<選手名鑑211>ジム・フューリック(後編)
フューリックがほぼパーフェクトなゴルフで優勝に王手
By Adam Stanley, PGATOUR.COM
野球では先発投手が1人のランナーも出さずに投げ切り勝利した試合を“パーフェクトゲーム”と呼ぶ。たった1度の“失投”こそあったが、ジム・フューリックは、これまでほぼ完璧なピッチングを見せ、「RBCカナディアンオープン」9回のマウンドに立とうとしている。
フューリックは今大会で1ボギーしか記録しておらず、ティからグリーンまで好調を維持し2位のティム・クラークと3打差で最終日のラウンドを迎えることになった。
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「1日を通して本当に良い状態でプレー出来ているように感じる。ボールも上手く打てているし、楽しいラウンドだった」とベテランは語る。
ここ何年かは最終日に首位を守れず勝てない時もあった。それは他でもないフューリック本人が自覚していることだ。
「逆転されたこともあった。そうではなくとも、自分のゴルフが出来ていると感じるのにチャンスを生かせない日もあった」。
フューリックはパー4の11番をパーセーブでしのぐと、9番ではアプローチショットをカップまで約12センチのところに寄せてバーディとするなど、3日目に「65」の5アンダーを記録。今大会トップとなるパーオン率は83.3パーセントとしている。
フューリックは過去2度「RBCカナディアンオープン」で優勝している。1度目は2006年にクラシックなハミルトン・ゴルフで、2度目は2007年にモダンなアンガスグレンで。今週はじめに、今年の大会が開催されるロイヤルモントリオールについての印象を聞かれたフューリックは、モダンとクラシックの両面を持つコースと話した。
3度目の優勝を手にしかけているが、本人は最終日にやるべきことがあると気を引き締めている。
「今の順位を気にせず、リーダーボードに目を向け過ぎず、最初の3日間のようにコースを攻められるかどうかが(優勝の)鍵になる」。
フューリックを追う南アフリカ出身のティム・クラークは、土曜日に夢のようなスタートを切った。1番ホールでバーディを奪うと、2番ではアプローチを直接決めてイーグルを奪取。フューリックと同じくクラークも今大会で1ボギーしか記録していない。
クラークは、「最終組で回れるのは嬉しい。ジムは手強い相手だ。ただ、今回のコースは我々にフィットしているようだね。今大会はオープン選手権だしフェアウェイとグリーンにボールを運ぶ必要がある。それこそ我々の好調なプレーに現れている」とコメント。
明日のモントリオール地区は悪天候が予想されるため、最終日は1番と10番からスリーサムでスタートする。最終組はフューリックとクラークに加え、カイル・スタンリーの3選手でティオフする。
怒りで我を失ったデラエ
鳥肌が立つ瞬間も味わった。しかし、何度かのミスがグラハム・デラエを狂わせ“平凡”なラウンドとなってしまった。
デラエはフロント9を終えた時点で1オーバーとしていたが、パー5の12番でイーグルパットを沈めると、14番ではバーディを奪取。続く15番はティショットを池に打ち込みボギーとすると、緊張の糸が切れ、フラストレーションが爆発。18番のグリーンで約3メートルのバーディパットに3パットを要してボギーとすると、ヤーデージブックを地面に叩きつけ怒りを露にした。
デラエは「あのバーディは絶対に獲っておきたかったから、つい怒りを爆発させてしまった。残念な形でのフィニッシュだった」とコメント。最終日はポジティブな形で終えたいと続けた。
「本当にたくさんのサポートを頂けていると感じているから、明日はスペシャルな結果を残したい」。
PGAツアー・カナダ賞金ランク1位は楽しむことを優先
ゴルフは死活問題ではない。そう理解しているのは、PGAツアー・カナダで現在賞金ランク1位のジョエル・ダフメンだ。
今シーズン2勝をあげているダフメンは癌を克服した経験を持っている。2011年3月に精巣癌と診断され、放射線治療を受けて完治すると、自分が大好きなゴルフへの取り組み方を改めた。
「数ヵ月ゴルフをやれない日々は続いたこともあった。それが1つの転機かな。プレーしたくてたまらなかったからね」。
闘病当時を振り返るダフメンは、PGAツアーデビュー戦となった「RBCカナディアンオープン」3日目に「68」の2アンダーを記録し、トータル4アンダーにスコアを伸ばした。
今大会でも大事なことを彼は見失っていない。
「父には昨晩こう言われた。『いいか、お前は月曜にはカルガリーで開催されるPGAツアー・カナダの大会に向かうんだろ?』とね。たしかに、この大会と比べたらつまらないから」と、ダフメンは笑いながら語った。
現在賞金ランキング2位とは10,000ドル以上差をつけているが、今後もゴルフへのアプローチを変えるつもりはないと言う。
「目標は賞金ランク1位だけれど、あと6大会残っているから何が起こっても不思議ではない。これまでと同じようにやるだけだよ」。
ゴルフは生死をかけるものではない。病気を克服し、このことに気がついた。
「今日は序盤に3ボギーを記録してイライラしたけれど、そんなことは物事の本質に影響はないでしょ?」。
「なんの影響もないよ。だって、これは単なるゴルフなんだから」。