前代未聞の事態 渋野日向子ら先見えぬ五輪の座
2020年 ファウンダーズカップ(延期)
期間:03/19〜03/22 場所:ワイルドファイヤーGC(アリゾナ州)
試合延期は“スーパー”で知った 畑岡奈紗は次戦まで米国で練習
残念な知らせは予期せぬ形で気づいた。畑岡奈紗は12日の夕方、フロリダ州のスーパーマーケットにいた。会計を済ませたところで、ばったり会った知人の元LPGA選手に言われて、スマートフォンを取り出すとツアーからの新着メールが。メジャー第1戦「ANAインスピレーション」を含む次週からの3試合が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期になった知らせが届いていた。
1月に始まった米女子ツアーで、畑岡は開幕2試合をいずれも2位フィニッシュ。スタートから勢いづいたところで、2月からのアジアシリーズ3試合が中止になった。
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「中国では難しいかなと思っていたんですけど、まさか3つとも…」。一時帰国した日本で米本土でのツアー再開を待っていたところ、米国での入国制限を心配して今月6日に急きょ単身渡米。シーズン当初の計画では出る予定のなかった19日からの「ファウンダーズカップ」に準備を向けて進めていたが、そのプランも台無しになった。
試合のない期間がまた増えた。知らせを聞いた翌13日は丸一日、練習しなかった。「なんだか気が抜けてしまって…。毎日張りつめた感じで調整していたので」と事態に呆然となったが、男子のPGAツアー中止、「マスターズ」延期のニュースは米国にいればより身近なもの。ウイルスの影響の脅威を肌で感じる。「自分たちの健康はもちろん、ファンの方がひとりでも感染していたらひろがってしまう。今はしょうがないと思います」と受け入れた。
それでもひとつ、開催が危ぶまれている「東京オリンピック」のことが気がかりでならない。「東京オリンピックは一生に一度のこと。それまでに(騒動が)収まってくれることを信じるしかない。たとえ延期でも、東京でやりたいです。国立競技場だって、霞ヶ関カンツリー倶楽部だって…。日本中が準備をしてきた。コロナでなくなってしまうのはみんながつらい」
ツアーの再開は現時点で早くても1カ月後、4月15日開幕の「ロッテ選手権」(ハワイ州コオリナGC)になる。こちらも開幕前は出場予定のなかった大会にエントリーするつもりだ。
日本で調整に励む手もあるが、「ずっとここで練習します」と畑岡は言う。拠点にするフロリダのゴルフ環境は最高。「ゴルフ以外はヒマだと思う時もあります(笑)。ハワイは日本からのほうが近い。でも、もしかしたら今後(一時帰国したら)日本から入国できなくなることがあるかもしれない。アメリカに頑張って居ようと思います」。リスタートのときを信じて、ひとり懸命に打ち込む。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)