2012/08/11GDOEYE

「明日はミラクルを起こしたい」 日下部の急変

「自分でもビックリしています」とは、「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」最終日を通算8アンダーの単独首位で迎える日下部智子の言葉。その反応も、無理はないかもしれない。プロ9年目にして初の単独首位。最終日最終組は、実に07年の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」以来。ここ2年間はシード権をも手にできず、今季も20試合に出場して予選落ちは半数以上。その日下部が突然の躍進を見せ、ツアー初勝利に王手をかけているのだから。 この日の会見でも日下部自身、なにやら半信半疑の様子。「予選落ちが続いていたのに、まさか、いきなりこんなに上にいけるなんて」。しかし、その言葉とは裏腹に、プレー...
2012/08/11GDOEYE

風を操った怪人 V.シンが最年長記録に挑む

早朝から暴風が吹き荒れた「全米プロゴルフ選手権」2日目。キアワアイランドリゾート・オーシャンコースは、一夜でその表情を一変させた。大西洋からの海風は容赦なく打球を飲み込み、ピート・ダイ設計の難コースと相まって選手たちの頭を混乱に陥れた。平均スコアは初日73.33、そしてこの日は大会史上最大となる78.11(ホールアウトできなかった1名を除く)。4ストローク以上の差が、その脅威を示した。 この第2ラウンド、アンダーパーをマークしたのはわずかに4人。60台を出したのはただ一人、「69」で回ったビジェイ・シン(フィジー)だった。シーズン3勝を挙げ、通算3度目の賞金王となった2008年以降、米国男子ツ...
2012/08/13GDOEYE

ロンドン五輪の裏で英国勢が大活躍!どうなる2016年?

左隣に座っていた、英国人の記者が忙しそうにしていた。今季の海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」はロリー・マキロイ(北アイルランド)が、2位に8打差をつける圧勝でメジャー通算2勝目をマーク。タイガー・ウッズに取って代わる次世代スターの最有力候補として、その存在を再び世界に向けてアピールした。 猛烈な海風が吹き付けたシーサイドコース。一歩足を踏み入れたゴルフファンは、そこがまるで全英オープンが開催されるリンクスコースを思い浮かべた。しかし大会前、マキロイは「英国出身の選手には有利では?」という質問に「コース全体が硬くなればそうなるかもしれないけれど、軟らかいから。今週はどんな選手にもチャンス...
2012/08/12GDOEYE

11時間かけて獲った1つのバーディ

サウスカロライナ州キアワアイランドリゾートで開催中の「全米プロゴルフ選手権」。3日目は夕方のあいにくの悪天候によってサスペンデッドとなり、未消化ホールを最終日に持ち越すことになった。しかしそれに先立って、予選ラウンドが完了するはずだった2日目は、ただひとりの選手の判断が、第2ラウンドの日没サスペンデッドという事態を呼んでいた。 オランダ出身のユースト・ルテン、26歳。2日目アウトスタートの最終組でトーマス・エイケン(南アフリカ)、アラン・モリンとのラウンドは、日中の強風の影響もあって進行が遅れ気味に。夕焼けに包まれながらの終盤のプレーは次第に視界を悪くしていった。 「17番(パー3)でティショ...
2012/08/12GDOEYE

吉田弓美子が初めて見た、勝者の景色

09年のプロテストでトップ合格。2年後の11年には初シード権を手にし、今週の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で、プロテスト合格後から4年目でツアー初タイトルをつかんだ吉田弓美子。経歴を並べれば順調なキャリアを歩んでいるように見えるが、吉田はツアー初勝利までの道のりを「長かったかな、というのはあります」と言葉にした。 “プロテストトップ合格”という華々しい肩書からだけでは、見えてこない部分。07年から合格するまでの3年間は単年登録会員としてツアーに参戦していたが、「(2部ツアーの)ステップでも勝てず、レギュラーツアーでも成績が残せず、この3年は辛かった」と、失意の渦中にあった。 そして、同...
2012/07/08GDOEYE

“全米女子オープン”初挑戦を終えた2人

予選2日間を終えて、上位60位タイまでが決勝進出を果たした「全米女子オープン」。ピート・ダイが設計した難コースを前に、世界の精鋭たちの平均スコアは75.961で、カットラインは5オーバー。首位はスーザン・ペターソンの5アンダーで、2日間をアンダーパーで回ったのは12人。決して超ロースコアという訳ではないが、平均スコア80オーバーの選手が25人居たというのも、また一つの事実だ。 日本ではなかなか味わえない舞台に挑戦した日本人選手の中で、地区予選を勝ち抜いて出場したのが、綾田紘子(24歳)と中山三奈(22歳)の2人。綾田はニュージャージーの地区予選のオルタネートで繰り上がり出場を果たし、中山はホノ...
2012/07/07GDOEYE

それぞれの暑さ対策

今年の「全米女子オープン」は、40度近い暑さと湿度、さらに平均で5時間45分という長時間のラウンドが重なり、難コースに対するマネジメントで頭を悩ませるだけでなく、体力の消耗を抑えて集中力を維持するという別の戦いの要素も強い。 昨年チャンピオンのリュー・ソヨンは「日陰に入って、日傘をさして、たくさんの水を飲むこと。それだけね」と話し、ベアトレス・レカリは「たくさんの水を飲み、必要な時に電解質を取るようにする」と言う。 そんな中、宮里藍はほぼ究極だ。酷暑の初日を終えた宮里は、「できるだけのことはやりました。ちゃんと食べて、塩分もとって、ビタミン剤もとって、後半の4ホールくらいはアイスパックで首とか...
2012/07/06GDOEYE

梁津萬って誰?ご存知リャン・ウェンチョンです

国内男子ツアー「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」は予選2日を終えて3年ぶりの勝利を狙う今野康晴、初優勝を狙うイ・キョンフン(韓国)が通算10アンダーのトップタイ。キム・ヒョンソン、I.J.ジャンといった韓国勢が相変わらず元気な中、中国出身の梁津萬がトップに3打差の5位タイにつけている。 ところでこの見慣れない名前の選手は海外からの特別な招待選手でも、スーパールーキーでもない。2007年のアジアンツアー賞金王、10年ワンアジアツアー賞金王のリャン・ウェンチョン。日本ツアーでの勝利こそ無いが、04年から本格参戦しており、現在は世界を飛び回る中国の名手だ。 昨...
2012/07/09GDOEYE

誰も球を止められない?驚異のUSGAセッティング

「全米女子オープン」3日目、最高の難易度を誇ったのは、6番(パー3)。左奥へと伸びたグリーンのまさに左奥に切られたピンは、左エッジから5ヤード、奥からはわずかに9ヤード。ピンまでの距離は207ヤードで、前後には深いブッシュが生い茂り、しかもフォローの風が吹いていた。65選手が挑んでバーディは2つ。ダブルボギー以上が9つで、平均スコアは3.708というものだった。 「あれはもう、よく切るなるなぁここにと思って」という宮里藍。想定では、バックティを使うときは、グリーンが受けている右サイドにしか切ってこないと、キャディと共に踏んでいたという。「手前ギリギリに落としたとしても、グリーンの傾斜があるし…...
2012/07/20GDOEYE

武藤俊憲、メジャーで6位タイ発進にも「悔しいです」

「全英オープン」開催週の火曜日、武藤俊憲はメジャー2勝のアンヘル・カブレラらアルゼンチン勢と練習ラウンドを共にしていた。続く水曜日は、チェ・キョンジュ、ベ・サンムンら韓国勢の中で黙々とラウンドをこなす。「だって、日本選手は日本でも回れるでしょう」。練習ラウンドのスタート時刻は申込制。先に名前が書いてあるところに、空きがあれば誰でも入れるという仕組みだ。火曜日、スタート前のアプローチ練習場にカブレラが来ると、「あいさつしようかな。まだ話したことないんですよ。向こうは誰だと思っているでしょうね」と不敵に笑った。 「全英オープン」初日、前半からバーディを先行させて通算3アンダーで終えた武藤は、「悔し...
2012/07/19GDOEYE

メジャー無冠、ルーク・ドナルドの憂鬱

141回目を迎えた今年の「全英オープン」は、イングランドにあるロイヤルリザム&セントアンズで開催される。過去の歴史をひもとくと、イングランドでイングランド人がジ・オープンを制したのは、1969年のここリザムでのトニー・ジャクリンの優勝までさかのぼらないといけない。 既にその偉業から43年が経過しているが、世界ランク1位のルーク・ドナルドと同3位のリー・ウェストウッドというメジャー無冠の二人には、いつも以上の期待と責任が伴っていると言えるだろう。 ルークは、今年の「ザ・メモリアルトーナメント」時、同郷でメジャー6勝、うち全英オープン3勝のニック・ファルドに教えを請いたという。「彼は準備に細心の注...
2012/07/10GDOEYE

韓国選手にみる外国語と成功の因果関係

先日行われた日韓男子プロゴルフ対抗戦に出場していたカン・キョンナムに話を聞いたとき、意外に感じたことがあった。彼は韓国ツアーで通算8勝を挙げ、韓国国内で一番勢いのある選手と評されている。その彼に日本ツアーへの興味を尋ねると「今、日本語を勉強しているので、あと1、2年。もう少し日本語がうまくなったら行きたいと思う」と言うではないか。 その理由を追及すると、先に日本ツアーに参戦している選手たちから、“日本語がしゃべれた方がツアーに早く溶け込める”“日本選手ともコミュニケーションが取りやすい”と聞いたから、という至極まっとうな答えが返ってきた。日本国内で米ツアー出場を目指し、まずは英会話に磨きを掛け...
2012/04/28GDOEYE

櫻井有希、米国修行でノーボギー!

国内女子ツアー「サイバーエージェントレディス」2日目、首位と3打差の通算5アンダー5位タイに浮上してきたのは、今大会スポンサー推薦で出場している櫻井有希だ。大会初日は雨の中で1バーディを奪いボギーを叩かなかった櫻井は、2日目も4バーディでボギーなし。安定したゴルフを続けている。 「ショットがすごく良くて、グリーンをほとんど外していなかったので楽に回れています」。この日も前半からチャンスを何度も迎えていたが、最初にバーディが来たのは11番パー3だった。「10m以上ありましたね、でもあれが入ってくれたので流れを呼び込めました」と、その後の3つバーディに繋げた。 櫻井はシード権も持たず、クオリファイ...
2012/04/28GDOEYE

今野康晴、公傷から“復帰”にあと一歩

2009年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で通算7勝目をマークしたのを最後に、勝利から遠ざかっている今野康晴。10年からの2シーズンは腰痛、首痛等に悩まされ、不遇の時間を過ごしている。思うように試合出場を続けられず、賞金ランキングは72位(10年)、75位(11年)に沈んで賞金シード権獲得圏外に。今季はツアーの特別保障制度(公傷制度)を利用して参戦中だ。 その今野が、今季第3戦「中日クラウンズ」3日目に「65」をマークして通算イーブンパーの17位タイに浮上した。出だしの1番から2連続バーディを決めてスタートすると、その後4つのバーディ。パター選びに頭を悩ませており、“日替わり”のクラブを...
2012/04/27GDOEYE

表純子、ケガの功名で4位タイ

国内女子ツアー「サイバーエージェントレディス」初日の午前3時、不意に起き上がろうとした表純子は、首筋が“ピキッ”という音をたて「やっちゃった」と首筋を押さえた。「マイ枕を持ち歩いているぐらい気をつけていたんですが・・・」と言っても後の祭り。その後は痛みに耐えられず寝ることもできなかったという。 その表が大会初日に4バーディ、1ボギーでラウンドし、3アンダー4位タイにつける好スタートを切った。「結構、首を痛めたときのほうが良いスコア出るんですよね」と笑って話す表は、アイアンショットでピンそばに寄せるショットが多く、17番パー5と18番の上がり2ホールでピン2mにつけて連続バーディフィニッシュとな...
2012/04/26GDOEYE

16歳・伊藤誠道の”オーバーパー貯金“

この春に東京・杉並学院高の2年生になった伊藤誠道。アマチュアながら昨シーズンは9月の「ANAオープン」で優勝争いを演じるなど話題の10代プレーヤーが、26日(木)に名古屋カントリー倶楽部・和合コースで開幕した「中日クラウンズ」で今季の日本ツアー初戦を迎えた。 あいにくの雨に見舞われた初日、伊藤は前半、並み居るプロ選手たちの争いに割って入っていった。出だしの1番をバーディで発進すると、その後2バーディを奪い、ノーボギーのまま3アンダーとして上位争いに顔を出した。 ところが14番で1メートルのパーパットを外してボギーとすると、続く15番(パー5)で痛恨のトリプルボギーをたたいてしまう。練習ラウンド...
2012/04/29GDOEYE

有村智恵「泣かないつもりだったのに」

国内女子ツアー「サイバーエージェントレディス」の最終日に7アンダー「65」のコースレコードをたたき出し、2位に5打差の通算15アンダーで制した有村智恵。ウィニングパットを決めた瞬間は満面の笑みだったが、表彰式での優勝者スピーチで突然目頭を押さえた。 有村は昨年夏に左手首を痛め、その後も完治しない状態で戦いを続けている。今シーズンの開幕に向けたトレーニングを続けてきたが、その最中でも悪化してしまいシーズンの開幕が遅れてしまった。 回復を焦る有村を察し、トレーナーをはじめマネージャーやキャディなど周囲の仲間たちのサポート体制はさらに強化され「私がゴルフだけに集中できる環境を作ってくれました」という...
2012/05/04GDOEYE

3アンダーでも、悔し涙の金田久美子

午前と午後に分かれてスタートした「ワールドレディスサロンパス杯」の第1ラウンド。雨の降っていた午前組と、天候の回復した午後組とではスコアの伸び方に差が出てしまうのは致し方ない。午前組のベストスコアは朴仁妃の5アンダー。しかし、それに次ぐ3アンダーで上がってきた金田久美子の表情には意表を突かれた。 みると、ポロポロと涙をこぼしている。7番までに4つのバーディを奪った金田は、9番でボギー、10番でバーディを奪い返したものの、15番で再びボギー。後半はスコアを伸ばせず3アンダーで終えていた。 2週前、ディフェンディングチャンピオンとして迎えた「フジサンケイレディス」を腰痛のために途中棄権。先週は試合...
2012/05/03GDOEYE

大丈夫?メジャー大会があっさり54ホールに短縮

厳しいコースセッティングが選手の持っている技術を最大限に引き出し、4日間72ホールを戦い抜く強い精神力も要求されるメジャー大会。困難な挑戦だからこそ、そのタイトルに価値があり、“メジャー”という冠が相応しい。今年の「ワールドレディスサロンパス杯」の初日が中止となり、54ホールに短縮されたことは、“メジャー大会”という観点からは実に残念なことと言えるだろう。 月曜日に予備日が設定されているものの、協会によるとこれは「競技を成立させるためのもの」。決して72ホールの競技を目指すためのものではないという。今日のラウンドを生かし、明日以降順次ラウンドを進め、最悪日曜日に36ホールを行うというプランも「...
2012/04/21GDOEYE

昨年のQT1位、イ・キョンフンが2戦目で優勝争い

昨年末に行われたファイナルQTをトップ通過して、今シーズンから日本ツアーに参戦している韓国のイ・キョンフン(李京勲)が、「つるやオープン」3日目に「66」を出して通算10アンダー、首位と3打差の3位タイ、最終日最終組に飛び込んできた。 ホールアウト後、まだ日本語がほとんど話せないキョンフンは、通訳を介して記者たちの質問に答えていく。「今日のショットは納得できないけど、アプローチとパターがカバーしてくれた」「最終18番の第2打、残り157mで風が回っていたので6Iから7Iに持ち替えて2mにつけてバーディをとったのが今日一番のショットだった」。 2010年アジア大会での団体金メダルが勲章だが、同い...