淡々と…から「勝負を掛けた」一瞬に高ぶる “初めて”だった鈴木愛の23勝目
◇国内女子◇富士通レディース 最終日(18日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉)◇6717yd(パー72)◇晴れ(観衆3444人)
2013年から積み重ねたツアー23勝目は、鈴木愛にとって「初めて実感のない」タイトルだった。今季は未勝利が続き、先週の「スタンレーレディス」もカットラインに4打届かず予選落ち。「うれしいですけど、そんな人がまさか優勝できるとは…という感じです」と不思議がった。
もちろん予兆はあった。元世界ランキング1位のコ・ジンヨン(韓国)のスイング動画を繰り返し見て参考にし、長く続いた左へのミスが軽減したことが大きい。初日から首位争いに加われた要因のひとつにも挙げる。
鈴木を含めて、一時は最大6人が首位に並ぶ大混戦。そんな緊迫した展開でも「初めて緊張感もなく、落ち着いて淡々と」ホールを進めた。それでも、勝負どころでは自然と感情が高ぶった。1打リードで迎えた最終日の難度2番目だった後半14番。左から5ydに切られたピンを果敢に攻め、8番アイアンで放った2打目を左手前4mにつける。後続に2打差をつける会心のバーディに、力強くこぶしを握った
難度の高い13番(パー3)、14番は、鈴木のなかで「まずは(スコアを)落とさない」後半のキーホールだった。しかも14番はシビアな位置に切られた左ピンで、左へのミスに悩んできた鈴木にとって攻めにくいロケーション。「自信をもって勝負を掛けるしかないと思った。そこへショットが打てて結果につながったことがうれしかった」。ミスの恐怖を払しょくできた一打が、この日のハイライトになった。
自身のオリジナルブランド『own is ROSE』を着用して初めて優勝できたことには「それが一番うれしい」と声を弾ませる。非売品ではあるが「たくさんの人に知ってほしいし、見てもらいたかった」と、この日は胸元に大きなロゴの入った鮮やかなグリーンのウェアを選択。いまのところ一般販売の予定はないが、「たくさん優勝してみなさんに知ってほしい」と試合に臨むモチベーションのひとつになっている。
かねて目標に掲げる通算30勝「永久シード」にも一歩前進。2週前の「日本女子オープン」で申ジエ(韓国)が達成したことも「身近に達成した人がいると、自分のできる可能性を信じたくなる」と刺激になった。「まだ勝てそうなうちに早く近づきたい」。ベテランの域に差し掛かった32歳にとって、1勝の価値がいっそう高まりつつある。(千葉市緑区/塚田達也)