微調整済みの3本ウェッジが活躍 バッバ・ワトソンの優勝セッティング
今年はジョージア大出身がブレーク
By Helen Ross, PGATOUR.COM
ジョージア大のゴルフ指導者として著名なクリス・ハックは、イーストレイクで開催中の「ツアー選手権byコカ・コーラ」の初日、18番ホールのグリーン上でのアナウンサー役に指名された。
フェデックスカップ・プレーオフシリーズ最終戦に出場している29人の中には、ハックが直接指導した選手が4人いるだけに、見慣れた顔を拝むことになるだろう。第一シードで大会に臨んだクリス・カークもその一人だ。
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カークは大学時代にブレンドン・トッドとルームメイトだった。トッドは今シーズンの「HP バイロン・ネルソン選手権」で優勝し、フェデックスカップランキング27位でツアー選手権初出場を果たした。トッドは、たとえイーストレイクがジョージア工科大のホームコースだとしても、恩師が引き受けた役割を快適にこなせると考えている。
「コーチなら自分のやりたいように上手くやれるよ」と、笑みを浮かべて話したトッドは、常勝時代を作ったコーチとの思い出を振り返り「彼は大学のコースにある斜面の上に座って、全員が来るのを眺めていた」と語った。
今週イーストレイクに集まった4人のブルドッグス(ジョージア大のチーム名)は、カーク、トッド、バッバ・ワトソンとラッセル・ヘンリー。それぞれ今シーズン、PGAツアーで1勝以上を挙げている。ワトソンはキャリア2度目の「マスターズ」優勝など今季は2勝を記録し、ランキング3位で最終戦を迎えた。
ブライアン・ハーマンとハリス・イングリッシュもジョージア大出身で、今シーズン優勝を遂げているが、プレーオフシリーズは第3戦の「BMW選手権」で脱落。結果だけを見れば、ブルドッグスが躍進した年と言えるだろうが、これでも控え目な表現になるかもしれない。
カークは「僕らは自分たちの成功に興奮しているけれど、まだキャリアの序盤に過ぎないと感じている部分もある。だから、これからもっと多く勝てる気がしているし、お互いに切磋琢磨したい」と述べた。
ジョージア大では4年間ルームメートで、親友でもあるカークとトッドは、2005年の全米選手権メンバーでもあった。その前年にはトッドがサウスイースタン・カンファレンスの最優秀新人に輝き、カークは2006年にリーグの年間最優秀選手賞を受けた。
トッドは当時のチームについて、こう振り返っている。
「コーチが優秀で、モチベーションも高くて、ゴルフがうまくなる方法を自分で考えられる選手を集めたと思う。僕らは大学時代に多くを教えられたわけでもなかったし、レッスンを受けたわけでもなかった。ただ、コース上で競い合った。誰かに依存しなかったのも、僕らがプロでうまくやれている理由だろうね」
「完璧なスイング、完璧なパッティングストローク、完璧なチッピングモーションを探している選手なんて誰もいなかった。僕らは出来るだけ早くボールをホールに入れようとする生粋のゴルファー。そういう意識をコーチが僕らに植え付けてくれた」
アトランタ出身のカークは、2週間前の「ドイツバンク選手権」で優勝し、最高のタイミングでフェデックスカップランキング1位に浮上。9日(火)には、普段から一緒に練習しているトッドと今大会のコースでプレーした。イーストレイクから45分圏内のところに住んでいながらも、このコースでの練習は人生で2回目だったという。
意外かもしれないが、カークとトッドは、大学時代にPGAツアーでプレーする姿を想像し、お互いの夢を語り合ったことはなかった。彼らは心の中で確信していた。必ず世界最高峰の舞台でともにプレーするようになる、と。
カークは「自分にはゴルフしかないと思ったし、彼(トッド)も一緒だったんじゃないかな。今年、僕らは周囲の予想を覆すようなシーズンになったし、誰も僕ら2人がツアー選手権に出場するなんて考えていなかっただろうね」と語り「周りは気づかないだろうけれど、この大会に出場している選手の大半は、予備のプランを持っていなかったと思うんだ。皆、この大会に出場すると考えただろうし、そう決めていたはず」と続けた。
トッドとカークは自宅も40分圏内で、興味深いことに身体的特徴も似ている。2人とも身長190センチで、トッドは線が細めのカークより2キロ弱重い81キロだ。
親しみやすい雰囲気のトッドは、この点について聞かれると「4年間も一緒にいたからじゃないかな。お互いに違った人生を歩んできたけれど、融合して、それで同じようになったのかもしれないね」と答え、さらに“あるネタ”を提供してくれた。
「今朝の記事で読んだんだけれど、彼はジェシー・ピンクマン(TVドラマ「ブレーキング・バッド」でアーロン・ポールが演じる役)に似ているらしいよ。僕はジェシー・ピンクマンに似ているなんて言われたことはないからね」
似ていると言われて悪い話ではないだろう。ピンクマンは、エミー賞を受賞したドラマシリーズで麻薬を製造し販売するキャラクター。カークはその“健全バージョン”とでも言うべきか。
そのカークは10日(水)に自宅の庭で、改造に取り組んでから2年になるスイングの状態を確かめていた。カークは、大会の4日間、ブルドッグスのメンバーに温かい声援が送られると信じている。とは言え、土曜日にはサウスカロライナ大とのフットボール戦が行われるため、応援も二分される可能性もあるだろうが。
カークは「アトランタで、しかもジョージアのファンの前でジョージア大を代表してプレーできるのは光栄なこと」と語った。