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松山英樹ら輩出 名門ゴルフ部の異色のキャプテン

星野英正谷原秀人宮里優作岩田寛池田勇太藤本佳則…そして松山英樹。いまや日本男子ゴルフ界の一大勢力となっている東北福祉大ゴルフ部の卒業生たち。中には異色のプレーヤーがいる。埼玉県の太平洋クラブ江南コースで開催中の「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」で最終日を前に4位につけるK.T.ゴン(韓国)がその人だ。

本名は権奇澤(ゴン・キテク)。韓国・釜山出身でジュニア時代にはキム・キョンテらとナショナルチームの一員として活躍したが、彼らと違うのが高校卒業後の経歴。プロ転向でも、韓国の名門大学進学でもなく、日本の大学を自ら進路に選んだ。

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「日本のツアーに出たかったんです。だったら、早くから日本に行くべきだって。周りにはそういう選手はいませんでしたけど」。他の強豪大学と同様、東北福祉大も有望な高校生のスカウト活動が盛んだが、大学ゴルフの規定により、海外からの特待生は競技に出られないため、基本的に海外選手をその対象とはしていない。自ら門をたたいたゴンは、日本語はさっぱり分からなかったが学部生として入学し、海を渡ってきた。

入学後も、日本人学生と同じように寮生活を送り、手元にはいつも辞書があったという。「でも、友達、先輩と話しながら日本語は覚えた。それが一番勉強になります」

「最初はまったく分からなかったのが、2年生の終わりころにはほとんど問題なく日本語を話せるようになった」と振り返るのは同大ゴルフ部の阿部靖彦監督だ。最終学年を前に、監督はゴンをキャプテンに指名した。

「1、2、3年生の実績、本人の努力を考えた結果でした。もちろん、(外国人ということを考えれば)簡単なことではない。だから副キャプテンを中心に、周りがサポートするという約束をした」

驚いたのは本人の方だった。「できるのかなあ…と思いましたね。最初は『できないですよ』って言ったんですよ。やりたい気持ちはあったんです。だって、福祉大は日本一のチーム。そのキャプテンですから」。大役を引き受け、周囲の期待に見事にこたえ、学生タイトルの最高峰「日本学生」を2004年に制した。

卒業してプロ転向した後、ゴンは母国で2年間の兵役も経験した。夢の第一歩だった日本ツアーでは足踏みし、2013年に下部ツアーのチャレンジトーナメントの賞金王になって昨年からレギュラーツアーにフル参戦。高校卒業時に描いたプラン実現には13年かかった。

現在32歳のゴンにとって、かけがえのない財産はあの頃、同じ釜の飯を食った仲間たち。今年のオフには1カ月間、これまた同大のキャプテンだった藤島豊和とともに、カリフォルニア州サンディエゴで自主トレをともにした。「今週のキャディも同級生なんですよ。古賀雄二くん」。いまや日本一となった有名ゴルフ部の卒業生たちの系譜。異色のキャプテンも、それを踏むひとりだ。(埼玉県熊谷市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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2015年 日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯

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