平塚哲二は3位「ゴルフは残酷」
ツアープレーヤーたちの衝撃<平塚哲二>
今年の「全英オープン」は、ジャパンゴルフツアープレーヤー出身のトッド・ハミルトンの劇的優勝で幕を閉じた。また、日本人選手も初出場組の神山隆志、平塚哲二を含む4選手が予選通過を果たすなど健闘が光った。
特に平塚は、全英前週の「The Barclays スコットランドオープン」での34位からの挑戦。帰りの飛行機の中で、「・・・さすがに、疲れましたわ」とこぼしながらも、充実の2週間を過ごすことができたようだ。今回の挑戦で平塚が度肝を抜かれたのが、なんといっても外国人選手たちの破格のパワー。「スコットランドオープン」の予選2日間は、地元出身のサンディ・ライルとのペアリングに、驚きの連続だった。
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ライルは1985年の「全英オープン」、1988年の「マスターズ」チャンピオン。日本ツアーでは84年のカシオワールドープンも制し、日本でも馴染み深いライルは、45歳を迎えた今でも健在。「まるで化け物!」と平塚が特に唖然としたのは、あるホールで2人一緒にものすごいラフの中に打ち込んだときのこと。6アイアンで脱出するのが精一杯だった平塚に対し、ライルは8アイアンでこともなげに、グリーン近くまで持っていってみせたとか。
「まさに、ブッシュもろとも吹き飛ばさんかの勢い・・・。『本当にこの人45歳なんかな?』って疑いたくなりました」と、振り返る。
さらに、翌週の「全英オープン」で、平塚が驚嘆したのは練習場で球を打つ選手たち。なんでも打撃場の芝が「強烈な逆目」だったそうで、平塚ら日本人選手たちは打つたびにヘッドが突っかかって練習にならない。「しょうがないから、あらかじめ少し芝を削っておいて浮いたところにボールを置いて打っていた」(平塚)と苦心しているそばで、他の選手たちは平然と球を打ち、「しかも巨大なターフを取っているんです!!」。
特にパワーヒッターのタイガー・ウッズやビジェイ・シンなどは、「それこそ30センチもあろうかというターフをこともなげに、ボコボコ空に飛ばしてました。僕らは、せいぜいその場で芝を捲らせるのが精一杯なのに・・・。日本では、自分も結構パワーある方だと思っていたけれど、世界を見たことでちょっと情けなくなりましたね」。
だからといって悲観しているわけではない。どこまでもマイペース、が平塚の長所。「パワーの差を卑下していたら落ち込むばかりだし、彼らと同じように飛ばそうとか思ってもスイングを崩すだけ。今まで通り、僕は僕のやり方を続けるだけで、それはこれからも変わりません」。デビューから10年。下積みの時代も周囲に振り回されることなくコツコツと努力を積み上げてきた、平塚らしいコメントである。
今週は、初のメジャー戦の興奮もそのままに、帰国したその足で新潟入り。周囲が体調を気遣う中、「このまま休んだほうが、体を壊す」と聞かず、「新潟オープン」に出場。「そこに試合があるとわかっていて、みすみす休むなんて申し訳なくていられないから・・・」。その姿勢は、海外のトッププレーヤーにも劣らない。