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佐藤信人の視点 勝者と敗者

最終組を包んだ微妙な空気感――勝敗を分けたもの

「フジサンケイクラシック」最終日を首位に4打差3位から出たパク・サンヒョン選手(韓国)が、逆転で国内ツアー通算2勝目を飾りました。

彼の勝利を語るうえで外せないのが、同じ最終組で回ったチャン・キム選手(米国)とチェ・ホソン選手(韓国)との戦いに見えた勝負のあやだと思われます。

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3日目が終わった時点で注目を集めていたのは、首位に立っていたタイプのまったく異なる2人でした。1人は他を圧倒する飛距離が魅力のキム選手。もう1人は巧みなショートゲームとギャラリーの目を引くクラブさばきが持ち味のチェ選手。“力”と“技”、タイプの違う両雄の一騎打ちという展開を誰もが予想していました。

流れが変わったのは前半7、8、9番の3ホール。ここで天候が荒れ、突じょ豪雨が降り始めます。通常でもこの3ホールはアゲンストの風が吹き、なかなか攻略が難しいのですが、それにも増して雨の中ということで、ここをどう切り抜けるかが勝敗を左右すると予想していました。

キム選手は7番と9番でボギー。チェ選手は3ホールともパーセーブで切り抜けましたが、パク選手は8番でバーディを奪ったのです。ここでの差が、後半の流れに大きくつながったといえます。

また、前半を終えたキム選手はハーフターンの間にマネジャーに対してかなり激怒している様子を見せました。自身のプレーに対するいら立ちもあったと思いますが、その対象は同組で回るチェ選手に対するものでした。理由はキム選手がショットを打つ際に目に入る所に立っていたり、パフォーマンスを重視するあまり少し同伴者への配慮に欠けていた部分があったものと思われます。

特に2人は直接やりとりしたわけではなかったのですが、試合後にパク選手が「2人がお互いを意識し合っている間、自分のプレーに集中しようと思った」と語っていたことからも、同組の選手間のなかでは微妙な空気が流れていたことがうかがえます。

実はキム選手とチェ選手が同組になったのは今大会が初めて。一方のパク選手は、チェ選手と何度も回っており、彼のスタイルも見慣れていました。前を走る2人がバチバチやり合っている間に、彼は静かにプレーを続けながら、勝機が訪れるのを待っていたのだと思われます。

パク選手が流れを呼び寄せたのは13番(パー3)でのバーディから。飛距離ではキム選手に劣るものの、安定したショットを見せ(フェアウェイキープ率71.15%:13位)、パットも2人を上回る内容(平均パット1.6667:2位)。最後は危なげなく6バーディ、ノーボギーの「65」で優勝をたぐり寄せました。

“力”と“技”、それに勝ったのは流れを読む“勘”――だったのでしょうか。3人の勝負を観た後に感じたことは、ゴルフは運も流れも必要で、そのうえで一番、俯瞰して周りが見えていた選手に勝利が舞い込むスポーツであること。空気の読み合いも、またひとつの見どころであることを再認識しました。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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