2012年 全英オープン特集
2012年 全英オープン
期間:07/19〜07/22 場所:ロイヤルリザム(イングランド)
メジャー無冠、ルーク・ドナルドの憂鬱
141回目を迎えた今年の「全英オープン」は、イングランドにあるロイヤルリザム&セントアンズで開催される。過去の歴史をひもとくと、イングランドでイングランド人がジ・オープンを制したのは、1969年のここリザムでのトニー・ジャクリンの優勝までさかのぼらないといけない。
既にその偉業から43年が経過しているが、世界ランク1位のルーク・ドナルドと同3位のリー・ウェストウッドというメジャー無冠の二人には、いつも以上の期待と責任が伴っていると言えるだろう。
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ルークは、今年の「ザ・メモリアルトーナメント」時、同郷でメジャー6勝、うち全英オープン3勝のニック・ファルドに教えを請いたという。「彼は準備に細心の注意を払うことが大事だと言っていた。そして、もし1通りしか万全のショットがなかったとしたら、常にそれを使うべきだと話していた」。
先のトニー・ジャクリンは、メジャーで勝つための条件として初日に好スタート(トップ10以内)を切ることが大切だと指摘する。「初日に勝つことはできないけど、負けることはできる。初日に良いスコアを出すことで、精神的に次につなげることができるし、こういう大会では、大たたきした初日を巻き返すことは本当に難しい」。さらに言えば、このコースはスタートホールがパー3。タイガー・ウッズも「最初から正確な番手で打たなくてはならないのは、明らかに普通の準備とは異なる」とその難しさに警戒を示している。
そしてコースに出れば、205個のバンカーが待ち受ける中を、華麗に切り抜けていかなければならない。トニーは言う。「ドライバーの正確性が重要。リー(ウェストウッド)のショットメイキングは素晴らしいが、ルーク(ドナルド)は、彼のスタッツを見れば分かるが、決してドライバーが一番真っすぐ飛ぶクラブではない」と手厳しい。「ルークのゴルフは少し普通とは違っていて、メカニカルな要素が強い。彼のゴルフがジ・オープンに向いているかというと疑わしい。彼は私の考えるリンクス向きの“自由なプレーヤー”というのとは違うね」とダメを押した。
彼の言葉は、深読みすればルークのプレッシャーを緩和する目的なのかもしれない。とはいえこういった喧騒は、彼がメジャータイトルを手中に収めるまで続くのだろう。(英国リザムセントアンズ/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka