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絶体絶命も乗り越える“イ・ボミ劇場” 今季4勝目は母の誕生日プレゼント

両手で掲げた優勝カップは母への最高の誕生日プレゼントとなった。国内女子ツアー「ゴルフ5レディス」(岐阜・みずなみCC)最終日、イ・ボミ(韓国)は成田美寿々との5ホールに及ぶプレーオフを制し、自身初めてとなるシーズン4勝目。5打差を追いつかれ、絶体絶命のピンチに陥り、切り抜ける――ある意味では独り舞台の優勝だった。

ツアー初の2週連続完全優勝は、幻と消えるかに思えた。右に振られていたカップが左寄りに切り直されたプレーオフ2ホール目、フェアウェイから9Iで放ったイ・ボミの2打目は「狙いすぎて」グリーン左奥のラフにこぼれた。

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成田は左奥のカラーからのファーストパットを確実に寄せて、パーをセーブ。これに対し、イはアプローチを“ざっくり”した。カラーまでしか運べず、残った距離は5m。勝負あり…の雰囲気が漂う中、「入れないと負けるから」と冷静にラインを読み切ったパットはカップに吸い込まれた。記者会見では「正直、打った瞬間は強いなと思ったけれど、あれが入って優勝できた」と振り返った。

今回とは逆に、最終日に逃げる成田を追う展開だった6月の「サントリーレディス」では、2打差及ばず逆転できなかった。「負けたくない思いはもちろんあった。(今年7度の)2位はもう、したくない。もう1回負けると、美寿々さんが嫌(苦手)になるかなと思い、がんばった」

2週連続完全優勝の記録がかかり、ラウンド中は「プレッシャーになって緊張した。すごく疲れた」というが、「記録でイ・ボミの名前を残せてすごくうれしい」と喜んだ。

5日に母ファジャさんが来日し、大会最終日翌日の7日が54歳の誕生日と思い出した。「早く終わったら、家に帰ってごはんを作ってあげようかなと思ったけど…」。描いていた親孝行のプランは1時間以上に及んだプレーオフで立ち消えとなったが、優勝というこの上ない贈り物に形を変えた。

今季の獲得賞金を1億4700万円台に乗せ、次戦のメジャー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」を迎える。会見では「来週は大事。ラフは同じ感じだと思うので(今週は)いい練習ができた」との言葉も飛び出した。ビッグタイトル獲得、シーズン5勝目、年間獲得2億円超え…が視界にある。強すぎる“イ・ボミ劇場”はまだまだ続きそうだ。(岐阜県瑞浪市/片川望)

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