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アン・シネはなぜ「来年も再来年も日本で」と語ったのか?

女子ゴルフの2017年シーズンをビジュアル面(?)で沸かせたアン・シネ(韓国)は今月3日、東京都内で開かれたイベントに参加し「来年も再来年も日本に来ないことは絶対にありません」と強調した。来季の最終予選会は71位に終わり、レギュラーツアーの出場は主催者推薦にほぼ限られる。それにもかかわらず、出場権のある母国ツアーに腰を据えず、日本ツアーで戦うことにメリットはあるのか?

第一の理由は賞金と試合数だろう。韓国ツアーは今季30試合が組まれ、賞金総額は約22億円。38試合行われた日本ツアーの賞金総額は37億1500万円で、約1.5倍だ。移動距離は短く、世界的に見ても繁栄しているツアーの一つと言える。

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さらに世間の注目度も理由に挙げられる。世界ランキングトップ20のうち、半数の10人を占めるなど韓国のトッププロたちは米国ツアーで活躍するが、米国では女子ゴルフの人気はさほど高くない。翻って日本では、女子ツアーは男子ツアーよりもメディアへの露出が多い。

かつては日本人選手を中心に報道してきたメディアだが、昨今は韓国選手が話題の中心に上がることも多い。人気の火付け役は2015年、16年と2年連続賞金女王に輝いたイ・ボミだ。「強くてかわいい」キャラクターはゴルフファンのみならず、お茶の間にも浸透した。

今季は1勝だけと不調に終わったが、シーズン中盤まですべての大会で開幕前の囲み取材が続いた。キム・ハヌルは日本で写真集を出版し、水着姿を披露。14試合に出場したアン・シネは、着用するウェアについて連日コメントを求められた。

ルーキーで世界ランク1位まで上り詰めた24歳のパク・ソンヒョンら若手が台頭するなど、米ツアーでは韓国人選手の新陳代謝が激しいが、日本ではイ・ボミらの存在を脅かす選手がそれほど誕生していない現実もある。

差別に悩んだ過去とインターネットの影響

2000年から日本を主戦場にする李知姫は、韓国選手の人気の上昇を感じ取り「昔からの流れがあってのもの。イ・ボミが出てきて人気が高くなった。でも私が参戦したときから日本の方々は親切だった」と明かす。一方で「私よりも上の世代の選手は苦労したと聞く。先輩たちのお陰だと思う」という。

1985年に来日して1勝を挙げた金愛淑(キム・エイスク)さんは「嫌なことを言われたことはあった。地方に行くほどそういう空気を感じていた」と苦笑いで思い返す。現在は韓国選手のマネジメントをし、韓国から来日する選手のサポートをする。「みんな自分の国の選手に活躍してほしいと思うものだから当然。今の人気は当時を考えると信じられない」と続けた。

金さんらが韓国勢に注目の集まる要因の一つに挙げたのは「インターネット」だ。金さんは「インターネットでの情報が充実してきたことによって、例えばテレビを見た視聴者がすぐに検索できるようになった。『かわいい』『興味ある』と思う選手の情報を即座に知れるようになり、国籍よりも選手の個性が本当に重要になった」と指摘した。

韓国選手のマネジメントを担う別の関係者は「インターネットの写真や記事はストックされる。例えばイ・ボミが優勝したタイミングで検索すると、イ・ボミの写真は無数に出てくる。これは海外の選手にとって、すごく露出を増やせた要因」と強調した。

韓流ドラマのブームやK-POPの人気も一役買ったという。今季参戦した25歳のイ・ミニョンは同年代の日本人選手と良好な関係を作った。イのマネジャーは「ゴルフ以外で共通の話題があることはかなり大きいと思う」と推測し、今季の好成績と関係があると分析した。

いまやイ・ボミは現実としてツアーの顔となり、アン・シネは今年の女子ゴルフの話題の少なくない部分を占めた。2人は「わたしを応援してくれるのが不思議だけど、日本に愛着がある」と口をそろえる。日韓両国は現在、政治的に良好な関係とは言えないが、女子ゴルフ界では韓国選手の活躍は今後も続くだろう。韓国人選手のマネジメント関係者は「日本に来たいと考えている若手は多数いる」と語った。(編集部・林洋平)

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