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2017年 ファーマーズインシュランスオープン
期間:01/26〜01/29 場所:トーリーパインズGC サウスコース

佐藤信人の視点 勝者と敗者

予選落ちのウッズが見せた“規格外”の希望

~解説・佐藤信人プロ

◇米国男子◇ファーマーズインシュランスオープンサウスコース7698yd、ノースコース7258yd(ともにパー72)

タイガー・ウッズが1年5カ月ぶりにツアーの舞台に帰ってきました。サウスコースで「76」、ノースコースで「72」、通算4オーバーで予選落ちしましたが、プレーにはポジティブな内容が込められ、ラウンド中にカートに乗って棄権した2年前の大会に比べれば、未来がずいぶん明るいように見えました。

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スイングに全盛期のような力強さ、シャープさは感じず、クラブの体への“巻きつき”は少なくなっています。ただ、ウッズほどスイングが変わる選手は珍しく、その都度新しい動きに対応してきました。普通のプレーヤーでは、アプローチイップスのような状態から、あそこまで立ち直ることはできません。そのままツアーから遠ざかる可能性も大いにありますが、カムバックしてきた事実が、ウッズが“規格外”であることの証明でもあります。「またスゴイことをやるんじゃないか…」と期待してしまうのです。

今回は12月のバハマでのツアー外競技「ヒーローワールドチャレンジ」とは違う緊張感に包まれたことでしょう。156人のフィールドで予選落ちもあり、現地を訪れたファンやメディアの数、注目度も格段にアップしました。暖かいバハマとは違い、1月のカリフォルニアの寒さも体にはこたえるところ。初日のバックナインでは、3連続ボギーの後にダブルボギーが出て、途中棄権してしまうのでは…という心配がよぎりましたが、バーディで締めくくることができました。2日目の後半は飛距離もよく出ており、試合の中で修正が効いたことが何よりの好材料です。

優勝争いは混とんとして、先頭集団が膨らんだマラソンのような展開になりました。プロ初優勝を飾ったホン・ラーム(スペイン)は、日本ではまだ浸透が浅いかもしれませんが、大学時代の活躍からも、早くから注目を集めていました。飛距離やパワーに強さがプラスされた逸材。ラウンド中に集中力がどんどん研ぎ澄まされていった感じでした。松山英樹ジョーダン・スピースジャスティン・トーマスら世代を代表する選手として、名前が呼ばれるひとりになるでしょう。(解説・佐藤信人プロ)

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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