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2023年 アジアパシフィック女子アマチュアゴルフ選手権
期間:03/09〜03/12 場所:シンガポールアイランドCC(シンガポール)

涙をこらえて埋めたディボット 寺岡沙弥香が悩む優しさと弱さの境界線

◇アジアパシフィック女子アマチュアゴルフ選手権 最終日(12日)シンガポールアイランドカントリークラブ(シンガポール)◇6343yd(パー72)

「何年ゴルフ、やってんの…」と、涙をこらえながらディボットを埋める姿が印象に残った。3日目の3番ホール、寺岡沙弥香は同伴競技者の邪魔にならないようボールを拾い上げたがマークするのを忘れて1ペナルティを受けてしまった。「頭が空っぽ」と自分への怒りで頭は真っ白。それでも、手は無意識にポテトチップスの入れ物に伸びていた。

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コンビニで買ったポテトチップスの缶には、目土が詰めてある。「今週は持ち歩ける目土袋がなくて。そのままにするのはイヤだから」と自前の目土袋を用意した。日本のジュニアの試合では、各選手が目土袋を持ってプレーすることが多い。今週は選手用の目土袋が用意されていないため、その場でターフを埋めるか、無理な場合は大会スタッフがプレー後に行うメンテナンスに任せていた。

「私はすごくターフとっちゃうので、後ろの人に申し訳ない」と、ちょうどいいサイズの入れ物を探してコンビニへ。ポテトチップスを見た瞬間「これだ!」とひらめいた。ほかの選手が打ってそのまま歩き出す中、一人だけディボットを埋めてから次の打点へ走る毎ホール。3番でミスをした後も、涙をこらえてバッグに戻り、ディボットを埋めてからグリーンに走った。

マナーを守り続けた4日間。「人が嫌な気持ちになるくらいなら、自分が」。そう思ってしまう性格を、ちょっとだけ複雑に感じた1週間でもあった。

もともと周囲をよく気に掛ける性格で、パッティングで「ピンを抜く?そのままにしておく?」と聞かれて英語で上手に答えられず、ちょっと凹んだ。同組選手がスロープレーで注意されると、自分が申し訳なくなって走ってしまう。「もうちょっと急ごう!」と伝えたくても、「失礼な言い方になっていないかどうか、英語だとニュアンスが分からない」と、言い出すまで1ホール分悩んでしまった。

「こういう所で自分のペースを作れないと、強い選手にはなれないなって。もっと自分を強く持たないと」と、周囲に乱されない海外選手は新鮮に映った。気配りはときに、勝負事においては弱点になる。初海外でそんな厳しさも少しわかった。

慣れない海外で苦戦しながら、通算2アンダー10位で目標のトップ10はクリアした。8日に更新された世界ランクは8位に上がり、同ランク10位までに与えられるJLPGA最終プロテストの受験資格にも届きそうだ。

「今年で4回目のプロテスト。気持ちの面でもひと皮むけて、もっと強くなりたい」と心に決めた1週間。律儀にお辞儀をして去る寺岡のバッグに、オレンジ色のポテトチップス缶がチラリと覗いた。(シンガポール・サイムロード/谷口愛純)

谷口愛純(たにぐちあずみ) プロフィール

1992年生まれ。社会部記者、雑誌の営業その他諸々を経てGDOに入社。ゴルフは下手すぎて2017年に諦める。趣味は御朱印集めと髪色を変えること、頭皮を想って最近は控えてます。

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2023年 アジアパシフィック女子アマチュアゴルフ選手権

  • 2023/03/09~2023/03/12
  • シンガポールアイランドCC(シンガポール)


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