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「晃子の影になれ」を乗り越えて 福嶋浩子が流した初めてのうれし涙

苦しみ抜いて、つかんだ悲願だ。国内女子ツアー「サイバーエージェント レディス」で、38歳の福嶋浩子がツアー初優勝を飾った。姉・晃子は日米ツアー通算26勝を誇るが、妹・浩子は未勝利だった。上がり3ホールで3つスコアを落とし、キム・ハヌル(韓国)に並ばれた。プレーオフ1ホール目で勝負を決め、目に涙を浮かべた。苦労人が歓喜のタイトル奪取で、史上初の姉妹優勝を達成した。

会見で「本当に苦しかった」と振り返った。前半で最大5打まで広げたリードを、バックナインで一気に吐き出した。13番でボギーを叩くと、16番では約15mのバーディパットを6mオーバーさせた。パーパットも2mオーバーし、計4パットのダブルボギー。続く17番も落とした。

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18番のティでは、後藤勝キャディから「ハヌルが並んでるから」と言われた。弱気な福嶋にはプレッシャーともなり得る。「お前は勝てるんだ」。背中を押し続けてくれるキャディの言葉を信頼した。冷静さを取り戻し、パーでしのいだ。プレーオフでは先にパーパットを沈め、今季1勝の強敵にプレッシャーをかけることに成功した。

何度も引退を考えた。高校2年生のときにはパターイップスになった。20代で肩を負傷し、一度はゴルフ人生を断念。姉のマネジャーとなった。周囲に「お前は晃子の影になれ」と言われたこともある。存在を否定された気持ちになった。悔しい経験はいっぱいした。

復帰し29歳でレギュラーツアー初出場を果たしたが、これまで賞金シードを獲得したことはない。ティーチングプロの資格を持ち、母のしず江さん(68)からは「もうそっちに専念しなさい」と言われていた。

「もう潮時かな」と考えたこともある。それでもやめずにいる。しず江さんは「ゴルフがよっぽど好きなんですよ」と笑った。福嶋は「私は何でも、人よりゆっくりなんです」と穏やかに微笑んだ。幾度となく流した悔し涙がきょう、初めてうれし涙に変わった。(静岡県三島市/林洋平)

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