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平塚哲二は3位「ゴルフは残酷」

ビッグタイトルを手にした久保谷健一が言った。「全英の時の、エルスみたいなもの」。国内男子メジャー第3戦「日本オープンゴルフ選手権競技」は、70ホール目を終えて2位に2打差をつけて単独首位に立っていたジュビック・パグンサン(フィリピン)が、終盤17番でダブルボギー、18番でボギーを叩いて後退。2組前でホールアウトしていた久保谷に栄冠が転がり込んだ。

チャンピオンの頭に浮かんだのは7月の「全英オープン」。アダム・スコット(オーストラリア)が悪夢の4連続ボギーフィニッシュで初のメジャータイトルを逃し、アーニー・エルス(南アフリカ)がクラレット・ジャグにキスをした。もちろん自身も必死に戦った後とはいえ、そんな悲劇のシーンを思い起こさずにはいられなかった。

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ボヤキの久保谷は優勝カップを前にしても、自らのショットを相変わらず低く評価しながら話した。「僕が優勝したらマズイ。平塚あたりが勝たないと。奴が一番近いと思っていたので、仲間としてあまり喜べない」。2人は酒飲み仲間として知られている。今週も食事をともにし、前夜も「どうせ勝つのは平塚だ」と話した。そしてこの日、自虐的に「平塚はグリーン周りに絶対の自信を持っている。ああいうやつが取らないといけない」と日本一の称号の重みを感じることになった。

その平塚哲二は、最終日を単独首位からスタートし、2番でいきなりダブルボギー。「あのダボで終わってしまった」と中盤にパグンサンに逆転を許した。痛恨だったのは14番からの3連続ボギー。自信を持って打ったパットがカップをなめ続けた。コースが難しくなればなるほど、輝きを増す実力者だけに、失望感に満ちた顔で話した。

だが平塚の口から最初に出た選手の名前は、友人・久保谷の名前ではなく、最終組をともに戦っていたパグンサンだった。「パグンサンを見ていると、ゴルフは残酷。一番良いショットを打っていたし、これが日本オープンなのかと思う」。ティショットを池に入れた、17番でも同伴競技者に固さはまったく見られなかったという。「かわいそうや。(パグンサンの)ショットはえげつない。めっちゃ良い。低いドローボールで。本当にいいボールを打っていた。ただ、17番はドローヒッターには打ちづらいかな・・・」。国籍や、普段からの仲の良さなど関係ない。ただ、やりきれない、といった表情でタバコの煙を吐き出した。

「みんながババって崩れて、自分が上にいるのって、あまり喜べないもんですね」。優勝会見で、久保谷も言った。勝っても残る“後味の悪さ”。それも過酷なゴルフトーナメントの厳しさかもしれない。(沖縄県八重瀬町/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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