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遂に癌を克服したJ.ライルがツアー復帰へ始動

By Larry Dorman, PGATOUR.COM Columnist

ジャロッド・ライル(オーストラリア)にとってこの4ヶ月の思い出は、家族と離れメルボルンの病院における化学療法を繰り返し、細胞移植、それに加えて数々の検査を受けた事で満たされているだろう。

生存確率の低下が心配されていたが、今では食欲も戻り、「やっと本当に帰って来る事ができたと思えます」と彼は言った。科学療養中に、彼の188センチ、102キロの体躯から失われた20キロのうちの何キロかは、意見を同じすることだろう。

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一番の吉報は、闘病後の12ヶ月を無事に終えたライルだが、急性骨髄性白血病との 2 番目の戦いの勝利にも近づいていることだ。

「もう大丈夫です」と月曜日には述べた。「体調が悪くなる事もありませんし、今週からジムにも通っています。この1週間半で3度もジムに通えるようになり、今は元の体よりも健康で、そして強い体でツアーに復帰できるように、体を鍛え始めました」。

オーストラリア・シェパートン出身の31歳は、2014年シーズンの開幕には復帰したいと考えている。実際に、2014年途中での復帰を目指していたが、今はその開幕復帰も現実味を帯びて来た。

「もし自分がハムストリングか何かを断裂して復帰を果たしているのなら、全く異なった状況になると思います」と笑いながら言った。「しかし、私の場合、今後どのように病気と戦えるのか、そしていつになったら完治するのかが分からないのです」。

「ただ、私ができるのは健康を維持し、また病気が再発しない事に注意するだけです」。いくら携帯電話の電波がよくない11,000マイルも離れたオーストラリアからでも、ライルの笑い声は電話越しに聞こえていた。

そして、「今はこれ以上の幸福はありません」という彼にとって、それがどういった意味を持つのか考えて頂きたい。何が彼を幸せにするのかを考える事が、理解の助けとなるだろう。初めに、数年前にTPCスコッツデールでの16番での彼の楽しみに満ちあふれた表情を思い出して欲しい。

そして、この動画(PGA公式ページ内)の彼を見て欲しい(心配はご無用。どこへも行ったりしませんよ)。もし、貴方が微笑む事ができなければ、医者のお世話にならなければなりませんね。2011年の「ウェイストマネジメント・フェニックスオープン」でのホールインワンを遂げた瞬間を、ライルは世界で一番幸せな瞬間だったと述べた。

彼は、6歳の頃から夢見続けていた米国ツアーにも参戦し、そしてプロ初のホールインワンを何千人もの観客の目の前で成し遂げた事は、人生の中でも非常に特別な経験になったと彼は言った。

17歳の時に初めて発症した白血病が再発してからのこの15ヶ月、彼は違った形で多くの幸せを感じてきた。妻ブリオニーとの間に授かった第一子、娘のルーシーちゃんが生まれたのがその始まりだったのだが、それは、ライルが化学療法を始める前日の事だった。

2012年3月の夜、彼は12時間という限られた時間を妻と娘と過ごし、そこから1ヶ月の闘病生活の為、単身で病院へと向かった。

「2人を残して行くのは本当に辛かった。しかし、娘と過ごせた時間は幸せでした」とライルは語った。「しかし、本当に辛かったのは、自分が娘と再会できる程の回復を遂げられるのか、そして娘の成長する姿を見られるだろうかという不安でした」。

それらの闇を思い返すのを厭わないライルだったが、元々こういった話は彼の気性に合っていないのかもしれない。このような彼のポジティブさを語る上で欠かせないのが、ライルが白血病を発症した17歳の時に真っ先に見舞いに来てくれた、幼い頃からの憧れだったメルボルン出身のロバート・アレンビーだ。

かつてアレンビーは「毎朝目が覚める瞬間、素晴らしい1日の始まりなのです」とライルに言った。「それは、私にとってすごく特別な事です」。

彼自身は気付いていないが、これが多くの選手達を感銘させるライルの特徴でもある。去年の「ザ・ホンダクラシック」に流れたライルの白血病発症の知らせは、元ツアー選手でもあり、ゴルフチャンネルでコメンテーターを務めるトリップ・アイゼンアワーをも動かす事となった。2週間後にアーノルド・パーマー授賞式への出席が決まっていたアイゼンアワーは、多くの選手からのメッセージを収録したDVDを披露した。

その40分ものビデオは、化学治療を続けるライルにも届き、それを見た彼の目には涙が溢れていた。ウェブドットコムツアーで2勝したライルだが、未だにトップツアーでの優勝は経験をしていないでいる。しかし、そのビデオにはツアーでプレーする数多くの選手からのメッセージが込められていた。

アーニー・エルス(南アフリカ)や、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、そしてオーストラリアの選手たち、キャディー、そしてツアーの競技委員からのメッセージもありました」とライル。「約45分間、その素晴らしいビデオを見て、泣き続けました。コースでプレーしている時はお互いが相手に勝とうと思うのが普通ですが、こうしてライバル達が自分の事を気にしてくれている事が分かると、かしこまってしまいます」。

「これは、私にとって一生の宝物です。娘が理解できる年頃になったら、このビデオを見て欲しいと思います。そして、自分が赤ん坊の時、こうしてお父さんは戦っていたんだという事を知って欲しいです。それは、僕にとっても大きな事だと思います」。

現在、ライルは以前できなかった分、妻と娘と一緒に過ごす時間を増やしている。彼は、オムツの替え方も学び、そして15ヶ月になる娘を家中追いかけて自分が疲れてしまうこともあると語った。

ここまで、3週間に1度程度しかゴルフができていないと彼は言う。しかし、少しずつ回数を増やし、今後は1週間に1度、そして1週間に2度とペースを上げてゆく予定だ。

化学療法を続けている間、ライルはこう述べた。「もし、僕がツアーに復帰できなければ、これまで4年と少しの間、トップレベルでプレーできた事を幸せに思えるでしょう」と。

しかし、今の彼は回復を遂げつつあり、4日間のプロアマに出場する事を目標としている。「スコアは全く関係なく、自分が4日間、毎日18ホール歩き切れるかを知り、そして1日1日の変化を見たいのです」。

ライルはこれで2度にわたって生還を遂げたわけだが、闘病前とツアーで同じレベルのプレーができる保証はないこと、そして白血病が再発しない保証のないことも承知している。しかし、それを心配しているわけではない。今の彼は、夫として、父親として、3人での生活を考えているのだ。

「こうして2人を眺めている時、この世で1番幸せだと思います」とライルは述べた。「そしてやっと健康を手にしたのですから、これからもっと幸せになれるはずです」と続けて言った。

情報提供:PGA TOUR

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