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佐藤信人の視点 勝者と敗者

同じ土俵の上で 海外選手の受け入れ方

2018/12/26 16:30


「スター不在」と囁かれて久しい日本ツアーで、今季はベテラン、中堅、若手とそれぞれに優勝者がそろい、活性化されたシーズンとなりました。

谷口徹選手、Y.E.ヤン選手(韓国)といったベテラン勢から、市原弘大選手、木下裕太選手、額賀辰徳選手ら中堅組。秋吉翔太選手、出水田大二郎選手、星野陸也選手、稲森佑貴選手ら若手陣。例年になく新たな顔ぶれがそろった一年でした。

そのなかでタンヤゴーン・クロンパ選手(タイ)、アンジェロ・キュー選手(フィリピン)といった海外選手にも注目したいと考えています。これまでは海外勢といっても特定国の出身者が多かった印象ですが、今後はアジアをはじめ、世界各国から優勝者が増える予感をさせてくれました。

来季からは下部・AbemaTVツアーが世界ランクポイント付与の対象試合となることも決まりました。来秋には米ツアー共催の「ZOZOチャンピオンシップ」もあります。今月行われたファイナルQTの上位30人中15人が海外選手という結果も、グローバル化の波を感じさせるものとなっています。

このような状況下で、日本ゴルフツアー機構(JGTO)としては、どのような対応をするべきかが問われています。海外選手ばかりで国内選手が優勝できないと、スポンサーがつかなくなるのでは?と懸念する声がどうしても上がってくるからです。そこで持ち上がる提案は、海外選手の人数を制限するべきとか、QT(クオリファイングトーナメント)の在り方を見直すべきといったことです。

米ツアーに参戦するためには、まず下部・ウェブドットコムツアーの出場権を獲得するところから始めなくてはなりません(※スポットでの優勝などは除く)。一方で日本ツアーは、QTの成績次第で直接レギュラーツアーの出場資格を得ることができます。日本でも米ツアーのように、QT通過選手はまず下部ツアーから… という提案があるのも事実です。

ただ、私はこのような門戸を閉ざす方向での提案は健全ではないように思います。世界のゴルファーが目指す米ツアーでは必要な設定ですが、日本ツアーで同じことをしても、それがツアー人気を保つことにつながるとは言えないからです。

同じような状況で、日本の国技である大相撲は、モンゴル、欧州、ブラジルの出身者が番付に名をつらねています。一時は外国人力士の横綱昇進を疑問視する声もありましたが、いまや横綱・白鵬をはじめ、外国人不在の取り組みは考えられない現状です。

同じ土俵の上で国籍は関係なく、チャンスは平等に存在しています。屈強の外国人力士がいて、それに立ち向かう日本人力士に喝采がわき、総じて舞台全体が盛り上がる。日本ツアーが目指すべき道はこちらではないかと思うのです。

そのような観点で言いますと、今後は協会側だけでなく、ギャラリー、テレビ観戦するファンの視点にも変化が問われるように思います。変則スイングのチェ・ホソン選手(韓国)が今季SNSでブレイクし、彼のプレー見たさに会場に足を運ぶ人が増えました。現実は少し難しいと思いますが、海外選手をライバルとして見るのではなく、選手の個としてのキャラクターに焦点をあて、国籍に関係なく応援してほしいという願いがあります。

このたびJGTOの広報担当理事を務めることになりましたが、このようなファンの皆さまの意識改革が少しでも進むように務めていきたいと考えています。まだまだ課題は山積みですが、SNSや動画コンテンツといった配信方法が多様化したいま、多くの可能性を探っていければと考えております。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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