」。日本ツアーで通算23勝を挙げている横峯だが、米国では今季10試合に参戦して、トップ10はわずか1回だ。 スタートホールの1番(パー3)は、右手前のピンを狙った6Iでのティショットを、左手前のバンカーに入れてボギーとした。「1番もそう。2番の2打目も(狙いとは逆の)左に行った」。ここはパーで切り抜けたが、ピンが左5ydに切られた6番(パー3)では左サイドのバ...
2015/06/06GDOEYE

華麗なるスコア回復!鈴木愛の爆発力の正体

悔しさゆえの爆発力か、それとも――。国内女子ツアー「ヨネックスレディス」の2日目、3オーバー68位から出た鈴木愛が、6バーディ1ボギーの「67」で回り、通算2アンダー。予選ラウンド通過が危ぶまれた中で見事なバウンスバックに成功し、11位タイに浮上した。 “裏街道”ともいわれる土曜日のインスタートから出た鈴木は12番で最初のバーディを決めると、17番、18番と2連続。18番(パー5)では、ピンまで約20ydの3打目アプローチを1mに寄せてバーディを奪った。後半の7番(パー3)は「ティショットの当たりが薄かった」と、警戒していたグリーン右サイドのラフに入れ、寄らず入らずのボギーとしたが、この日の最...
2015/06/07GDOEYE

米国の中年の星 ケニー・ペリーがレギュラーツアーに別れ

米国男子ツアー通算14勝のケニー・ペリーが、オハイオ州ミュアフィールドビレッジGCで開催中の「ザ・メモリアルトーナメント」を最後に、レギュラーツアーから退くことを明らかにした。 8月に55歳になるペリーは、予選2日間を通算イーブンパーで終え、決勝ラウンド進出に1ストローク及ばなかった。週末を迎えることなくコースを後にし、長く主戦場としてきたツアーの舞台に別れを告げた。 「もう早起きするのにも疲れたよ。チャンピオンズツアーは一番早いスタートでも朝10時くらいだからね」。過去3勝を誇る同大会への出場は25回目だった。「悲しい気持ちはまったくない」と晴れやかに語り、今後はシニアツアーに専念する考えを...
2015/01/25GDOEYE

日本ツアーと米下部ツアー 有村智恵の選択は?

米国ツアー3年目となる有村智恵が、試練の年を迎えている。 昨季は米国ツアーの賞金ランク106位でシード権を喪失し、ファイナルQTも下位に低迷。今季は出場試合が限られる有村は24日(土)、次週のシーズン開幕戦「コーツゴルフ選手権 by R+L Carriers」の予選会に出場したが、7オーバー「79」をたたき、上位2人に付与される出場ラインに遠く及ばなかった。 「ひどかったです。ダメでした」。開口一番、胸にこもったフラストレーションを吐きだした。「練習場では良い感触が徐々に出ているけれど、いざ試合になると、まだまだ自分のものになっていないことを痛感した」。 現時点でいまだ出場が確定しているトーナ...
2015/01/24GDOEYE

9キロ減量 ゆる~い“ダフナリング”はいずこへ?

石川遼が2015年の初戦を迎えた今週の米国男子ツアー「ヒュマナチャレンジ クリントンファウンデーション」は、46年間続いた「ボブ・ホープクラシック」が2012年に医療・健康に関する金融商品を扱うヒュマナ社をスポンサーに迎えたトーナメント。会場のカリフォルニア州PGAウエストでは、ギャラリーブースにトレーニング器具が置かれたり、看板に「歩くことは、がんの予防になります」なんて具合に、健康を促すメッセージが記されたりと、なにかと“小うるさい”。 そんな大会に、今年ピッタリの選手が、2013年の「全米プロゴルフ選手権」覇者、ジェイソン・ダフナーだ。 ダフナーといえば、ショットの前に繰り返される小刻み...
2015/08/15GDOEYE

西山ゆかり初優勝に湧く疑問 キャディの力とは?

前週の「meijiカップ」でプロ転向7年目にしてツアー初優勝を飾った西山ゆかり。師匠である芹澤信雄が初めてキャディバッグを担ぎ、その週につかんだ初優勝は確かに劇的だったが、こんな疑問を持った人もいるのではないだろうか。キャディの力って、そんなにすごいの?――周囲のリアクションを集めてみた。 前提として、芹澤はプロキャディではなく“プロ選手であり西山の師匠である”という点が、ツアーに帯同するプロキャディたちとは異なっている。 イ・ボミ(韓国)のキャディを務める清水重憲氏は「我々(キャディ)の仕事の意義を少しは理解してもらえるかなという意味では良かったけど、ポッと来て勝たれたことには悔しさもある」...
2015/08/10GDOEYE

飛ばし屋 バッバ・ワトソンの美学とは?

そういった意味では、敗戦を密かに喜ぶ人もいるかもしれない。だって彼がコンテストに出ることが決まったんだから。オハイオ州ファイヤーストーンCCで行われた「WGCブリヂストンインビテーショナル」はシェーン・ローリー(アイルランド)が逆転で米ツアー初勝利。2打差の2位に終わったバッバ・ワトソンは次週の「全米プロゴルフ選手権」で、“ある約束”を果たすことになった。 13日(木)に開幕するメジャー最終戦は昨年、コースでドラコン大会を開催した。ティオフ2日前の火曜日に、多くの選手が1Wを使うホールでそれぞれのショットを計測し、飛距離を競わせる。同大会で数年ぶりに復活した、選手の練習ラウンドとファン向けのイ...
2015/08/09GDOEYE

フューリック 幸か?不幸か?“ケツカッチン”の最終組

最終18番で3mのパーパットを沈め、静かにガッツポーズを作ったジム・フューリック。午後6時過ぎのホールアウト後、公式会見場をあとにした彼は足早にコースを去った。 「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目、ジャスティン・ローズ(イングランド)に並ばれたものの、通算9アンダーで首位タイの座はキープ。「18番は初日、2日目とボギーだったから、パーで締めくくれてよかった」と話したが、内心は気が気ではなかったかもしれない。 彼にはこの直後に、別の予定が入っていた。6歳の頃から、アメリカンフットボールのプロリーグNFLのピッツバーグ・スティーラーズの大ファンであるフューリック。同チームでランニングバ...
2015/06/25GDOEYE

なくしたボールは2つ…議論沸騰の全米OPコースでプレーしてみた

ワシントン州初開催でジョーダン・スピースの歴史的なメジャー開幕2連勝が達成された今年の「全米オープン」は、コースについての議論が絶えない大会でもあった。 ゲーリー・プレーヤーにはじまり、ヘンリック・ステンソン、ロリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、果てはイアン・ポールターからビリー・ホーシェルまで。その論争は、開催コースのチェンバーズベイと主催するUSGA(全米ゴルフ協会)、さらに設計者のロバート・トレント・ジョーンズ・ジュニアまでをも巻き込んだ。 果たして、そんなにひどいコースなのか?大会の翌月曜日にチェンバーズベイをラウンドする機会を得たので、そのリポートを書いてみたい。(ワシントン州ユ...
2015/06/27GDOEYE

今やギャルファーの面影なし 金田久美子の気構え

3打差を追って「アース・モンダミンカップ」3日目をスタートした金田久美子が4バーディ、1ボギー「69」でプレーし、通算9アンダーでホールアウト。首位と1打差に迫り、2011年「フジサンケイレディス」以来となるツアー通算2勝目に前進した。 かつてはビジュアル系“ギャルファー”として奔放なイメージを漂わせていた金田だが、派手さが目立ったウエアは今やシックな装いに変わり、以前にも増してゴルフと真摯に向き合う姿勢を強く感じる。 この日も言葉にも、以前の自分自身と比較するような内容が多かった。紹介しよう。 「(予選2日間を)ボミちゃんと回って、調子が良さそうじゃないのにバーディを獲ってくる。今まではバー...