水風呂は6℃と10℃…全英の疲れはサウナで癒す 日本選手が驚くメジャー会場の裏側
◇メジャー最終戦◇全英オープン 2日目(17日)◇ロイヤルバークデールGC(イングランド)◇7223yd(パー70)
打席の脇の大型ディスプレイに色鮮やかな放物線が描かれる。今まさに、選手が放ったショットの解析データを表示するシステムが、メジャー会場のドライビングレンジに定着して久しい。ギャラリーサービス向けに、練習場の様子さえコンテンツ化された現代のプロゴルフ大会は、出場プロにとっても刺激的だ。
日本ツアーを主戦場としているのであればなおのこと。20位に入った2023年の「全米オープン」以来のメジャーに挑んだ永野竜太郎は、試合前から雰囲気を存分に堪能していた。「この練習場にいるだけで楽しい。やっぱり『うまいやつがたくさんいるなあ』と感じる。(打球の)音が違う」と感嘆。「外国人だから…でなくて、(松山)英樹にしたって、久常(涼)にしたって、こっち(海外)でやっている選手の音は違うんですよ」。ボールをコンタクトする技術の差が響きとなって表れる。
8人の日本勢で最年長、38歳が胸に刻んだのは屋外で目にしたものだけではない。トップ選手の「普段は見られない、バックヤードでの準備の仕方を見られるのが、刺激というか勉強になる」とうなずいた。
全英オープンは毎年開催コースが変わるにもかかわらず、場内にはジムの仮設テントが造られる。今週、永野が足を踏み入れたときにはロリー・マキロイ(北アイルランド)、ジョーダン・スピース、ザンダー・シャウフェレ…といった具合にメジャー王者もズラリ。「ブルックス・ケプカは扱っている器具の重さが違う。何気ない動きのエクササイズのはずですけど、何気なく持っているものの重さがスゴイ。試合の週に(体に)入れる刺激であれなんだから、トレーニングウィークはどんな重さでやっているのか…」と苦笑した。
施設内には筋肉をほぐすマッサージガンや、コンプレッサーなどのリカバリーマシンがいくつも並ぶ。選手の体づくりをサポートする施設はこれだけではない。DPワールドツアー(欧州ツアー)の各国をめぐるトレーニング用、ケア用の2台の大型車両がコース内で鎮座。さらにクラブハウス内にはサウナが用意されていて、水風呂も6℃と10℃の水温違いの浴槽が1つずつ。回復に有効な使用法の案内まであった。
「練習施設だけじゃない。選手のパフォーマンスをいかに引き出せるかを大会が真剣に考えてくれている」と、プロスポーツの根幹を支える舞台裏を垣間見られるのが世界最高峰の舞台でもある。「そういったところも日本ツアーに伝われば…」。ところで、コース内に設けられたジムのテントやサウナ施設は欧州ツアーのビッグトーナメントでは日常的でもある。毎日の“当たり前”の違いが生む差は、大きい。(イングランド・サウスポート/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。X(旧Twitter): @yktrgw