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松山英樹は“僕らのエース” アジアのメディアの拍手と質問

◇世界ゴルフ選手権◇WGC HSBCチャンピオンズ 最終日(30日)◇シェシャンインターナショナルGC(中国)◇7266yd(パー72)

「ここではちょっと言いにくいですね…」。3日目のラウンドを終えた公式記者会見で、松山英樹が苦笑いする場面があった。中国のメディアからの質問。「今週、いつもと違うドライバーを使っている理由を教えてください」――

日本勢最多タイとなる米ツアー通算3勝目を世界選手権で成し遂げた松山は、前週の「CIMBクラシック」から契約先のダンロップスポーツ製ではない1Wを握っていた。お世話になっているメーカーに配慮するため、ソールをペンで黒く塗って加工したキャロウェイ製のモデル。“痛いところをつかれた”とばかりに「また元のモノに戻すと思います」と話して、その場を切り抜けた。

今週は、ロリー・マキロイ(北アイルランド)がナイキゴルフの事業縮小に伴い、新たにテーラーメイド製のウッドを握って大会前から注目を集めた。道具を扱うゴルフというスポーツでは、世界のトッププロが実際に試合で使うクラブの動向はニュースのひとつ。中国で、アジアで、松山は既に“そういう対象”だった。

今年で11回目の開催となった大会は、アジア勢初のWGC制覇という快挙で幕を閉じた。後続との7ストローク差は大会史上最多、24歳8カ月5日での優勝は大会史上最年少。誰もが、松山英樹をアジアのスーパープレーヤーと認める結果だった。

優勝会見は、中国をはじめとしたアジアのメディアから自然と沸き起こった拍手で始まった。アジア出身選手として初めてのタイトル獲得について感想を求められた松山は「そこは全然思うことはないです」と、つれない返答。「Y.E.ヤンさん(韓国)が、メジャー(2009年全米プロゴルフ選手権)を勝っているので。(WGCでアジア勢が過去に)誰か勝ったと思っていたので、逆にいま、それを聞いてビックリ」と淡々と続けた。

それでも世間は、日本の24歳を希望の星と見る。「中国のゴルフ界をどう思うか?今後どうすべきか?」と矢継ぎ早に質問が飛んだ。

「中国の選手として、梁津萬(リャン・ウェンチョン)さん、(2013年マスターズでローアマチュアを獲得した)グァン・ティンランの名前が頭に挙がります。グァン選手はマスターズに出られるくらいの力がある。リャンさんは日本ツアーでも活躍している。(中国のプロに)ポテンシャルはあるはず」「いまより多くの(アジアの)人がプレーすれば、もっともっとメジャーで上位に行けると思っています」「ここで僕が勝てたことで、日本だけでなくアジアのみんなの刺激になったらうれしい。オリンピックもそうだが、メジャーで頑張りたい」

日本が生んだ逸材の言葉にヒントはないか。クラブやスイングだけではない。その発言すべてが、いまや海外のゴルフファンのニュースになる。2011年の「アジアアマチュア選手権」優勝から「マスターズ」でのローアマチュア獲得。日本ツアーでステップし、米ツアーでも飛躍を遂げ、アジアの人々は彼を“僕らのエース”と見る。

そんな期待を背負い、松山には自覚が芽生え始めている。「うまく言葉で表せないけれど…(アジアのゴルフを)自分の結果で、引っ張っているようにとらえられたらうれしい。そのためには、自分のプレーをしっかりやらなくちゃいけない。まずは自分のプレーを最優先させたいです」と頼もしい。憧れのメジャータイトルへ。同じ夢を見る人は、海の向こうでもきっと増え続けている。(中国・上海/桂川洋一)

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桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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