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国内男子中日クラウンズの最新ゴルフニュースをお届け

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

“シャイ”な40歳・岩田寛の素顔

毎週PGAツアーから話題をピックアップしているこの「PGAツアー・ヤーデージブック」のコーナーですが、今回は個人的な思い入れ全開で趣向を変えさせていただきます。

というのも、日本ツアー「中日クラウンズ」で岩田寛選手が6年ぶりに優勝。僕にとっては東北福祉大ゴルフ部の同期であり、親友でもありますから、いても立ってもいられずに岩田選手スペシャル版としてお届けすることになりました。

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大学時代からとにかく馬が合い、練習でもプライベートでも時間を共有してきました。プロゴルファーとプロキャディの立場に変わってからも、お互い迷ったときに相談に乗ってもらったり、悩みを聞いてもらったり、腹を割って話せる数少ない存在です。

すごくシャイな岩田選手。40歳になってもその言い訳は通じるのかとツッコミを入れたくなりますが(笑)、テレビインタビューなどで訥々(とつとつ)と言葉を紡ぐ様子を思い浮かべるゴルフファンの方も多いと思います。

想像はつかないかもしれませんが、仲間内で集まると軽妙なトークで周りを楽しませてくれます。僕の結婚式でも、友人代表としてスピーチをしてくれました。この場を借りて、しっかりと場を盛り上げてくれた感謝をもう一度伝えなければいけないほどです。

大舞台で並外れたパフォーマンスを発揮する姿には、いつも刺激をもらっていました。2014年「WGC HSBCチャンピオンズ」ではプレーオフ進出まであと1打に迫り、翌年「全米プロ」では当時のメジャー最少ストロークに並ぶ「63」をマーク。フィル・ミケルソンと最終日最終組で優勝を争ったこともありました。

同じPGAツアーの舞台で戦えたことはうれしい思い出ですが、苦しむ姿も見てきました。30歳を超えてからの渡米で環境に順応するのも大変だったはずです。予選落ちが続いた時期はホテルの部屋に引きこもりがちになってしまい、励ましのメッセージを送っても精神的に追い込まれているのが伝わってきました。

日本に戻ってからもショットで悩みを抱え、特にアイアンのミスがメンタルに響いていたそうです。僕にも頻繁に相談するくらい、うまくなることに必死で貪欲。まさに根っからのプロゴルファーなのです。

昨年12月の「日本シリーズJTカップ」では上がり2ホール連続でショートパットを外して逆転負け。もともと落ち込みやすく、誤解を恐れずに言えば、感情の処理が決して上手ではないタイプです。それでも、悔しさから逃げずに向き合い、ひとつの壁を超えることができたからこその6年ぶりタイトルだったと思います。

「中日クラウンズ」最終日は優勝争いの大きなプレッシャーがのしかかる中、泣かされ続けたショットがことごとくピンに絡み、得意のパッティングも冴えていました。

ゴルフに限らず、スポーツの世界では練習やトレーニングの“量”か“質”かの議論になることがあります。猛練習が有名な松山英樹選手のキャディだった僕から見ても、岩田選手はとにかく練習量がものすごい。片山晋呉選手、谷原秀人選手、宮里優作選手、女子でも上田桃子選手…僕が知る限り、長く活躍している選手は量も質も桁違いです。

いつか実を結ぶと信じて、努力し続ける。その地道な積み重ねこそが、訪れたチャンスをつかむためにもっとも大事なことなのだと同級生の生き方を見ていて実感します。

自分自身も体力や気力の変化を感じている今日この頃。正直、チャンスは少なくなっていくのでは…なんて僕の余計な心配も吹き飛ばしてくれました。20代、30代、40代とどんどん勝ち星を増やしていった藤田寛之選手のように、ここからさらなる飛躍を願ってやみません。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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