2012年 全英オープン

【WORLD】同情なんかいらない/L.ウェストウッド ストーリー

2012/07/17 12:50

Golf World(2012年7月16日号) texted by John Huggan

2009年にターンベリーで行われた全英オープン。今年こそ母国で…(J.D.Cuban/GW)

一方で、ウェストウッドがここまでメジャーで勝てない一般的な理由とされるのは、ショートゲームとパットだ。「リーに弱点があるとすれば、それはアプローチだろう」と言うのは、ブッチ・ハーモンだ。「彼がメジャーで勝てない理由の1つは、それだよ」。

しかしながら、この見解は満場一致というわけではない。多くの人は、ウェストウッドのチッピングは弱点ではなく、単に彼のゴルフ全体の中で弱い点に過ぎないと考えている。事実、数字で見ると、彼は長年にわたり、スクランブリングとサンドセーブでは上位につけている。だが確かに、グリーン周りでのプレーに関して言えば、イメージという点で問題を抱えている。月並みだという評判に飲まれてしまうのだ。そして、フェアウェイやグリーンを常にキープする自由なフルスイングよりも、明らかにチッピングやピッチングの時には、より意識的な考えが邪魔しているように見える。

ウェストウッドにとってショートゲームは公平ではない悪評だ。全盛期のセベ・バレステロスは、本当は荒れたドライバーショットを打つ人物ではなかったが、時折荒れたドライブを放った。同じように、ウェストウッドも実際は悪いチップを打つ人物ではないが、時折悪いチップを打つことがある。「フィル・ミケルソンのロングゲームがショートゲームに比べると劣ると言っているようなもんだ」とウェストウッドは言う。「誰もが弱点となる部分は持っているものだよ」。

彼を支持する人たちは、パットもまた悪い評判を受けるほどのものではないと考えている。彼のショットは、カップから半径20フィートの円の中に止まることが多い。だからこそ、スコア67以下になるペースでプレーしている時ですら、パットを外すシーンが多いような気がして、下手なように見えることがしばしばだ。

「みんながリーのパットについてとやかく言うのが嫌いなんだ」とコーエンは言う。「彼はいいパットを打つ。多くのプレーヤーは、2オン可能なパー5を除いて、どのラウンドでも3、4回はバーディチャンスがある。ここでは10フィート以内のパットの話をしているが、このうちパットを1回外した時は、誰も何も言わない。リーはほとんどのショットが12フィート以内につくんだ(他のプレーヤーが10フィート以内のチャンスを迎えるよりも圧倒的に多く、ウェストウッドは12フィート以内のチャンスを作っている)。そして3、4回外した時に、パットができないと言い始める。そんなのはナンセンスだ」。

とはいえ、何度もミスした記憶がウェストウッドが持つメジャーの優勝争いに大切な12~15フィートのパットを沈める能力に影響している、ということについては議論の余地があるだろう。例えば、トーレパインズで開催された2008年全米オープンの惜敗は、入るよりも外してしまうことが多かったミッドレンジのパットの成功率に問題があった。

また、フラストレーションがたまる試合の中でも、ウェストウッドは素晴らしい品格を持って振る舞っている。スランプを抜け出して以来、ウェストウッドは履歴書に空く1つの光り輝く穴を埋めるために、全力を尽くしてきた。最近6年間は、元々五輪の重量挙げ選手のために作られたものを、現在はゴルフ・スイングの動きに合わせて改良されたワークアウトや、コア・ストレングスやバランスに焦点を当てたワークアウトを採用している。コーエン曰く、ウェストウッドはいまだにベンチプレスで“規格外の”ウェートを持ちあげることができるらしい。

こうして、体型やサイズは変化を遂げた。2003年にダンヒルリンクス・チャンピオンシップで優勝した時、身長183センチのウェストウッドは、体重120キロを超え、ウェストは106センチあった。だが、今では90キロ以下。それも“ほとんど筋肉”となり、ベルトも20センチ以上短いものを使っている。

これこそが「(ウェストウッドのトレーニングは)時間がかかりすぎる。練習場や練習グリーンで5時間費やした方がよっぽどためになる」と言われる所以でもある。しかし彼はソーシャル・ゴルフはせずに、ダレン・クラークや同郷ワークソップ出身のマーク・フォスターをのぞいて、ツアーには親友はいないという男なのだ。「他のゴルファーと親しくなりすぎたくないんだ」とウェストウッド。「彼らを打ち負かす方がいい。それが自分の仕事だ。だけどもちろん、ヨーロピアンツアーやPGAツアーのみんなとうまくいっていない訳じゃないよ」。

キャリア後半となった今年の暮れに、ウェストウッド一家はワークソップを離れてウェスト・パームビーチに移り住むことにした。一生を過ごした故郷を離れることで、より生産的な練習ができるようになる。「トップでいられる時間はそれほど多く残っていない。だから、できる限り長くいられるように最大限のチャンスを作りたい」と言う。特に、冬の季節はそうだ。そして、サムとポリーの二人は、タイガー・ウッズの二人の子供達と一緒に学校に通うことになるだろう。

そしてウェストウッドは「今、アメリカとは素晴らしい関係を保てている」と、常にそうではないことを知りながら話した(ウェストウッドはPGAツアーで2勝しかしていない。1998年のニューオーリンズと2010年のメンフィス)。「素晴らしい歓迎やたくさんのサポートを受けている。ソーシャルメディアが手伝うところも大きい(ウェストウッドは熱心なツイッター愛好者)し、以前よりもアメリカでプレーすることが多くなった。今、自分はアメリカでプレーすることを楽しんでいる。すべてのトーナメントに大きな意味がある。それがいいんだ。観客は常に多いし、その雰囲気からエネルギーをもらえる」。

全英オープンでは、母国のファンから同じように熱狂的なサポートを得られるだろう。昨年は予選落ちしてしまったが、それまでの全英では2010年2位、2009年3位タイという成績を残し、リンクスでは優勝候補であることを示している。

だが、勝とうが負けようが、彼は同じ人間であり続けるだろう。

「世界中のどこに言っても、リーは素晴らしい人間だと言ってくれる人たちがいる」とジョン・ウェストウッド。「彼がゴルファーである以前に、素晴らしい人間であることを誇りに思う」。心配なさらずに。そう思うのは、あなただけではありません。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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