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2015年 全米女子オープン
期間:07/09〜07/12 場所:ランカスターCC(ペンシルバニア州)

笑顔のチカラ チョン・インジが語ったその源泉

「全米女子オープン」期間中のとある昼下がり、メディアダイニングで同席になったのは、地元ランカスターのテレビ局で働いているというご婦人だった。ここぞとばかりに気になっていたことを聞いてみた。

「アーミッシュって、自分のような外部の人間を受け入れてくれるんですかね?」

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大会明けの月曜日、あわよくば異文化生活を送るアーミッシュと触れ合ってみたいと思い、情報収集を試みたのだ。「うーん」と、そのご婦人はちょっと困ったような顔をした。「基本的には閉鎖的な人たちだけど、一部の人たちはお店をやったりしているから…。でもね」と言って、こちらを見て満面の笑顔を見せた。「スマイルが大切ね。スマイルは、ユニバーサルジェスチャーだから」。

確かに、笑顔は世界をつなぐ。この日行われた大会最終日にも、同じ感覚を味わった。

決戦の日曜日、チョン・インジ(韓国)と大山志保は、最終組の1組前でティオフした。1番では先に2打目を1.5mにつけたインジに対し、大山の球はインジのボールに当たってピンそば50cmにぴたりと止まった。

6番(パー3)でも、それは再び繰り返された。先にインジがピン左7mにつけると、大山のティショットは再びインジの球をヒットしてやや内側に。インジが、球を元あった場所に戻そうと、観客席のギャラリーに「ここ?」という具合に確認しながらポイントを探すと、ギャラリーから「カップの中にあったよ!」と冗談が飛んだ。思わず、インジの頬がほころんだ。

ほとんど同じ距離だった2人のバーディトライ。決めたのは、大山だった。声に出ていたかは定かではないが、このパットがカップに沈むと、大山本人が「おーっ」と驚いた顔をして、それから笑顔。そして拳を上下に振ってから、手を上げて拍手に応えた。

次のティに向かってグリーン脇を歩いていると、2人組の男性ギャラリーが話しかけてきた。「この2人はどんな人たち? 見たことがないんだけど…」。1人は日本ツアー、もう1人は韓国ツアーをプレーしている選手だよ。そう説明すると納得した様子だ。「ありがとう。ずっと付いて歩いているんだけど、この組は面白いね」。アメリカ人には馴染みのない2選手だったが、プレーとその笑顔で、ギャラリーを魅了するには充分だった。

優勝会見でインジはさらりと自身の過去に触れた。

「自分がゴルフをはじめたとき、父は自分でビジネスをやっていて、母は小さな食堂で働いていた。それから、父の仕事があまりうまくいかなくなって、母も足を怪我して食堂を辞めなくてはいけなくなったの。だから、一時期は両親とも仕事がなかった。でも、両親は私がゴルフに恋をして以来ずっと、私に金銭的な困難は感じさせなかったし、それを知らせもしなかった。ちょうどその頃、コーチに会った。コーチから教わったのは、ゴルフを楽しむこと。だから、私がしてきたことは、悲観的なことは一切考えず、ただゴルフを楽しむこと。それが、全米女子オープンの優勝につながったと私は信じています」。

この1週間で、会場には大会史上最多となる13万4016人のギャラリーが足を運んだ。いつも笑顔をたたえ、愛称の“ダンボ”のようにおおらかな存在感で晴れの舞台を楽しみ抜いた。まるで、ゴルフの神様からのご褒美のような勝利だった。(ペンシルバニア州ランカスター/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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