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佐藤信人の視点 勝者と敗者

進化する賞金王 池田勇太が手に入れた“大砲ショット”

◇国内男子メジャー第3戦◇日本オープンゴルフ選手権競技 最終日(15日)◇岐阜関カントリー倶楽部 東コース(岐阜)◇7180yd(パー70)

メジャータイトルがかかる大一番で、身震いするような至極のショットを見ることができました。それは日本オープン最終日の18番、池田勇太選手が放ったティショットです。

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3日目終了時点で2位と5打差あったリードが、アマチュアの金谷拓実選手(東北福祉大1年)とわずかに1打差となり、迎えた18番。この日はショットが大きく乱れ、OBを2発、アイアンも思うように打てていない状況で、あのドライバーショットが生まれました。

迷うことなくドライバーを選択した池田選手は、フルスイングといえるほど振りきった感覚でボールをとらえました。球は大きな弧を描き、300ydを超すビッグドライブとなったのです。

解説者としては単に「開き直った一発」と表現してしまうところなのですが、それだけでは表しきれない、強烈な自信と鍛錬された技術を集約したレベルの高いショットでした。

池田選手は今シーズン、海外メジャーに4戦すべて挑戦し、思った通りの結果は出せていませんが、いろいろな経験を積んできました。私は昨年賞金王になった時点よりも、間違いなく進化していると見ています。

特に大きく変わったのが、ドライバーショットです。昨季までは“弾丸ショット”という感じの強い弾道でしたが、今季はそれに高さもプラスされ、打ち出しからズドーンと高く舞い上がるビッグドライブ、“大砲”のようなショットに進化しています。

ドライバー自体も、バランスをかなり軽め(通常ならD2~D3のところを、池田選手はC6)にしていることで、振りきれる感じにしてあるのも特徴です。ギアへの探求心も、あの場面であそこまで見事にドライバーを振りきれる要因だったと窺えます。

このあと賞金レースも終盤となっていきますが、進化した池田選手(17日現在、賞金3位)が本来の実力を出し続ければ、独走態勢を築いてもおかしくないと思っています。また、この大会で通算ツアー19勝となりましたが、今季あと1~2勝、来季中には永久シード(25勝)にも手が届くのではないかと思っています。(解説・佐藤信人)

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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