「ウェルズファーゴ選手権」最終日/勝者と敗者を分けた“グリーンマイル”
2013年 ウェルズファーゴ選手権
期間:05/02〜05/05 場所:Quail Hollow Club
「やるべきことをひとつずつ」代替出場のアーンストがPGA初優勝
By Helen Ross, PGATOUR.COM
ちょうど一年前、リッキー・ファウラーがプレーオフ最初のホールでバーディを決め、優勝を決めた頃、デレク・アーンストはUNLV(ネバダ大学ラスベガス校)の4年生として卒業を目前に控えていた。
アーンストはホテルマネジメントの学位を得たが、実際のところ大学で習得した知識を実践で活かすことはなかった。カリフォルニア生まれの彼は、ゴルファーになることを夢見て、PGAツアー参戦への長い道のりを選択した。予選会出場のための予備予選会、異なる3つのクォリファイングスクールでの生き残りを経て、ようやくPGAのツアー出場権を手にした。
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日曜日の降り止まぬ雨と肌寒い天候は、どの選手にとっても平等なコンディションだった。そんな中アーンストは、PGAツアー参戦9戦目でまさかの初優勝を成し遂げた。クエイルホローの最終ホールでバーディを決め、デビッド・リンとの一騎打ちとなったサドンデスの最初のホールでパーをセーブし、22歳の若者は、向こう31カ月に及ぶPGAツアーの出場権を手にすることとなった。
「お金はお金です。出たり入ったりするからね」と、アーンスト。彼はこの優勝でフェデックスカップの順位を196位から32位に大きくジャンプアップさせた。「(賞金よりも)優勝したこと、そして向こう2年間のツアー出場権、これが欲しかったです。この舞台でプレーしたいと思っていたので、願いが叶ったことが一番嬉しいです」。
生活拠点のラスベガスに戻ってコーチから指導を受ける代わりに、アーンストは偉大な選手たちが集う「ザ・プレイヤーズ選手権」に向かうこととなった。PGAのフラッグシップイベントであるその大会は、今週木曜からTPCソーグラスで開幕する。
「今はそんなに実感がありませんが、多分、数日経ったら信じられない気分になるでしょうね」と、アーンストは飛びきりの笑顔で話した。
正直な話、優勝したアーンストは今大会に出場することすら微妙だった。レンタカーを借りた彼は、UGAスタディオンクラシック(Web.comツアー)に参加するため、ジョージア州アテンズに向かって車を走らせていた。先週は自己ベストとなる47位タイでフィニッシュし、18.5フェデックスカップポイントと、賞金1万6千ドルを手にしていた。
アーストンは道中、PGAツアー事務局からの電話で、フレドリック・ヤコブソンの棄権に伴う「ウェルズファーゴ選手権」への代替出場を知った。そしてわずか6日後、彼は2005年のミシェランチャンピオンシップでウェス・ショーターJr.が優勝して以来となる、代替出場選手としての優勝を達成したのだ。
彼はまた、過去6年で4人目となる「ウェルズファーゴ選手権」でのツアー初優勝者の仲間入りを果たした。2008年のアンソニー・キム(当時21歳)、2010年のロリー・マキロイ(同21歳)、昨年のリッキー・ファウラー(同23歳)に続く快挙だ。新人選手のPGAツアー優勝は今季2人目、さらに今季のPGAツアー最年少優勝のオマケも付いた。
一方プレーオフで敗れた39歳のリンは、アーンストと同組で最終日をラウンドした。実のところ彼は、世界ランク1,207位のアーンストのことを、1番ホールのティグラウンドで握手を交わすまで知らなかったそうだ。「それにしても彼は、スーパーなプレーをしていたよ」と英国紳士のリンは敬意を込めてコメントした。アーンストはこの大会でグリーンレギュレーション3位、ドライビングディスタンス9位、パッティング貢献率11位、ドライバーの正確さで13位の結果を残していた。
クエイルホロー名物の上がり3ホールは、昨年のPGAツアー全体で2番目にタフな難所として知られているが、アーンストは悪天候の中、最終18番の4フィートのバーディを含む2アンダーを記録した。特に18番では、今日全体でわずか4つしか記録されなかったバーディのひとつを決めた。
「プロセスを大事に考えるようになった」と、アーンストは明かしてくれた。彼は元LPGAプロのスージー・メイヤーズに2週間ほど前からメンタル面の指導を受けている。「以前の僕は“やらなければならない事”と“やらなかった事”すら考えずに、ただひたすら目の前のボールを打っていた。その考えを改め、“次はどうする?その次はどう攻める?どうやってカップにボールを沈めるのか?”にフォーカスするようにしたんだ。その差は大きいよね」。
フィル・ミケルソンは運を味方につけてくれたひとりだったかもしれない。彼はトーナメントリーダーとして「グリーンマイル」と呼ばれる魔の上がり3ホールにやって来た。しかし16番で5フィートのパーパットを外してしまい、これでアーンストとリンに並ばれた。17番でも連続ボギーを叩き、今度は彼ら2人に1打差のリードを許したミケルソン。彼の17番の通算成績は、40ラウンドで14オーバーと圧倒的に苦手としている。
ミケルソンより先にホールアウトしたアーンストと、サドンデスで敗れたリンは、練習グリーンでミケルソンの18番ホールの行方を見守った。バーディが決まれば3人はトップタイとなる状況だった。
「ギャラリーたちの“入れっ!入れっ!”って力強い声援の直後に“あーっ”というため息まじりの声が聞こえたよ。そして僕ら2人のプレーオフがはじまったんだ」。
アーンストはプレーオフの第2打を安全にグリーンに乗せて来た。一方のリンはフェアウェイの左サイドクリークに、1度ならず2度もつかまり苦戦していた。アーンストはプレーオフの瞬間を楽しんでいたという。「もしエンジョイできなければ、優勝もできないだろうって思っていました」と説明した。短いパーパットを慎重に決めたルーキーは、学生時代の13カ月前、ASUサンダーバードで勝利して以来の優勝を、見事プロの舞台で決めた。
「今は信じられない気持ちです」と、アーンスト。「週の前半は、この大会に出場できるかどうかすら分からなかったので・・・。今週はスイングがずっと調子よく、メンタルゲームも上手くいった。1週間を通して、自分のやるべきことだけやっていこうと言い聞かせたのが勝利の要因かもしれませんね」。
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