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2021年 全英オープン
期間:07/15〜07/18 場所:ロイヤルセントジョージズGC(イングランド)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

コリン・モリカワが“神パット”を連発できたワケ

「全英オープン」最終日、コリン・モリカワのプレーは神がかり的でした。昨年「全米プロ」に続いて初出場での優勝。大会デビュー戦で2つのメジャータイトルを獲得したのは史上初の快挙です。

前週「スコットランドオープン」では71位と苦戦していましたが、リンクスを経験し、時差ボケ調整も済ませてメジャーへ乗り込んだ意味は大きかったと思います。

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優勝を争ったジョーダン・スピースがコメントしていたように、大観衆の中で勝ち切ったことですさまじい総合力を見せつけられた思いです。全米プロは無観客の中で逆転V。今回は大観衆の中で首位のルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)を捉え、サンデーバックナインでスピースらの追い上げを振り切りました。

全米プロとは別物のプレッシャーを感じていたはずし、スピースからすれば、そこに付け入るスキがあると読んでいたのではないでしょうか。実際にスピースも優勝に値する素晴らしいプレーをしました。モリカワの方が2度ロングパットが入ったがゆえの2打差。10番と14番は、まさに勝利を手繰り寄せるクラッチパットでした。

傍から見ていて「あれだけ入れば、誰も勝てないよな」と思ってしまうレベルだったモリカワのパッティング。前の組でプレーしていたスピース以上に、同じ最終組で見せつけられたウーストハイゼンに与える重圧は大きかったでしょう。

もともとマネジメントに長けたショットメーカー。シーズンのスタッツでスコアへの貢献度を示す「ストロークゲインド」を並べると、ショット力を示す「ティトゥグリーン」が全体1位に対し、「パッティング」は170位とウィークポイントになっていました。

僕の経験上、ショットメーカーと呼ばれる選手は物事をロジカルに考えるのが得意なタイプが多いようです。ゴルフはイマジネーションが非常に重要なスポーツ。プロゴルファー、それも世界を舞台に戦う選手となれば、1球1球のイメージ、それを実践する能力は並外れています。そこに技術的な裏付けを求め、理詰めで練習を繰り返して感覚と自信をつかんでいくのです。

パッティングは入らないと、打ち方への意識が強くなってしまうもの。自らのゴルフをロジカルに組み立てていくモリカワは、その典型かもしれません。ジャック・ニクラスベルンハルト・ランガー(ドイツ)といった往年の名プレーヤー、アダム・スコット(オーストラリア)もそうでした。

タイガー・ウッズや引退した宮里藍さんは特にイメージを大事にする選手。片山晋呉選手は「マシーン」と称されるほどの理論派で、谷口徹選手はイメージ重視。それぞれ個性があって、とても興味深いのですが、その話はまた別の機会にしましょう(笑)

このロイヤルセントジョージズGCは、全英開催コースの中でもフェアウェイ、グリーンともに起伏(アンジュレーション)に特徴のある舞台。グリーンの大きな起伏は「マスターズ」を思わせます。ダブルブレイクやトリプルブレイクといった複雑なラインは当たり前。左右に振られたシビアなピンポジションも相まって、カップをいくつも外して打つようなラインばかりでした。

普段のツアートーナメント以上にパッティングのイメージ力が求められるグリーン。だからこそ、今週のモリカワは打ち方を気にする以上にボールの転がりやスピード、曲がり幅といった部分に集中できている印象がありました。ツアートップクラスのショット力を持ちつつ、今大会のようにパッティングが研ぎ澄まされれば“鬼に金棒”。まだ24歳。これからどんなキャリアを築いていくのか、楽しみで仕方ありません。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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