チョン・インジがメジャー2勝目 菊地絵理香はプレーオフの死闘で散る
2015年 日本女子オープンゴルフ選手権競技
期間:10/01〜10/04 場所:片山津GC白山C(石川)
女子オープン制したチョン・インジの“裏技” 日米韓のナショナルタイトル奪取
「プレーを楽しむことが一番大事」。スッと伸びた背筋、柔和な笑みを浮かべながらリズミカルにフェアウェイを歩く姿は、そんな心持ちを表しているのか。
石川県の片山津GCで開催された「日本女子オープンゴルフ選手権競技」の最終日、韓国ツアーを主戦場とするチョン・インジが菊地絵理香、イ・ミヒャン(韓国)とのプレーオフを制して優勝。今年5月の「ワールドレディスサロンパスカップ」に続き、日本のメジャー2連勝を飾った。21歳55日での達成は、2006年の宮里藍の21歳83日を更新するメジャー2勝目の最年少記録となった。
<< 下に続く >>
国内女子ツアー初参戦にして初優勝を挙げた鮮烈なデビューに続く勝利。3バーディ、1ダブルボギーの「71」で最終日の18ホールを終え、土壇場でプレーオフに持ち込んだ。
チョンはこのプレーオフで、ちょっとした“裏技”を使っていた。それは、クラブのスイッチ。「距離の長いホールだったからウッドかUTで打たないといけない」。18番(423yd)で行われるプレーオフで、2打目に距離が残ることを想定し、8Iを抜いて19度のUTをバッグに加えたのだ。
自身初となる4ホールに及んだプレーオフでは、3ホール目と4ホール目でこのUTを使用した。勝負を決めた4ホール目。ピンまで残り190ydから2打目を放つと、ボールはグリーン奥のカラーにピタリと止まった。
約2.5mを残したパーパットはわずかにカップをそれ、プレーオフの続行を覚悟したが、菊地がボギーパットを外した。76ホールの戦いを終えると、それまで引き締まった表情から笑顔がこぼれた。
今週は韓国でも試合が行われているが、あえて日本のメジャーに参戦した。自身が韓国ツアーで初優勝を飾ったのもメジャー大会(2013年「韓国女子オープン」)だったこともあり、「一昨年から出場したいと思っていた。日本のメジャーの雰囲気を味わいたかった」という。
この優勝で「韓国女子オープン」「全米女子オープン」「日本女子オープン」のナショナルオープン3タイトルを制した。「日本では来るたびに楽しい時間を過ごしています。優勝することよりも、プレーを楽しみに来ているの」――無邪気か無欲か、恐るべし21歳。新たな羽を得た“ダンボ”はさらに空高く飛び立つ。(石川県加賀市/糸井順子)