金谷拓実が松山以来の7年ぶりV 「マスターズ」出場権
グッドルーザー中島啓太 「一番悔しい」から祝福の輪へ
◇アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 最終日(7日)◇セントーサGCニュータンジョンC(シンガポール)◇6847yd(パー70)
サンデーバックナインまでリーダーボードの最上位にいた中島啓太(代々木高3年)は、結果を複雑な思いで受け入れていた。一組後ろの最終組で回る金谷拓実(東北福祉大2年)が、終盤の連続バーディで追い上げてきていることは手に取るようにわかっていた。中島は、16番(パー5)で3mのチャンスをミスパットで決められず、17番(パー3)はショートパットを外して3パットのボギーとした。
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結果は2打差の2位だった。「チャンスがあったので、今までで一番悔しかったですね」というのが率直な気持ち。「ホールアウトしてアテストが終わるくらいまでは、すごいショックでイライラしていた。でも、僕がアジア大会で優勝したときも出迎えてくれたので、“その逆で…”という気持ちでした」と、金谷を祝福するために18番グリーン脇でその瞬間を待った。
中島が悔やんでいたのは、じつは勝てなかったことではない。今年3月に大学進学を決意したときから、目先の結果にこだわらず、先を見据えてやっていこうと決めていた。金メダルを獲った8月の「アジア大会」はチーム戦だったこともあり、「5Wで曲がらない様にターフを取って低く打ったりしていた。そのおかげでスイングを壊してしまった」という反省もあった。
だが、この最終日にも「途中から(結果が)気になって、ティショットのことを考えることも忘れていた。スイングも最後の方は良くなかったし、ただボールをまっすぐ行かせることだけに集中してしまった」という。もし、その状態で勝ったとしても、「間違いなく後悔していると思う」と言い切った。
17番のボギーをひきずったまま、最終18番ではガードバンカーから4m残したパーパットをカップに沈めた。「うまく集中できていなかった。なんとなく入った」というパットだったが、これで2位タイをキープして、来年の「全英オープン」のオープンクオリファイシリーズ(予選会)出場権を手に入れた。中島にとって全英は「一番の夢」という大会だ。
去年、中島はナショナルチームの派遣試合で金谷と約3カ月を同部屋で過ごしている。「これは僕が勝手に思っているだけですけど、最近は“追いついてきた”くらいの気持ちでいたら、この大会で一気に離された気がします。一気に遠い存在になってしまったかなと」。身近だった先輩は、来年「マスターズ」と「全英オープン」に出場する。このまま置いていかれるわけにはいかない。(シンガポール・セントーサ/今岡涼太)