丸山大輔が混戦をリード! 大堀裕次郎は23位まで後退
2014年 東建ホームメイトカップ
期間:04/17〜04/20 場所:東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)
トップアマから49歳でプロ転向 田村尚之の歩く道
10代、20代前半の金の卵が次々とプロデビューする昨今のスポーツ界。その輪の中で、齢50を前にしてプロの世界に飛び込む選手もいるから、ゴルフは、人間は面白い。
田村尚之は、かねてから広く名の知れたゴルファー。それもプロではなく、長きにわたって社会人最強アマとして一世を風靡していた49歳だ。倉本昌弘に「50でアマからプロに転向して、シニアに入る第1号の選手になれ!」と背中を押されたこともあり、一念発起したのは昨年。8月末に日本プロゴルフ協会(PGA)のプロテストを通過し、2007年「日本アマ」準優勝、2002年からの「日本ミッドアマ」2連覇など輝かしいタイトルを重ねてきたアマチュアのキャリアに別れを告げた。
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今年6月24日に迎える50歳の誕生日以降、シニアツアーへの参戦が可能になる田村だが、今週の「東建ホームメイトカップ」には主催者推薦で出場。これがプロとしてのツアーデビュー戦だった。
開幕前日の16日(水)まで3日間、沖縄でシニアツアーの出場権を争う最終予選会を戦い、ぶっつけ本番で臨んだこの試合は、通算8オーバーで予選落ちに終わった。痛めている右手首にはテーピングが施され「疲れたかな…。試合が続いて体もびっくりしている。パットが合わなかった」と悔しさをにじませたが、白髪交じりの表情にはエネルギッシュな活力にあふれていた。
中年に差し掛かってからは一層、サラリーマンゴルファーとして境遇を同じにするアマからも声援を受けてきた。いつしか芽生えてきたのは、3歳でクラブを握って以来、自らを育ててくれたゴルフに恩返しをしたい気持ち。「(PR活動など)アマチュアではできないこともたくさんあった」というのも、プロになった要因だった。今では在籍する会社の取引先がスポンサーとなり、心強いサポーターが増え続けている。
アマ時代の実績そのままに、シニアツアーで活躍できるかは不透明とはいえ、この異色のキャリアが有利に働く可能性も自らが感じるところだ。優勝したら1000万円、2位なら500万円という全身が震えそうなパットを今後、打つこともあるだろう。「僕は今までそのパットを入れても、手に入るのはゼロ円だった。『入らなくても、500万円貰えるのか』って思えたら、そのパットも(強気に)打てるかもしれない」
ゴルファーとしてのゴールはいまも模索中だ。プロとしての実績なのか、それとも生き様をただ披露することなのか。「でも、松山(英樹)くんのプレーは見るにはいいけれど、普通はマネは出来ない。基本的には“別世界のサーカス”みたいなものでしょう?僕は体型も平均的。年齢も近い方が参考にしていただけるようなことがあれば、またそれは嬉しい」
広島の自宅に帰れば、この春高校3年生になった娘の塾への送り迎えもしなければならない。今週もゴルフシューズをコースに送り忘れて、夫人に電話で叱られたばかりだ。「ゴルフ場で風は回るけれど、家ではいつもアゲンスト」。プロになっても、心境に大差はないし、変わらない風向きもある。
ただ、ゴルフに出会えてよかった。そう噛みしめる昨今だ。「50歳近くまで現役でやるだけでなく、50になって新しい世界へ入れるのがゴルフ。僕は50になる時に、次のステップがあったから幸せです」。
翌週月曜日には「つるやオープン」のマンデー予選会に出場する。
「僕は走ってきたわけじゃない。ずっと歩いてきた。でも、立ち止まりはしなかった。これからも、ゆっくりでいいから歩いていきたい」。勇んで次の一歩を踏み出すのは、AONも、中部銀次郎も歩んでこなかった、ひとつの足跡も無い道だ。(三重県桑名市/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw
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