ああ勘違い… ウッズと並ぶ最多82勝レジェンドの悲哀/全米オープン事件簿(4)
◇メジャー第3戦◇全米オープン 事前(11日)◇オークモントCC(ペンシルベニア州)◇7372yd(パー70)
プロとアマチュアの垣根なく“ゴルファー世界一”の座をかけて戦う「全米オープン」は今年で125回目を迎える。7月に第153回を控える「全英オープン」に次ぐ伝統のメジャーは、時にハードすぎると批判の的になることすらあるコースセッティングでほかの試合とは一線を画す。長い歴史において、その権威と難しさゆえに発生した“事件”もチラホラ…。記録と記憶に残る出来事を振り返る。
タイガー・ウッズと並ぶPGAツアー最多82勝を挙げたサム・スニード。1950年に年間11勝という不滅の大記録をマークしたレジェンドは、メジャーでのキャリアも華々しかった。「マスターズ」と「全米プロ」で3勝ずつを挙げるなど、通算7勝を誇る。しかし、全米オープンだけは4度の2位が最高。誰よりも勝ちまくりながら、キャリアグランドスラムに届かなかった。
フィル・ミケルソンに次いで大会2番目の多さとなる4度の2位よりも悔やまれるのがペンシルベニア州フィラデルフィアCCで行われた1939年大会かもしれない。初日「68」で首位発進したスニードはトップで最終日の終盤を迎えた。
残り2ホールで、すでにプレーを終えていたバイロン・ネルソンらとは2打差があった。17番で1.5mのパーパットを外して1打差に詰まっても最終18番はパー5。優位は動かなかったが、コース内に巨大なリーダーボードもなかった時代が災いした。成績順でペアリングを組み替え、首位の選手が最終組を回るシステムも確立されておらず、戦況を把握しきれていなかったという。
バーディを獲らなければ勝てないと思い込み、果敢に握った1Wをラフに引っ掛けた。さらに2Wのショットがグリーンまで100ydほどのバンカーに突き刺さるなど大トラブル。まさかの5オン3パットでトリプルボギーを喫し、「74」の通算10オーバーでホールアウト。ネルソン、クレイグ・ウッド、デニー・シュートの3人が並んだプレーオフ進出に2打及ばなかった。