ラウンド中に水をまく? “やり過ぎ”ハードセッティングに集中砲火/全米オープン事件簿@シネコックヒルズ<2004年>
◇メジャー第3戦◇全米オープン◇シネコックヒルズGC(ニューヨーク州)◇7440yd(パー70)
プロとアマチュアの垣根なく“ゴルファー世界一”を決める「全米オープン」が、8年ぶりにニューヨーク州シネコックヒルズGCで行われる。大会を主催する全米ゴルフ協会(USGA)創立時に中心的役割を果たした5クラブのひとつ。1896年の第2回大会をはじめとする過去5度の開催では、後世に語り継がれる“事件”が起きたことも…。名門コースで繰り広げられたバトルを少し斜めから振り返る。
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2004年はUSGAにとって“汚点”ともいえる大会になってしまった。好天に恵まれた予選ラウンドは丸山茂樹とフィル・ミケルソンが通算6アンダーで首位を並走。強風がコースを襲い始めた3日目から全米オープンらしい我慢大会の様相を呈した。
5アンダーで首位に立ったレティーフ・グーセン(南アフリカ)、「74」で後退しながら2アンダー4位につけた丸山ら7人がアンダーパーグループを形成。ただ、プレーした選手からは「コースはかろうじて持ちこたえている状態。夜のうちにグリーンにたっぷり水をまかなければ、最終日に風が吹くと“大惨事”になる」といった警告が相次いだという。
しかし、実際には夜通し風が吹きつけて乾燥しきったグリーンに朝になってからローラーをかけたことがダメ押しをする形に。とてつもなくシビアなコンディションに仕上がり、ボールが全く止まらない状況。7番(パー3)を最初の2組4人がプレーして3つのトリプルボギー(残る1人もボギー)が出ると、コースセッティング担当が現場へ急行する羽目になった。
すでにプレーした選手がいるにもかかわらず、グリーンに水をまく前代未聞の対応を実施。その後はほかのホールを含めて数グループごとにグリーンへ散水を行った。アンダーパーでフィニッシュしたのは、優勝したグーセン(4アンダー)と2位ミケルソン(2アンダー)だけ。ロバート・アレンビー(オーストラリア)のパープレー「70」が最終ラウンドのベストスコアだった。
プレーするタイミングによって不公平さが否めず、USGAには批判が殺到。シネコックヒルズのメンバーも激怒し、一度は全米オープン開催に“NO”を突き付ける事態に発展した。USGAのエグゼクティブディレクターを務めたデビッド・フェイ氏はのちに「我々は『速くて硬い』コースに夢中だった。あの日、我々はやり過ぎてしまった」と語っている。