「1ペナあるかも…」優勝争い真っただ中の宣告にSNS大炎上/全米オープン事件簿(1)
◇メジャー第3戦◇全米オープン 事前(9日)◇オークモントCC(ペンシルベニア州)◇7372yd(パー70)
プロとアマチュアの垣根なく“ゴルファー世界一”の座をかけて戦う「全米オープン」は今年で125回目を迎える。7月に第153回を控える「全英オープン」に次ぐ伝統のメジャーは、時にハードすぎると批判の的になることすらあるコースセッティングでほかの試合とは一線を画す。長い歴史において、その権威と難しさゆえに発生した“事件”もチラホラ…。記録と記憶に残る出来事を振り返る。
今年で大会最多10度目の開催となるペンシルベニア州オークモントCCでも、やはり事件は起きている。記憶に新しいのは直近の2016年。メジャーで惜敗を重ねていたダスティン・ジョンソンが悲願の頂点に立った試合で波乱の展開が待っていた。
最終ラウンド5番、ジョンソンは1.5mパーパットを打とうとした直前に動きを止め、競技委員を呼んで「ボールが後方に動いたかもしれない」と申告。主催する全米ゴルフ協会(USGA)の競技委員は「パターを地面に置く前(アドレスする前)にボールが動いた」という訴えを聞き入れ、そのままプレーを続けさせる判断を下した。この微妙な距離を沈めてピンチを切り抜けた…はずだった。
しかし、複数の競技委員が映像を見直すと、ボールが動いたのはアドレス後で、ジョンソンの動作が影響した見解も浮上。後半12番(パー5)に入る際、ラウンド終了後に再協議すること、1罰打が加えられる可能性があることを選手に通達した。
事態はテレビ中継でも伝えられ、ロリー・マキロイ(北アイルランド)らがSNSでUSGAの対応を痛烈に批判した。結局1罰打を科されたジョンソンが後続に4打差をつけていたことで勝敗への直接的な影響はなかったものの、USGAは翌日に声明を出した。「我々が裁定をラウンドの終わりまで引き伸ばしたことで、(試合に)混乱をきたしたことを残念に思う」と釈明し、優勝争いを左右しかねないタイミングでの不手際を認めた。
USGAは1罰打を科した裁定そのものには自信をにじませていたが、同年12月にR&Aとともにルール改正を発表。現在パッティンググリーン上で球が偶然動かされたときは無罰でリプレースできることとなっている。