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伊澤利光を変えた 後輩プロの金言

福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開催中の国内男子ツアー「第40回VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」2日目。伊澤利光が2日目を終えて通算6アンダーとし、20位タイで今季2度目の決勝ラウンド進出を果たした。

ツアー通算16勝のうち2勝を挙げている同大会(2000年は久光製薬KBCオーガスタ、05年はアンダーアーマーKBCオーガスタ)。相性の良いコースのひとつといえる地で、ベテランが予選ラウンド2日間連続で「69」と安定したプレーで終えた。「こんなこともありますね。良いパターも入ってくれたかな」。2012年、ここまでの決勝ラウンドは4月の「つるやオープン」での1度だけ(63位で終了)。長かった“連敗”に、ひとまず区切りをつけた。

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復調につながりそうな、きっかけのひとつ。それはここ1か月、練習ラウンドをともにしている兼本貴司からのアドバイスだった。2歳年下の後輩は前週、「言いづらいんですけど…」と偉大な先輩プロに勇気を振り絞って進言した。「カットに、フェードを打ちすぎているように見えます。ドローを打ってみたらどうですか?」

この一言が「もう生涯、トラブルショットでしかドローは打たないと思っていたけど」と、伊澤のスタイルを一変させた。「良いヒントをくれた。こうやって結果に出るとね。今年で一番良かったんじゃないかと思う。このままやっていこうかな」。愛する家族が見守る前での久々の好プレーに、笑顔が絶えなかった。

一方、金言を投げかけたその後輩。もちろん「良かった、良かった!」と伊澤のプレーを喜んだ。元々、「フェードを打つなら、フェードのプロフェッショナルに聞こうと思って」とアドバイスを請うて同伴ラウンドをお願いしたのは兼本のほうだった。それもあって「前から思ってはいたんだけど、僕からはなかなか言えなくて…。先輩だし、何勝もしている選手だからね」と何度かは躊躇した。「ポテンシャルが高すぎる選手は、自分のことが分からなくなるのかもしれない。でもね、あの人のスイングは分かりやすいんだ。すごく綺麗だから、ちょっとでも“ライン”から外れると、“あれ?”と思うんだよね」。かつて“世界一美しい”と形容されたスイングに対し、メスを入れるような発言にも抵抗はあったはず。しかし、その勇気は、さっそく成果を生んだ。

ところで、兼本もこの2日間で伊澤と同じ通算6アンダーをマークし、20位タイで決勝ラウンドに進んだ。しかしどこか、自分のこと以上に先輩プロの活躍が嬉しそうだったのも、うなずける話だ。(福岡県糸島市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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2012年 VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント



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