上海での世界選手権 日本勢は松山英樹、石川遼ら5人が出場
2019年 WGC HSBCチャンピオンズ
期間:10/31〜11/03 場所:シェシャンインターナショナルGC(中国)
【進藤キャディ解説】PGAツアー“最短パー4” 288ydのワナをかいくぐれ
シェシャンインターナショナルGC 16番パー4(288yd)
日本初開催となった米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」が終わりました。これ以上ないほどの盛り上がりでしたね! タイガー・ウッズがひざの手術からの復帰初戦でツアー記録に並ぶ82勝目を達成。そして、松山英樹選手も本当に惜しかった。ホームゲームの重圧を背負いながら、あと一歩というところまでタイガーを追い詰めました。敗れはしましたが、つかんだ経験も多かったのではないでしょうか。大雨というアクシデントもありながら、日曜日は2万2000人以上のギャラリーが入り、まさに日本のゴルフの歴史が変わったのではないかと思います。本当に選手、関係者のみなさまに感謝します。
間髪入れずにビッグイベントがはじまります。米ツアーにとっては韓国、日本と続いたアジアシリーズの最終戦の舞台は中国。上海郊外にあるシェシャンインターナショナルGCで「WGC HSBCチャンピオンズ」が行われます。2016年に松山選手が優勝した大会です。
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終盤に逆転劇も多い大会です。上位争いカギになるのは16番。288ydはPGAツアーでもっとも短いパー4、オリジナルの距離で300ydを切っているのはパー3を除けばここだけです。しかもグリーンエッジまでの最短距離は、打ち下ろしを引いて265ydほど。数字だけ考えれば、ロングアイアンで狙う選手もいるでしょう。
しかし、実際にティショットで毎日グリーンを狙う選手は全体の2割程度のように感じます。なぜなら、グリーン手前と右サイドはずっと池。ターゲットを左サイドにとり、フェードがかかりすぎても“一発アウト”になります。左サイドにはアゴの高いポットバンカーが口を開けています。ライが平らでスピンを入れにくく、球を上げるのが難しい。さらにピンまでは下り傾斜が入るためシビアな状況になります。さらに、グリーンの左の花道は左足下がりになり、狙い通りに止めるのは至難の業。バンカー越えとなると、もちろん難度はいっそう上がります。
第1打のレイアップも注意したいところです。200から210yd地点のフェアウェイに打ちたいのですが、“傾斜が受けていない”ため強い球を打ってしまうとラフまで突き抜けてしまう可能性があります。左サイドのラフは深く、幅も広い。右のバンカーと池を嫌うあまり、捕まえすぎるとすぐにはまってしまいます。イーグルチャンスもあり、バーディが欲しいホールですが、ボギーやダブルボギーもすぐに出てしまう見応えのあるホールです。
シェシャンインターナショナルGCは、距離は“そこそこ”ですが風が厄介です。OBや池が絡むホール、ドッグレッグのホールが多く、ティショットの正確性がまず重要。グリーン上には傾斜やコブが無数にあるため、アイアンショットは距離感も左右の精度も十分に求められます。(解説・進藤大典)
- 進藤大典(しんどう・だいすけ)
- 1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。