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マスターズ
期間:04/09~04/12  場所: オーガスタナショナルGC(ジョージア州)

冷静沈着に仕事遂行 スピースに重なる“伝説のガンマン”

J.スピースは16番で微妙な距離を残したパーパットを沈めてピンチをしのいだ(Andrew Redington/Getty Images)

ジョージア州のオーガスタナショナルGCで開催された「マスターズ」で、ジョーダン・スピースがメジャー初勝利を飾った。初日から4日間、単独首位の座を守る完全優勝は、1976年のレイモンド・フロイド以来39年ぶり5人目。16アンダーから出た最終日は「70」で回り、1997年にタイガー・ウッズが記録した72ホールの最少ストローク記録「270」(通算18アンダー)に並ぶビッグスコアで、優勝者に贈られるグリーンジャケットを羽織った。

「分からない。どう表現すればいいか分からない。最高の気分。人生で最高の日だ」

3日目を終えた時点で2位につけた差は4ストローク。必ずしもセーフティリードとはいえなかった。2011年のロリー・マキロイ(北アイルランド=4打差)、1996年のグレッグ・ノーマン(オーストラリア=6打差)ら、マスターズで後続に4打差以上をつけて最終日を迎えながら、ひっくり返されたケースは4例あった。

だが、後方からジャスティン・ローズ(イングランド)、フィル・ミケルソンといったメジャー王者に背中を追われた21歳は、強かった。出だし1番で3mのバーディパットを決めてリードをひろげ、10番を終えた時点で後続に6打差以上をつけた。ツアー屈指のパッティングを土台に、4つのパー5で3バーディを決め、悠然と逃げ切り。最終18番で1.5mのパーパットを外して、最少ストローク記録の更新はならなかったが、オーガスタの夕闇に大パトロンの拍手がいつまでも響いた。

ジュニア時代から期待の星だったスピースは、2012年末にテキサス大を中退し、プロ転向。翌年、米ツアー「ジョンディアクラシック」で初勝利を挙げた。破竹の勢いでトップ選手の仲間入りを果たし、昨年の「マスターズ」では最終日にともに首位から出たバッバ・ワトソンに競り負けた。リベンジを期した今年、3月に入ると一気に上り調子に。今大会の直近3試合は優勝→2位→2位という成績でオーガスタに乗り込んだ。

「昨晩はよく眠れなかった。でも去年と同じ状況だったんだ。家族とリラックスして、朝食をとった。いつものルーティンをこなした」。積み重ねてきた実績は少しずつ自信を生んだ。マスターズの日曜日の緊張感もすでに知っていた。

幼少時代から、障がいを持つ妹エリーさんを家族でサポートしてきたスピース。若くとも、決して多くの人が知りえない経験を積んできた。今年、44度目の出場でマスターズから身を引くことを決めたベン・クレンショーは、スピースと同じテキサスの出身。63歳は「ジョーダンと初めて会った時のことをよく覚えている。ワイアット・アープのように見えた」と言った。

ワイアット・アープは19世紀後半、アメリカ西部開拓時代に活躍した保安官。「荒野の決闘」「OK牧場の決斗」などの西部劇映画のモチーフになった伝説のガンマンだった。法律家の父に育てられ、家族の絆を重んじ、いつも冷静沈着で、仕事を忠実に遂行する。「多くの人が知っていると思うが、彼は自分の感情を抑えて、やるべきことをできるんだ」。クレンショーは21歳の中に、そんなヒーローの姿を見た。

この日の朝、クレンショーは「我慢を続けよう。きみは素晴らしいプレーをしてきた。ただやるべきことに集中するんだ」とメールを送ったという。そしてスピースは、その仕事をきっちりと全うした。

「ぼくの夢は世界ナンバーワンになることだ。いまはまだ、決してそうじゃない」。派手さはない。謙虚で、生真面目な新世代のマスターズチャンピオン。優しくとも、鋭い眼光がガンマンのようだった。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)


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