「気合いで120%の力は出ない」優勝争いの心構え/不動裕理コラム

2026年 不動裕理
どんな状況だって、プレー中に行うことは変わらない

国内女子ツアーで通算50勝をマークした不動裕理は、50歳になる(1976年10月14日生まれ)一年も精力的に活動を続けている。昨年は「日本女子シニアオープン」で優勝し、レギュラーツアーにも7試合に出場。日本ゴルフのレジェンドはどんなキャリアを過ごし、いま何を思うのか。GDOの連載コラムで胸の内を明かす。

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「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」が終わりましたね。今回は私は出場しませんでしたが、公式戦タイトルの重みに加えて、海外ツアーに参戦している選手もたくさん出て、いつも以上に引き締まった試合だったと思います。

さて、大会3日目のことだったでしょうか。勝みなみさんが「きょうは最終ホールに来るまでリーダーボードを見ていなかった」とコメントしていました。ちょっとビックリ。私は絶対にボードを“見る派”だからです。

「駆け引き」みたいなことを考えるわけじゃないんですよ。その日、またはその週に、こういうゴルフをしている自分が、どんな位置にいるのか、このコースセッティングに対応できているほうなのか、やっぱりここはあの選手に向いているんだとか、納得、確認したり疑問に思ったり…。たくさんの情報が詰まったリーダーボードは私にとっては見逃せないものなのです。

「ボードがないと周りの位置がわからなくて計算できない」「誰がライバルかわからないと戦いにくい」という選手もいますが、私はそういうことはまったく頭にありません。確かにボードがないと試合としての展開を味わえず、ちょっと物足りない気はします。ただ、ボードは私のプレーを左右するものではないんです。

誰かが追い上げてきても「あ、あの人が来たんだな」と思うだけ。ボードを見て優勝争いに絡んでいるとわかっても「バーディを獲ればあそこに名前が載るんだな」と客観的に見るだけ。「あと2つ獲れば優勝」とか、誰かがボギーを叩いたからどうこうとか、そういう勝負に興味はありません。

それは性格のせい…?ではなく、もっとシンプルな理由から。「頑張っているから、もっと頑張る必要なんてない。精一杯やっているから、それを上回る頑張りなんてない」と思うんです。私はいつも毎ホールをその時の精一杯でやっている。それなのに、優勝のチャンスが来たからといって、そこからさらに気合いを入れ直しても120%の力が出るわけがない。むしろ、その余計な力みこそがミスを生むと思う。

緊張するのは試合だから当たり前。それをわざわざコントロールしようとも思いません。私のやることはいつも「歩測して、数字が出たら、状況に合わせてその数字を打つだけ」です。

確かに同伴競技者のプレーはしっかり観察するし、その人のスタイルがどのコースに合うかもイメージしたりします。だから最終日の上位の顔ぶれを見て、ラウンド前に「あの選手はこういうゴルフをしているんだろうな」とか「自分がこのスコアなら勝てるな、これくらいの順位になるな」というのは、だいたいわかります。けれど結果は気にしない。

リーダーボードを見るのは好き。でも見たことに惑わされることはありません。そこに出ている選手のスコアの動きを楽しみながら、一打に集中して自分の仕事をするのが私の戦い方です。

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