【WORLD】7000ヤードを切るメリオンの難易度
Golf World(2013年6月10日号)texted by David Barrett
メリオンの特徴は、7番から13番のようにバーディチャンスの可能性が高いホールと、難易度の高いホールのコンビネーションにある。
フェイは続ける。「これこそメリオンの摩訶不思議なところだ。何とかパーで終われば御の字というホールがあったかと思えば、プレーヤーが普段通りベストショットを心掛ければバーディが取れるというホールもある」。フェイの予想では、近年のオープンよりもバーディ数は増加するという。「恐らくは最近のオープンよりもバーディが増えるでしょう。だからこそ、よりエキサイティングな大会になると思っています」。
一方で心配されるのは悪天候である。既に水に弱い立地にあるコースだからだ。
メリオンのコース管理をしているマット・シャファーは、「グリーンが水を吸ってしまうと状態は酷くなります」とコメント。シャファーによれば、雨足が強ければ排水のスピードも速い為にまだ良いものの、もし雨足が遅ければコースに与える影響は大きくなるという。
「もし4日間穏やかな雨が続いてしまうようならば、プレーヤー達はメリオンの本当の姿を見られないでしょうね。いくつかのホールのフェアウェイは起伏があるので上手く対応することが求められます。ウェッジ、或いは9番アイアンでグリーンに乗せられ、必ずボールを止められる自信がある選手なら、きっと良いスコアを記録出来るでしょう。もし雨天なら、オークモントで開催された大会よりもロースコアが出るでしょう。メリオンは6900ヤードに拡張したばかりですからね」とデイビスは語る。
同じようなことが2005年に開催された全米アマチュアゴルフ選手権で起こった。優勝したイタリアのエドアルド・モリナリは決勝の日、ラスト15ホール中7ホールでバーディを記録。前夜雨が降ったという条件、そして世界クラスのパッティング技術も関係したが、見事なスコアを記録してみせた。
もし雨の影響でソフトなコースとなれば、メジャー大会史上初めて1ラウンド63を切る可能性もある。同記録は1973年にオークモントで開催された全米オープンで優勝したジョニー・ミラーが残したスコア。しかしデービスはこうも語る。「もし4日間を通してドライなら、メリオンは難易度の高いテストの連続になります」と。
そしてそれこそが普段のメリオンの姿で、メンバーは常に悩まされている。固く速いグリーンがイーストコースの代名詞。6月に入るとシャファーはコースに手を入れるそうで、「グリーンをタイトにしますよ。ただ、オープン時期には更にタイトにしますけどね」と説明した。
また、メリオンメンバーならご存知のヘビーラフもまた、USGAが全米オープンに向けてコースに要求した特徴だ。
「メリオンでプレーする場合、5年前、もしくは今から5年後であっても変化は見られないでしょう。それほどこのラフの難易度は高い。これがメリオンでの日常なのです」とデービス。芝の長いラフに捕まった時の難易度は、近年のオープンと比べて極端に上がると主張している。「我々が今取り組んでいることは、全米オープンを開催するコースの特色をより強く押し出すことです。メリオンではティショットの正確性が求められますからね」。
USGAはさらにメリオンの難易度を高める為、フェアウェイの幅を狭めることに。オープン開催準備を始める前の時点では26エーカーあったフェアウェイの面積を18エーカーに狭めた。この調整が何ホールかを難所にすることは確実で、特に2番(右はOB)、11番(左にクリーク)は難しいホールとなる。
特にショットの正確性が求められるのは距離が短いパー4だ。フェアウェイは約24ヤード幅が狭く、コースの中でも非常に厳しいラフが待っているからだ。プレーヤーはおそらくアイアン、ハイブリッド、またはフェアウェイウッドでティショットを打つだろうが、もしコントロールミスでも犯せば、ラフからウェッジでほじくるようにショットを打たなければならなくなり、グリーンに乗せる際のコントロール性は激減するはずだ。