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賞金ランクトップに浮上 中島啓太の“試合を読む力”

◇日韓亜男子共催◇シンハンドンヘオープン 最終日(10日)◇クラブ72CC・オーシャンコース(韓国)◇7204yd(パー72)

日・韓・亜共催の大会で、中島啓太が最終日に意地を見せた。首位と4打差の11アンダーでスタートした中島が1イーグル6バーディ、2ボギーの「66」で回り、3位タイフィニッシュ。最終18番パー5では、バーディパットをカップの真ん中からねじこみ、拳を力強く握りしめた。

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後半はバーディを重ねて首位との差を縮めていたが、「15番のティショットを打った時に(順位の)ボードがあって、上が19(アンダー)だったので、さすがに追いつくのは厳しいかなって…」。その時点で中島は15アンダー、クラブハウスリーダーのパチャラ・コンワットマイ(タイ)とは4打差だった。

「初日の出遅れ(71)が本当にもったいなかったですね。やっぱり70位ぐらいからスタートしてしまうと、追いつくにもちょっと限界があったかなと。終盤難しいバーディパットとパーパットがたくさん残ったんですけど、全部決め切ることができたので…やっぱり悔しいですね」と唇を噛んだ。前日の会見で中島は「明日は『8』伸ばさないと」と語っていたが、プレーオフになったトップの2人のスコアはその8を足した「19アンダー」、中島の試合を読む力には改めて感服する。

中島が毎週のように優勝争いするのは必然のような気がしてならない。その理由のひとつが試合中の調整力だ。この日は前半の2番パー4と7番パー5で珍しく2度も3パットを喫した。

「今日はちょっとグリーンに緑を塗っていたのかなと思って。実際カップの中を見たら緑色がついていたし、ボールもちょっと緑の色がついて…。それでグリーンが濃い緑に見えて、あんまり速く見えないのに速くいってしまったりというのがありました。言い方が悪いかもしれないですが、昨日はもっとグリーンが焦げたように見えて、見た目から速く見えるところがあったんで」と、まさに7番ではそのギャップからの3パットだった。

「カップの手前から下りというのはわかってたんですけど、思ったより速かった」とファーストパットを打ち過ぎた。ただし、後半のハーフではパットのタッチをしっかり調整。「それ(見た目とのギャップ)を頭に入れながら、16番も下りのワンピンぐらいのパーパットを入れましたし、最後の18番もタッチがあったバーディパットを打てたのでうまく修正できました」

もうひとつの強さの理由が、攻めと守りのバランスだろう。「日本にないようなピン位置があって。かなり傾斜にあったり、セカンド地点からバーディチャンスにつけるのはハードに近いところがありました。引くところは引いて、攻めるとこはしっかり攻めるに徹しました」と、16番のパー4でとったパーは、まさにその“ディフェンス”でとったパーだった。

「2打目で200yd弱ぐらい残るんですけど、ピンの方向打ったら奥行きが5mぐらいしかなくて絶対奥にこぼれてしまうので、多分誰も止められない。攻めずに右に行こうとした結果、手前のバンカーに入りましたが、それでもいいセーブができました」と、優勝争いの中で攻めていきたい終盤でもパーを拾いに行くマネジメントができるのは流石。

「3日間いいスコアで回れたのは、日本でもなかなか無かったので自信になりました。今日は特に後半でたくさん伸ばせたのでよかったと思います」と試合後に語った。これで金谷拓実を抜いて再び賞金ランク1位に返り咲いた。

「来週は試合に出ないのでしっかりトレーニングして、パナソニックオープンから全力でいけるように調整します」と中島は次週「ANAオープン」(北海道・札幌GC輪厚コース)はスキップ。現時点での1位は気にも留めてないのだろう。金谷は次戦に出場予定で、2人のマッチプレー(?)はこのまま終盤戦までもつれこみそうだ。(韓国・仁川/服部謙二郎)

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