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2020年 ザ・ノーザントラスト
期間:08/20〜08/23 場所:TPCボストン(マサチューセッツ州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

16億円争奪サバイバルがスタート デシャンボーならバンカーは関係なし?

TPCボストン 18番パー5(530yd)

PGAツアーのシーズンを締めくくるプレーオフが始まります。1500万ドル(約16億円)という夢の超ビッグボーナスをかけたシリーズは昨季から全3試合に変更され、1年ごとにニューヨークエリアと入れ替えることになった初戦「ザ・ノーザントラスト」の舞台も今季はTPCボストンの番。4試合制だったときは第2戦を開催していました。

ボストンから南へ60㎞ほどの場所にあり、この時期は空気もカラッとしていて過ごしやすい気候です。ショットメーカー向きのコースは、フェアウェイキープ、そして何よりアイアンの精度がキーとなります。グリーン自体は小さくないですが、硬い上にアンジュレーションがあるので、落としどころに神経を使います。外してはいけないエリアを避ける必要もあるため、グリーンを狙うショットでの縦の距離感、ライン出しが重要になるのです。

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チェックするのは18番(パー5)。フェアウェイは広めで気持ちよく振れそうな一方、ボールがよく転がるのでバンカーまで突き抜けてしまうことも。左からフォローの風が吹きやすい時期とはいえ、このバンカーを越えるにはキャリーで322yd飛ばす必要があります。

僕もいまだかつて見たことはありませんが、今季平均飛距離323.9ydでツアー1位のブライソン・デシャンボーなら“無視”して攻めていけるかもしれません。当地で2018年「デルテクノロジーズ選手権」を勝ったデシャンボーが肉体改造を経て、どのようにコースをねじ伏せていくのかは楽しみなポイントです。

基本的に2オン可能なパー5でイーグルも期待できるのですが、ボギーやダブルボギーも出てしまうホール。その理由はセカンドショットの難しさにあります。グリーン右のバンカーに外すのは「あり」。ただ、グリーン手前だけでなくバンカーのすぐ右にもペナルティエリアが広がっています。

グリーンの左サイドに外しても、そこからの寄せがひと苦労です。グリーンに上っていく段にワンクッションさせてのアプローチが理想形。急傾斜になっているので弱かったり、バウンドさせる位置が低ければ戻され、強すぎればバンカーまで転がってしまいます。逆目でボールの勢いが食われやすい中で勇気を持って傾斜にぶつけ、少しフックスピンをかけるイメージで打たなければ、なかなかピンには寄りません。まさに技の見せどころです。

パターで転がして傾斜を上り切れず、同じ場所にボールが戻ってきてボギー、というのもよくある光景です。一見すると簡単に2オンできそうですが、グリーンを外した際に致命傷を避けるリスクマネジメントが求められます。世界最高峰のツアーの中でも、エリートたちが集う一戦のフィニッシングホール。やはり一筋縄ではいきません。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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