ハダカの片岡大育が語る世界への覚悟【HIGH LIGHT】
2018年 〜全英への道〜ミズノオープン at ザ・ロイヤルGC
期間:05/24〜05/27 場所:ザ・ロイヤルゴルフクラブ(茨城)
恐るべき8000yd超えコースが残した爪痕
今季からザ・ロイヤルゴルフクラブ(茨城県)に会場を移したミズノオープン。注目を集めたのは、705ydの16番(パー5)を含む8007ydというモンスター級の総距離でした。
秋吉翔太選手のツアー初優勝で幕を閉じた今大会ですが、そのスコアは1アンダー。アンダーパーはたった1人という、過酷さを物語る結果となりました。要因はコースの長さに加え、深いラフ、強い風、起伏のあるグリーンが、予想以上に選手たちの前に立ちはだかったことが言えると思います。
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その影響からか、最終日は首位がたびたび入れ替わるスリリングな展開。特に上がり3ホールでは、最後の最後まで目が離せない流れとなりました。総距離を考えると飛距離優位と捉えてしまいがちですが、上位陣の顔ぶれを見るとそればかりではないことがうかがえると思います。
この展開を演出したのは、全英オープンを連想させるフェアウェイの硬さがあったからではないかと思うのです。私が全英に初めて出場した際、一番衝撃を受けたのが、リンクスでのフェアウェイの硬さでした。フォローが吹けばランがどこまででも出てしまう。逆にアゲンストになればドライバーでも200ydに届かない。通常の距離感が通用しない状況こそが、仮想全英に求められるセッティングだと思うわけです。
『~全英への道~』と大会名で掲げているように、全英オープンを少しでも彷彿とさせるコースが求められましたが、今回の試合展開を見ると少しでも近づけられたかなと感じます。またここで全英への切符を手に入れた選手たちには、胸を張って挑んでほしいと思います。
そしてもうひとつ、今回の試みで見えた課題についても触れておきたい思います。それは距離を長く設けたことで、やや強引になってしまった部分。8000yd超えという数字に執着してしまったことで、選手たちに過酷すぎる状況を与えてしまいました。特にアゲンストが吹いた2日目の最長ホール16番(パー5)では、バーディが1人も出ない(143選手で0人)という結果となってしまったのです。
ゴルフの醍醐味は、飛距離だけではありません。ピンチに陥った際、どのように打開してチャンスに転じるか。総合力が問われて良いスポーツだと考えています。ティショットで曲げてしまったら終わり…。今回のセッティングでは、このようなゲーム性をやや欠いてしまった部分があったと感じています。
改善策としては、アゲンストの日は距離をやや短くしたり、ピンポジションをもう少しやさしく設定する。また、ラフをすべて同じ長さにするのではなく、長い距離のホールではラフを短くした場所をあえてつくる。逆に短いホールではラフを長めにするなど、バランスを考えたセッティングが必要だと、私は考えます。
国内ツアーとして初めての試みとなった8000yd超えのセッティング。成果と課題が見えたことで、来季以降への教訓に生かすことができます。このようなチャレンジは、今後も続けていくべきだと再認識しました。(解説・佐藤信人)
- 佐藤信人(さとう のぶひと)
- 1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。
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