2011年 全米プロゴルフ選手権
期間:08/11〜08/14 場所:アトランタ アスレチッククラブ(ジョージア州)
遼、6度の池ポチャでプロ転向後最悪の「85」最下位スタート
今季の海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」が11日(木)、米ジョージア州のアトランタ アスレチッククラブで開幕。3年連続の出場となった石川遼は、2ボギー、5ダブルボギー、1トリプルボギーの「85」と大崩れ。15オーバーで最下位の155位タイと大きく出遅れた。
前週の「WGCブリヂストンインビテーショナル」で優勝争いをした姿は見る影もない。ホールを追うごとにスコアを落としていく大乱調の石川に周囲は言葉を失っていった。10番からスタートすると、2ホール目の11番でフェアウェイからの第2打をグリーン右手前の池に打ち込みダブルボギーが先行。「置きにいくスイングになって、流れが変わってしまった。ピン左2メートルを狙ったが、緩んでしまった」。その後3ホールはチャンスを生かせずパーを並べたが、続く15番からが本当の悪夢の始まりだった。
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打ち下ろしの260ヤードのパー3。久々にバッグに入れた5番ウッドで放ったティショットはグリーン手前の池へ。打ち直しの第3打もバックスピンで花道まで戻ってしまい結局4オン2パットのトリプルボギー。続く16番はティショットをフェアウェウェイ左のバンカーに入れてボギー。17番での第1打はグリーン手前の池、18番ではティショットと、打ち直しの第3打も池に落とし、2連続ダブルボギーとした。わずか4ホールで8つスコアを落とし上位から取り残された。
「45」の前半ハーフで5度池につかまった石川は、後半4番(パー3)でもグリーン手前の池にティショットを落とし、またしてもダブルボギー。その後はなんとかパーでしのいだが、スコア「85」は、海外メジャーはおろか2008年のプロ転向から国内、海外ツアーを通じて自己ワースト。バーディを一つも奪えず「コースが難しいという以前に自分の思った通りのスイングができなかった」。前週はショートゲームが冴え、好リカバリーを連発したが、池が多く絡むホールではひとつのミスショットが致命傷になった。
優勝争いを演じた翌週に予選通過が絶望的な状況に陥った。3週間前から取り組み始めたスイング改造はまだ始まったばかりで、日々の状態やスコアが上下することは今週も覚悟していた。だが「2週続けて良い状態を保つのがどれだけ難しいか・・・」と、つぶやく。仲田健トレーナーによれば「一般的にオーバーワークの兆候として血圧や体温や脈拍、食欲や睡眠時間に変化が表れることがあるが、測定できる範囲では(この日の石川に)問題は無い。筋肉の張りも少なかった」と、目に見える体力の減退は無いという。
石川本人も疲労感は口にしない。ただその一方で同トレーナーは「無自覚の精神的な疲労感がどっと来ているはず」と言う。「試合で始めてフルマラソンを走った人が、自分の体力がなかなか回復しないことに驚くことがある」と例を挙げ、初めて体験した激闘が、自覚症状のない疲労を生んだ可能性があると分析した。
しかし前週、最終日最終組対決で敗れた相手アダム・スコット(オーストラリア)はこの日同組で、1アンダーの13位タイ。石川がその差を痛感したのは言うまでもない。「練習も技術も足りない。悔しいですけど、こういう舞台に立たないと経験できないこと。しっかり明日も最後まであきらめず、4バーディ以上を目指していきたい」。10代最後のメジャーで、なんとか意地を見せたい。(米ジョージア州ジョンズクリーク/桂川洋一)