緊急帰国した松山英樹、予定通りアジア連戦へ出陣
2013年 シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン
期間:10/17〜10/20 場所:TPCサマリン(ネバダ州)
最終組は“カロライナコネクション”
土曜の夕刻、ウェブ・シンプソンとチェソン・ハドリーはTPCサマリンのインタビュールームで、すれ違いざまに抱擁を交わした。二人が出会ったのは高校時代。共にノースカロライナ州ローリー出身の二人は、「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」の日曜日、最終組としてペアを組み、コースを一緒にラウンドする。
大会最終日を4打差の首位で迎えるシンプソンは、優勝すれば米国ツアー4勝目となり、2012年の全米オープン以来のタイトルとなる。シンプソンは3日目を「67」で回り、通算19アンダー(3日間のスコアは1日目から順に「64」「63」「67」)。一方のハドリーは、パー5の16番で98ヤード地点からのチップインイーグルを決めるなど、この日「67」で通算15アンダーとした。
<< 下に続く >>
「いいプレーだったよ、Big Show(ビッグ・ショー)」。ハドリーは演壇を出て、大会首位のシンプソンのもとへ行くと、声を掛けた。シンプソンは、ビッグ・ショーなどというニックネームで呼ばれたことなどなかった。「でも、気に入ったよ」と本人は話した。
日曜のティオフは午後12時45分を予定している。TPCサマリンでは初日、「60」のコースレコードがマークされた。シンプソンは、親しい友人であるハドリーだけでなく、後を追う選手たちを退けるため、良いプレーを続けなければならない。
「明日のカギは…、再び我慢し続けること。また出だしでつまずかないとも限らないからね」。シンプソンは言う。「でも、このコースでは選手たちは8、9、10、11アンダーで回る。だから僕もアグレッシブにいかなければならない」。
しかし、ハドリーはシンプソンのことを語る時、変わることなく敬意を込めて話す。思いがけず米国ツアーでこれまでにない好位置につけたハドリーにとって、もしかするとそうした心持ちは障害になるかもしれない。
「たぶん明日はシンプソンとプレーすることで、何よりも緊張することになりそうだ」と、26歳のハドリーは言う。「ウェブ(・シンプソン)と僕は、一緒に練習して成長した。彼はいつも僕よりも先に成功してきたんだ」。
出生地の同じ選手同士ではあるが、そのキャリアは比べようがない。ハドリーより2歳年上のシンプソンは、メジャータイトルを保有し、「ライダーカップ」や「プレジテンツカップ」にも出場している。一方ハドリーは、これが米国ツアーメンバーとしては2戦目。シンプソンがフェデックスカッププレーオフで戦い、「ザ・ツアー選手権 presented by コカ・コーラ」に3年連続の出場することが決まった頃、ハドリーは「ウェブドットコムツアーファイナルズ」を戦っていた。
ハドリーがプロに転向したのは2010年だが、昨年のクオリファイングスクールでウェブドットコムツアーの参加資格を得るまではミニツアーなどに出場した。一方シンプソンは、2008年の最初の挑戦でQツアーを通過することに成功した。
ハドリーは、ウェブドットコムツアーで成功を収め、初めて米国ツアーの参加資格を獲得。同ツアーのレギュラーシーズンとファイナルズを合わせて、最も賞金を稼いだ選手となった。レギュラーシーズンの賞金ランキングは3位で、ファイナルズでは2位に輝いた。シーズン最後の「ウェブドットコムツアー選手権」での優勝を含め、2013年ウェブドットコムツアーで2勝を挙げた。
今週、ハドリーは54ホール中44ホールでパーオンに成功した。オーバーパーだったのは、3番(パー4)のみで、ここでは3日間合わせて4オーバーを喫している。ハドリーは、シンプソンのことを「強いロールモデル(お手本)」と表現する。
「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」は2008年、全72ホールの大会として、ここTPCサマリンで独立開催されるようになった。ここ5年のうち4大会で、優勝者のスコアは通算20アンダーを超えている。シンプソンは、3日間でそのスコアに到達するところだった。昨年ライアン・ムーアがマークした、大会記録となる通算24アンダーのスコア「260」も手が届くところにまできている。
この大会は、シンプソンが前回優勝を果たした大会とは対照的だ。「全米オープン」では、多くの選手がパーセーブするのに精一杯だった。ここTPCサマリンでは、パーでは話にならない。
「どちらの大会についても言えるのは、我慢の大切さだ。『全米オープン』ではあまり多くのバーディを奪えない分、我慢し続けなければならないのは明らかだったからね」と、2010年に4位タイで終えて以来、同大会に出場しているシンプソンは言う。「でも、ここも全ホールでバーディが奪えるわけではないから、やはり我慢し続けなければならない。バーディのチャンスはやって来るからね。我慢し続けた者がバーディをものにできるんだ」。
シンプソンは、3年連続の勝利を目前にしながら、冷静に自分自身を切り離して見つめている。ジェフ・オバートンは、通算14アンダーで3位につけ、そのすぐ1打差でジェイソン・ボーンが控えている。この2選手はラスト2組目でラウンドする予定だ。5位タイに6人の選手が居並び、シンプソンとは7打差だ。
3日目、シンプソンは2位と4打差の首位でティオフを迎えた。3番ではボギーを叩き、続く2ホールでバーディをマークし、前半を1アンダーの「34」で折り返した。11番でもボギーを叩いたが、続く5ホール中4ホールでバーディを奪い、通算19アンダーとした。最終ホールでは、グリーン右からカップ際にチップショットを寄せてパーセーブ。4打差のリードをキープした。
シンプソンは、54ホール中47ホールでパーオンに成功し、これは大会3位の好成績につけている。パットのスコア貢献率は「1.62」で6位。こちらは、親しい友人で一番の好敵手となっているハドリーも近い成績を出している。
「18ホールすべて終えるまで、リーダーボードは一切見なかったし、ハドリーがいいプレーをしていたのは見ていた」とシンプソン。「ハドリーは良い友達だ。お互いたくさんの共通の知り合いもいる。だから明日、彼とラウンドすると知った時は嬉しかったよ」。