旅人ゴルファー川村昌弘「いま僕はマドリードにいます」
2021年 エストレージャダムN.A.アンダルシア マスターズ
期間:10/14〜10/17 場所:レアル・クラブ・バルデラマ(スペイン)
「いま僕はココにいます」Vol.127 スペイン編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・28歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、ソトグランデにいます。
「スペインオープン」が行われた首都マドリードからレンタカーで、グラナダ、マラガを通ってイベリア半島を南下。今週「エストレージャダムN.A.アンダルシア マスターズ」が行われる、ジブラルタル海峡近くの街までランチを挟んで約6時間のドライブでした。
会場のレアル・クラブ・バルデラマは、欧州ツアーで一番好きなコースなんです。風が吹き荒れた昨年の優勝スコアは通算2オーバー。僕は7オーバーで8位と、とにかく難しかった。各ホールが林によってタイトにつくられ、適度にアップダウンもあり、木の高さを越えるボールは風にさらわれてしまいます。それでいて、グリーンはコンクリートのように速く、傾斜もたっぷり。
かつて「ライダーカップ」も開催された当地で、ショットメーカーのセルヒオ・ガルシア(スペイン)が3連覇したのもうなずけます。それぞれの地点から“ある程度の幅”に打てる選手でないと、対応するのは難しい。戦略性の高さにワクワクします。
開幕2日前にコースチェックをしてきました。欧州ツアーでは最近、出場登録や練習ラウンドの予約もスマートフォンでポータルサイトにアクセスして済ませます。僕は試合前のコース内での“渋滞”が苦手で、誰よりも早くティオフしたいタイプ。今回も無事にトップスタートをゲットしました。
一緒に回ったのはフィンランド代表で「東京五輪」にも出場したサミ・バリマキ(フィンランド)選手。ところで僕は練習ラウンドの間、ティショットをミスした後の打ち直しをほとんどしません。グリーン周りからのアプローチも、2回打ってもカップに寄らなければ、寄せる方法を“深追い”するのではなく、「ここには(その前のショットを)打ってはいけない」と気持ちを切り替えます。事前練習の先入観を試合に持ち込みたくないため、チェックに無理に時間を割くことはせず、ボールは打たずに歩くことだけというケースも多々あります。
驚いたことにバリマキ選手も同じタイプのようで、彼も各ホールの要所だけを抑えて淡々とホールを進めていきました。ペースが良く、ラウンドはサクサク進み、前半9ホールはわずか1時間半で完了(試合では2時間以上かかる)。
彼はまだ23歳ですが、2019年に早くも欧州ツアー優勝を遂げた期待の若手で、感銘を受けました。「プレーファスト」な一日はゴルフにおいては“当たり前”のようで、トップレベルではそうもいかないことがあります。自分としては、すごくハッピーなスペインの火曜日でした。
- 川村昌弘Masahiro Kawamura
- 1993年6月25日・三重県生まれ。5歳の時に父と一緒にゴルフを始め、小学生時代には全国大会の常連選手に。ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスらと出場したフランスでのジュニア大会をきっかけに将来の海外転戦を夢見る。高校卒業後にプロ転向し、2013年に20歳で出場した日本&アジアン共同主管大会「アジアパシフィックパナソニックオープン」でツアー初優勝を飾り、海外進出の足がかりを得た。
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