コースメモはその昔、手作りでした レジェンドの大会前の調整法/不動裕理コラム
国内女子ツアーで通算50勝をマークした不動裕理は、50歳になる(1976年10月14日生まれ)一年も精力的に活動を続けている。昨年は「日本女子シニアオープン」で優勝し、レギュラーツアーにも7試合に出場。日本ゴルフのレジェンドはどんなキャリアを過ごし、いま何を思うのか。GDOの連載コラムで胸の内を明かす。
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これまで試合の数と同じだけ行ってきたのが、会場での練習ラウンドです。一番の目的は、現場の状況をあらかじめ把握しておくこと。とりあえずグリーンの硬さと速さ、ラフの状態を知るための大切な準備作業です。
プロデビューした当時は、いま選手たちが持っている(各地点で残り距離などを示す)コースメモなんて売っていませんでしたし、距離計測器もありませんでした。ですから、他の選手たちと手分けして距離やコースの形状を調べ、メモ代わりの手帳を手作りしていました。
調べるべきはまずグリーン。縦横の傾斜、ラインの切れ具合、マウンドがあれば、そこをメモる。地味な作業ですが、ここで手を抜くと本番で思わぬ落とし穴にハマることがあるので真剣です。
ショットで重要になる残り距離に関しては、コースで示されている残り100ydや150ydのマークにズレがないか確認するため、目印になる木やバンカーなどから歩測して数字を書き込みます。ホールのレイアウトに応じて、池までの距離、レイアップするならどこまで…、といったようなチェックが欠かせません。
メジャー競技などはラフが深く、複雑なことが多いため、エリアごとに芝が順目か逆目かも観察します。ショットを外しそうなグリーンサイドからはアプローチを練習し、クラブヘッドの抜け具合、ボールの転がり方などを体感。入りそうなバンカーがあれば、砂の状態を見たり、どんな打ち方が合うかを試したりもします。打ち方といっても、クラブフェースを開くか、開かないかの違いだけですけどね。
とまあ、こんな感じで実戦に向けて、できるものはデータ化して、あとは感触をつかんでおく。コースのコンディションに自分のゴルフをどうアジャストさせるかが、実際の試合では勝負になります。
試合前のスケジュールは基本的に開幕の3日前に現地に入り、2日前が練習ラウンド、前日がプロアマ戦。地元の熊本から各地に行っていた時代は、移動に長い時間がかかり、練習ラウンドの日を増やすこともあまりありませんでした。
近い地域で試合が続くときには、月曜日と火曜日に9ホールずつ回ることもありましたが、「疲れていたらルーティンをひとつやめればいい。練習ラウンドをしなくても、プロアマ戦でコースを回れるから」と考えていました。だいたい自分の思ったところに打てる調子であれば、そんなに神経質になる必要はないですから。ちなみに、ボールは1週間で1ダースあれば余裕でした。
熊本での試合のときは、友達を呼んで、練習場の社長さんがバーベキューをやってくれました。お肉も野菜もいっぱい食べて、楽しいリフレッシュの時間を過ごせました。私は食べ物に好き嫌いはありません。今も熊本に帰ると馬刺しを買ってきますし、熊本ラーメンも好き。スイカや柿、みかん、デコポンなどフルーツもおいしいし、お米も。
地元、練習仲間、そしておいしい熊本の食は、戦う自分の精神的な支えになってくれていたと感じています。